日本顎顔面インプラント学会誌
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最新号
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巻頭言
総説
  • 小宮山 彌太郎
    2019 年 18 巻 2 号 p. 49-53
    発行日: 2019年
    公開日: 2021/07/30
    ジャーナル フリー

     今日の歯科インプラント療法は,QOLの低下をきたした数多くの患者を救ってきたが,その歴史はたかだか半世紀にしか過ぎない.経験豊かな研究者や臨床家の間では周知されているように,ブローネマルクのコンセプトでは長期結果に視点を置いていたが,近年,多くの歯科医師は短期的な成績を重んじるようになってきた.一部の業者は,簡単,単純な構造そして早期のインテグレーションの獲得を強調しているが,これはあながち間違いとは言えない.しかしながら,優れたハードウェアと適切なソフトウェアが出会って,はじめて好ましい長期安定性が得られることを念頭に置くべきであろう.人造物の多くは力により問題をきたすが,インプラントも例外ではなく生体力学的な観点から方法の選択と診断とを行う.本法における最も大切な要素は,オッセオインテグレーションを示すインプラント本体であり,この点が理解されていなシステムも見られる.さら上部構造とアバットメントとの正確な適合は,周縁骨の安定性のための要因と言える.生体組織から異物と認知される可能性のあるインプラントの外科術式には,制腐的環境下での丁寧な術式が求められる.

     歯科医師は,“生体組織は人間よりも賢い”ことを忘れてはならない.

  • 髙橋 富久
    2019 年 18 巻 2 号 p. 55-59
    発行日: 2019年
    公開日: 2021/07/30
    ジャーナル フリー

     上顎洞は上顎体の中心部に位置し,5つの壁によって囲まれたピラミッド型の空洞で,半月裂孔を介して中鼻道に開口する.洞壁は粘液細胞を有する多列線毛上皮によって被われているが,しばしば,扁平上皮化生がみられることも珍しくない.上顎洞は胎生5週頃から形成が始まるが,実際に体積が急速に増加するのは出生後で,成人になるまでその発育は続く.特に下方および外側方への発育は,歯の発育と密接に関係している.上顎洞の粘膜面と骨壁を栄養する主な動脈は,顎動脈の枝の眼窩下動脈と後上歯槽動脈である.ともに洞壁内の歯槽管を通過し,上顎洞粘膜面に枝を送る.また,眼窩下動脈の枝の前上歯槽動脈も上顎洞の前方部分を栄養しながら後上歯槽動脈と吻合する.したがって,眼窩下動脈,前上歯槽動脈,後上歯槽動脈は上顎洞を囲みながら骨内・外で環状のループをつくることになる.一方,神経支配は上顎神経から直接分枝する眼窩下神経と後上歯槽枝で,同名動脈とともに骨内を走行し,粘膜面と骨壁に枝を与える.後上歯槽枝および眼窩下神経の枝の前上歯槽枝と中上歯槽枝は洞底部周囲で上歯神経叢を形成し,上顎歯の歯髄と歯根膜,および頰側歯肉の感覚を支配する.

症例報告
  • 青木 紀昭, 小杉 泰史, 小山 千佳, 岡 和雄, 山下 陽介, 磯野 仁志, 馬場 隼一, 飯田 昌樹
    2019 年 18 巻 2 号 p. 61-67
    発行日: 2019年
    公開日: 2021/07/30
    ジャーナル フリー

     目的:今回われわれはインプラント治療に起因した上顎洞アスペルギルス症のきわめて稀な1症例を経験したので報告する.

     症例:患者は67歳の女性で,後鼻漏,鼻閉,頰部不快感を主訴に来院した.口腔内所見では上顎大臼歯部の2本のインプラントは打診痛や動揺はなく,インプラント周囲のポケットを通して口腔と上顎洞との交通を認めた.CTでは上顎洞,篩骨洞は不均一な軟組織陰影で占拠され,真菌塊と呼ばれる石灰化像と上顎洞内の小気泡像を認めたが骨破壊は認められなかった.その他,上顎洞壁の骨肥厚像,上顎洞内側壁の鼻腔への突出を認めた.真菌性副鼻腔炎と臨床診断し,インプラント撤去と上顎洞内搔爬,対孔形成術を施行した.病理組織学的診断,臨床症状やCT所見などより,最終臨床診断はnon-invasive type上顎洞アスペルギルス症とした.術後経過は良好であり症状は完全に消失し,術後8か月後のCTでは上顎洞,篩骨洞に正常粘膜を認めた.

     考察と結論:CT所見はこの疾患の診断に非常に有用であった.われわれが渉猟し得た限りインプラント治療に起因した上顎洞アスペルギルス症の報告は海外で2例の報告のみであり本邦では初めてである.

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