日本顎顔面インプラント学会誌
Online ISSN : 2433-5509
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18 巻 , 1 号
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巻頭言
特集にあたって
総説
  • ~どう対応するか~
    式守 道夫
    2019 年 18 巻 1 号 p. 5-10
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/12/02
    ジャーナル フリー

     顎顔面インプラント治療で治療者が心理・精神的状態の諸問題に触れる機会は少なくない.歯・顎顔面疾患患者の術後の課題としては,咀嚼障害,審美的障害,形態的障害,コミュニケーション障害,嚥下障害などが挙げられる.

     それらの問題を有する患者の来院の動機が直ちに主訴に結びつくか疑問が残る.最初の面接で, 患者が直ちに主たる訴えを告げてくれるとは限らない. 日常の診療では,精神疾患を有する患者に遭遇する機会が少なくないと予想される.

     これらを考慮して,歯・顎そして口腔腫瘍患者の術後の諸問題を有する患者での,身体障害と精神的状態との関連を考えてみたい.

     これには,身体的障害,精神的状態,インプラント治療,付随する手術,治療への患者の負担と医療者からの支援,精神的状態への支援などが関連すると思われる.これらのうちで精神的状態への気づきと支援を,誰がそれを行うかについてはほとんど議論がなされてこなかった.

     実際の医療現場は,あいまいさに満ちており,期待した答えが得られない場合も多いと指摘されている.このような指摘もあるので,「医療(インプラント治療)もあいまいさを含んでいることを,日頃から患者に説明する必要があるのではないか.」と考える.

     したがって,このような課題を議論することは有意義となろう.

     この論文では,口腔外科から見たインプラント治療と患者の心理・精神状態について次の点から検討する.(1)臨床の現場で,医療面接で問題となりそうな状態の患者に気付くことは可能であろうか.(2)治療者が,マスクされた精神的状態の気付きと対応はどのようにすべきか.(3)つまり,インプラント治療者と精神科医あるいは歯科心身症専門医とのコラボレーションはどのように対応したら,患者にとって良い結果となるかなどが課題となろう.

  • 水木 さとみ
    2019 年 18 巻 1 号 p. 11-15
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/12/02
    ジャーナル フリー

     近年,インプラント治療をうける患者は増加の一途をたどり,なかには対応に苦慮する患者に遭遇することは少なくない.インプラント治療は問題なく終了し,歯科学的にも問題となる所見は見当たらないものの,治療を機に口腔内違和感や気分の低下・不調を訴えてくる患者に遭遇することがある.患者の訴えは多様化し,時にストレスフルな状況になると症状への訴えも強まる.こうした背景の中,インプラント治療に際しては,患者の心身面にも目を向けることが望まれる.とりわけ,患者とのコミュニケーションを多く交わすデンタルスタッフからの情報収集や患者支援は重要である.本稿では,起こり得る患者トラブルを招かないために,チーム医療を通してとり組むリスクマネジメントについて紹介した.

  • 豊福 明
    2019 年 18 巻 1 号 p. 17-22
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/12/02
    ジャーナル フリー

     インプラント治療後の原因不明の口腔症状に悩まされる患者がいる.口腔外科医は「心身症的な問題」と見做そうとするが,患者は頑として受け入れず,器質的原因に固執することが多い.一部の歯科医師は精神科に依存してこの問題を解決しようとした.しかし,精神科医には,口腔の愁訴を理解することは難しく,単なる精神科紹介では実効性を持たなかった.このような状況では,原因不明の口腔症状について患者によく説明し,話し合うことが重要である.口腔外科医には,インプラント患者の心理社会的因子について適切に評価する能力が求められている.本稿ではPIPCの概念とMUOSへの対応の仕方について紹介した.

原著
臨床研究
  • 渡部 桃子, 鶴巻 浩
    2019 年 18 巻 1 号 p. 23-28
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/12/02
    ジャーナル フリー

     目的:インプラント治療は有効な補綴手段の一つであるが,抗血栓療法中の患者に対する埋入手術時の対応は確立されていない.今回,抗血栓療法中の患者に対するインプラント埋入手術時の対応および術後出血の有無を検討した.

     対象:2007年1月~2016年12月に,抗血栓療法中の患者21名に対して施行した28件のインプラント埋入手術について調査した.

     結果:術中に異常出血をきたした症例はなかった.術後出血を認めたものは,抗血栓療法継続下で施行した埋入手術全体では34.6%であったが,いずれも重篤な出血はみられず,圧迫止血で対応可能であった.抗血小板薬内服患者より,抗凝固薬内服患者の方が後出血をきたしやすい傾向にあった.埋入本数が多いほど侵襲が大きくなるが,埋入本数と術後出血発生の頻度に相関はみられなかった.埋入手術の方法では,1回法と2回法で後出血発生の頻度に有意差は認めなかった.10日~10年の観察期間で喪失インプラントはなく, 出血性の問題も生じなかった.

     結論:インプラント埋入手術は抗血栓療法継続下での施行が望ましいが,埋入本数や手術方法を問わず術後出血の生じる頻度は少なくなく,きめ細やかな止血管理が必要であると考えられた.

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