医療情報学
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23 巻, 4 号
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原著
  • 大内 東, 栗原 正仁, 三田村 保, 川村 秀憲, 宮腰 昭男, 中川 俊男, 宮本 慎一, 山本 直也, 柳内 統
    2003 年 23 巻 4 号 p. 293-302
    発行日: 2003年
    公開日: 2017/06/02
    ジャーナル フリー

     郡市医師会へのテレビ会議システムの導入可能性を,効果と費用の観点から定量的に検討するために,北海道医師会をモデルとした費用効果を試算した.テレビ会議システムの典型的なモデル仕様を構築し,北海道医師会における会議や集会の一定割合をテレビ会議に置き換えた場合の移動距離および移動時間の短縮を時間的効果として評価した.費用については,旅費,旅費削減率,システム構築費用,通信料,および置換率の5つのパラメータに基づいて,年次毎の費用節約の累積を評価した.その結果,置換率が100%のときは2年間,置換率が50%のときは3年間で,旅費節約の累積がシステム構築維持費用を上回るとの試算を得た.したがって,北海道医師会におけるテレビ会議システムの導入は,費用対効果の観点から望ましいと結論できる.

  • 高林 克日己, 里村 洋一
    2003 年 23 巻 4 号 p. 303-312
    発行日: 2003年
    公開日: 2017/06/02
    ジャーナル フリー

     千葉県松戸市では平成13年度経産省の電子カルテを中心とした先進的地域医療情報化事業の一つとして,一診療圏内の不特定多数の施設間を結ぶ情報ネットワークを構築し,特にその共有設定方法について検討してきた.具体的には地域IP網を専用線として松戸市内の42医療施設を結び,さらにこの中で患者本位の共有設定を行い,どのような情報共有が行われるかを調査した.約1年半で556名の患者が登録され,うち連携をとった実利用者が64名であった.とくに在宅関係での共有が多く,グループ診療,在宅総合診療等に有用性が示された.一方で共有設定上の問題点として送信側と受信側の理解度の較差が挙げられ,第三者や患者に原診療録を公開することの疑義,原診療録からの自動的な全情報共有開示の問題点などが指摘された.

研究速報
  • 伊藤 ゆかり, 鈴木 亘, 辻 正次, 鎌田 弘之, 田岡 文夫, 大坂 英通
    2003 年 23 巻 4 号 p. 313-323
    発行日: 2003年
    公開日: 2017/06/02
    ジャーナル フリー

     在宅健康管理システムは,運営費用は自治体が負担し,利用する住民に対して無料で提供していることが多い.システムを導入している地域は全国76の地域で,7,133台が導入されている.しかし,地方自治体の厳しい財政状況では,システムの利用に対して住民に費用負担を求めなければならない地域が増えることが予測される.このシステムの利用を無料で提供している地域と,有料で提供している地域とを経済的に比較することで,在宅健康管理システムが地域社会にとって費用に見合うシステムであるのか,また,利用料の違いによってシステムの金銭的評価に影響がでるのかどうかを考察した.推計結果より,システムの利用料が有料地域と無料地域では,金銭的評価の差は微小なものであり,2,500円程度有料にしたとしてもシステムの評価は変化しないということを明らかにした.

技術ノート
  • 黒田 龍彦, 丹澤 和雅, 石塚 朗子, 木内 貴弘, 細井 孝之, 大橋 靖雄, 中村 利孝, 太田 博明, 白木 正孝, 折茂 肇
    2003 年 23 巻 4 号 p. 325-331
    発行日: 2003年
    公開日: 2017/06/02
    ジャーナル フリー

     医師主導型臨床研究組織のA-TOP研究会は,本邦における骨粗鬆症の治療に必要なevidenceを収集する目的で設立され,多施設でのランダム化比較研究に対応できるサーバークライアントシステムを構築した.このシステムはUMINに設置され,全国の参加医師にインターネットを介した割付・登録・ロジックチェック・進捗管理機能を提供している.またこれに加え,日常的に骨粗鬆症診療を行っている開業医でのデータ収集を補助する目的でSMOによるサポート体制を準備し,実運用に入った.

