日本顎顔面インプラント学会誌
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16 巻 , 2 号
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巻頭言
総説
  • 管野 貴浩, 関根 浄治
    2017 年 16 巻 2 号 p. 57-68
    発行日: 2017/08/25
    公開日: 2018/12/25
    ジャーナル フリー

     口腔顎顔面外傷に併発する顎堤および歯の欠損に対する顎顔面インプラント治療は,近年予知性の高い有用な治療手段として広く受け入れられている.顎口腔をユニットとして捉え,形態審美性と機能性を兼ね備えた理想的インプラント補綴治療と,予治性の高いインプラント補綴周囲組織の長期安定性を確保するには,インプラント前外科として顎堤および歯槽堤形成,骨造成治療をはじめ,歯科専門各科による集学的治療が重要となる.われわれは,口腔顎顔面外傷後のインプラントによる機能形態回復治療に対しては,①歯科医学の集学的治療を適応し,また外傷性顎堤萎縮に対しては,②3次元的に可能な限り多くの骨造成を,各種骨再生治療法により図り,③インプラント周囲軟組織形成(遊離歯肉移植術など)を行い,メンテナンス管理を行うことにより長期安定性を得てきた.さらに,これらの詳細な診断と治療には,各種画像診断シミュレーションソフトを用いてインプラント治療を行う,④コンピューターアシスト手術の応用により,安全かつ精密な治療を可能としてきた.そこで,われわれが取り組んできた,外傷初療からの治療ゴールを見据えた歯科包括的集学的なインプラントを用いた形態機能回復治療について詳説する.

  • 柴田 俊一
    2017 年 16 巻 2 号 p. 69-74
    発行日: 2017/08/25
    公開日: 2018/12/25
    ジャーナル フリー

     ヒト下顎骨は胎齢7週にメッケル軟骨の外側で将来のオトガイ孔付近に最初の骨化点が出現し,後方,前方へと拡張するが,それは血管に沿って伸びる「骨小柱」の形成によって進行する.出生後は骨表面に追加される層板骨の形成によって進行するとともに,骨形成と骨吸収がカップリングした「モデリング」によって下顎骨独特の形態が整えられて行く.成人の下顎骨は基部をなす「基底骨」に歯の形成に伴う「歯槽部」さらに筋の発達に伴う「筋部」が追加され,成長期終了とともに下顎骨の形態が一応整えられる.しかし部分的な骨形成,骨吸収は引き続き継続し生涯にわたって下顎骨の形態は変化し続ける.無歯顎になるとまず歯槽部が吸収し,続いて咀嚼力の低下に伴って筋部が退縮し基底骨のみが最後まで残存する.歯槽部の吸収過程には一定のパターンがあり,まず頰舌的には頰側の吸収が進行し,歯槽の中央部を結ぶラインまで至ると舌側からの吸収も進行し,その部分に弓状の顎堤が形成されることになる.

     また下顎骨を含む膜性骨と,四肢骨を含む置換骨は発生由来の違いの他,有機成分や骨吸収の受けやすさといった生化学的な性状の違いも報告されている.

症例報告
  • 明石 昌也, 鰐渕 聡, 岩田 英治, 筧 康正, 長谷川 巧実, 鈴木 泰明, 古森 孝英
    2017 年 16 巻 2 号 p. 75-80
    発行日: 2017/08/25
    公開日: 2018/12/25
    ジャーナル フリー

     頭頸部癌に対する放射線治療は重要な治療法であるが,重篤な合併症の一つに放射線性顎骨壊死がある.最も良く知られた発症の誘因は,抜歯などの外科的侵襲である.今回,われわれはインプラント周囲に放射線性顎骨壊死を生じ,長期に渡る保存的治療ののちに腐骨分離した1例を経験したので報告する.

     症例は68歳の女性.左側顎下腺腺様囊胞癌の診断のもと,手術と術後化学放射線療法が施行された.放射線治療から3年後,右側下顎に放射線治療前より埋入されていたインプラント周囲溝からの排膿を伴う感染所見を認め,当科を受診した.インプラント周囲の放射線性顎骨壊死の診断のもと,局所の洗浄や抗菌薬経口投与などの保存的治療を継続し,放射線治療から5年後インプラントと腐骨が一塊に分離したため,局所麻酔下に除去した.

     放射線性顎骨壊死は多くの場合難治性であり,治療法は随伴症状の重篤度や全身状態などを総合的に判断し選択する必要がある.予防にはインプラント周囲の衛生状態の維持を目的とした放射線治療後の口腔衛生管理がきわめて重要である.

  • 山崎 雅人, 福田 雅幸, 髙野 裕史
    2017 年 16 巻 2 号 p. 81-85
    発行日: 2017/08/25
    公開日: 2018/12/25
    ジャーナル フリー

     インプラント体周囲に腫瘍が発生した報告は多いが,囊胞が発生した報告は少ない.今回われわれは,インプラント体埋入部に発生した鼻口蓋管囊胞の1例を経験したので,その概要を報告する.

     患者は54歳,女性.2005年,近歯科にて右側上顎中切歯部にインプラント体の抜歯後即時埋入を受けた.2007年,撮影したパノラマエックス線写真とCT画像で,インプラント体先端に囊胞様エックス線透過像を認めた.患者の希望により,インプラント体は温存し囊胞摘出術のみを施行した.病理組織学的診断は,鼻口蓋管囊胞であった.2015年,パノラマエックス線写真とCT画像で囊胞の再発を認めた.患者の同意が得られたため,囊胞摘出術およびインプラント体除去術を施行した.病理組織学的診断は,前回と同じ鼻口蓋管囊胞であった.現在術後20か月が経過し,再発所見なく経過良好である.

調査・資料
  • 第2回調査報告書
    臼田 慎, 河奈 裕正, 加藤 仁夫, 城戸 寛史, 佐藤 淳一, 式守 道夫, 関根 秀志, 高橋 哲, 藤井 俊治, 矢島 安朝, 瀬戸 ...
    2017 年 16 巻 2 号 p. 89-100
    発行日: 2017/08/25
    公開日: 2018/12/25
    ジャーナル フリー

     目的:インプラント手術に関する重篤な医療トラブルは,社会問題とも言われている.そこで日本顎顔面インプラント学会では関連施設でのアンケート調査を行い,2009年1月より2011年12月末までを対象とした前回調査結果との比較検討を含めて報告する.

     方法:本学会認定118施設の2012年1月1日より2014年12月末日までの3年間におけるインプラント手術関連の重篤な医療トラブルのアンケートを回収し分析した.

     結果:回収率は89.0%で3年間の合計発生件数は360件であった.主な発生項目は上顎洞炎73件(20.3%),次いで下歯槽神経損傷68件(18.9%),3番目が上顎洞内インプラント迷入67件(18.6%),4番目が心身医学的障害45件(12.5%),5番目がオトガイ神経損傷33件(9.2%)であった.

     結論:トラブル発生件数は前回調査の471件から360件と減少した.発生項目の上位5項目は前回調査と順序が異なるものの同じ項目であった.

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