     本研究会で開始したインターネットシステムおよびサポート手法の組み合わせは,今後さまざまな領域で拡大してゆく医師主導臨床研究(治験)に対し,ひとつの事例を提供しうるものである.

  • 甲斐澤 政美, 古畑 貞彦, 浦田 浩一, 西原 三枝子, 西村 チエ子, 澤谷 ゆき江, 松本 あつ子, 丸山 ひさみ, 大倉 博文, 村 ...
    2003 年 23 巻 4 号 p. 333-338
    発行日: 2003年
    公開日: 2017/06/02
    ジャーナル フリー

     信州大学医学部附属病院では,新しい北中央診療棟に手術部と材料部が移転すると同時に,手術システムと連動した本邦初の自動制御によるコンテナ管理システムを導入した.手術システムのサーバーと端末,ならびにコンテナシステムのサーバーと端末を病院総合情報システム(HIS)のネットワークに接続し,各診療科はHIS端末からイントラネットWebを利用し,手術予約と麻酔申し込みならびにコンテナ予約を行う.手術器械の情報はパーソナルコンピュータを用いてデータベース化し,Web(インターネット)で閲覧できるシステムを構築した.手術予定が確定すると予約情報はコンテナシステムへ自動配信される.コンテナの保管スペースはクローズ型で清浄度は高く,滅菌期限の管理が明確で容易となった.また,このシステムは手術スケジュールによるコンテナの自動搬出が可能であり,利用状況が明確化し,院内すべての業務端末でコンテナ内容を閲覧できるなどの利点がある.

  • 中川 肇, 稲垣 晶一, 林 隆一, 利波 修一, 中村 衛, 伊藤 一, 倉西 誠, 清水 正司, 瀬戸 光
    2003 年 23 巻 4 号 p. 339-345
    発行日: 2003年
    公開日: 2017/06/02
    ジャーナル フリー

     核医学検査のオーダおよびレポーティングシステムの設計およびその評価について報告する.オーダリングシステム設計にあたっては,残留放射性医薬品の影響を配慮することである.このため,オーダ時には,過去,未来にわたる検査日および使用核種のチェック機能を設けて,残留放射性医薬品の影響のないシステムを確立した.次の重点項目は,放射性医薬品の管理一元化である.放射線医薬品の発注,入荷,使用のデータをシステム上で処理することによって,新法令に即した放射線管理の電子化が可能となった.一方,グループウエアで開発したレポーティングシステムでは,HISから患者情報を自動的に取り込むことで,転記を最小限として作成でき,かつ,依頼書,報告書を一体化して依頼医と読影医の思考がシームレスとなるようにした.2001年7月からオーダリングとレポーティングを同時稼働した結果,放射線部門では大幅な業務省力化になった.また,検査依頼側では,予約が業務時間外でも可能となったことやレポートのオンライン参照が可能となったことからその有用性が確認された.検査件数もオーダリングシステム運用後,5ヶ月間の検査件数を調査した結果,増加が認められ,このシステムが有効に機能していることが確認された.

  • 井上 雄紀, 正井 栄一, 片山 修, 向 進吾
    2003 年 23 巻 4 号 p. 347-353
    発行日: 2003年
    公開日: 2017/06/02
    ジャーナル フリー

     CT画像のスライスデータをポリゴンに貼りつけ,多数重ねあわせる方法を用いて,ボリュームレンダリングを実現した.本手法は高速処理に向いているが,ポリゴンは厚みが0なのでポリゴンの法線方向と視線のなす角度が大きくなると,テクスチャーの貼られていない側面が見え,3次元画像の解像度が低下する問題点がある.視線に応じた6方向のテクスチャーを用意して,これらを切り換えることにより、この問題を解決した.このボリュームレンダリング法は計算量が少ないので,汎用のパーソナルコンピュータを用いても,マルチスライスCTの多数の断層像から3次元表示の再構築が十分高速に行える.

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