医療情報学
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27 巻, 1 号
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総説
第11回日本医療情報学会春季学術大会 企画セッション(シンポジウム)
  • 長谷川 英重, 山本 隆一
    2007 年 27 巻 1 号 p. 11-20
    発行日: 2007年
    公開日: 2015/04/10
    ジャーナル フリー
     EHRシステムの開発で先行するEUの標準化機関CEN TC/251(医療情報)で長年標準化を進め,欧州を中心に先行開発成果を反映した,「医療の営みを見せる標準として」13606 EHRコミュニケーションが,2月にEU加盟国に強制力を持つ標準となった.この標準は,EHRシステムの継続した変化にプラグアンドプレイで対応し,データの意味を保持し,医療の質や経営改善の担保を目指している.従来システムのデータの臨床に直結した部分を分離し,臨床分野の変化に臨床の専門家だけで決めた内容を正確安全に反映する仕組アーキタイプがある.臨床分野ごとでのチームワークによるベストプラクテスの蓄積や活用のための情報の流れを,医療の現場での医学知識の取り扱いに準じた考え方で実現している.国内でも本格的に研究・開発が始まった臨床オントロジー関連とも連携できるように作られており,十分理解する価値があるEHRコミュニケーションに関する全体像を解説する.
第11回日本医療情報学会春季学術大会 企画セッション(パネルディスカッション)
  • 中島 直樹, 岡田 宏基, 合地 明
    2007 年 27 巻 1 号 p. 21-28
    発行日: 2007年
    公開日: 2015/04/10
    ジャーナル フリー
     医療の標準化および効率化のために,クリニカルパスの利活用が進んでいる.しかしながら中~大規模病院において,その普及が著しい電子カルテを含む病院情報システム上でのクリニカルパスの展開は,まだ標準といえるものがなく,各医療機関の理念に従って開発されたものが用いられているのが現状である.今回のパネルディスカッションでは,既に病院情報システム上でクリニカルパスを運用している大学病院2施設,大・中規模民間病院3施設を選び,各パネラーには,所属施設で使用している病院情報システムのベンダ,クリニカルパスの病院全体での適応状況とその運用体制,病院情報システム上でどこまでパスを使用できているか,すなわち,オーダ発行のみか,電子カルテとしての運用が行われているか,またバリアンス分析がどこまで電子化されているか,さらに病院情報システム上でのパス運用の問題点,今後の課題などについて現状を報告いただき,総合的な討論を行う予定である.なお,日本においては「クリティカルパス」と「クリニカルパス」の2種類の呼称があるが,その概念は基本的に同一である.5つの施設の抄録の題名に「クリニカルパス」が多かったため,本稿では「クリニカルパス」と呼ぶ.
     1. 電子カルテと連携したクリニカルパスシステム
      吉本幸子;大阪大学医学部付属病院 医療情報部
     2. ミニセット型電子クリニカルパスを実装した病院情報システム
      白鳥義宗;岐阜大学医学部附属病院 医療情報部
     3. 当院の電子化クリニカルパスの問題点と今後の方向性-6年の運用経験から-
      石原照夫;NTT東日本関東病院 呼吸器科・肺外科
     4. 医療の質の向上,医療効率の改善に貢献する電子クリティカルパス
      片渕 茂;国立病院機構熊本医療センター 病院情報室,外科
     5. 富士通EGMAIN-FXでのクリニカルパスの利用方法と今後の課題
      村川和義;屋島総合病院小児科・医療情報部
解説
第11回日本医療情報学会春季学術大会 企画セッション(パネルディスカッション)
原著
  • 阿部 秀尚, 平野 章二, 津本 周作
    2007 年 27 巻 1 号 p. 33-38
    発行日: 2007年
    公開日: 2015/04/10
    ジャーナル フリー
     近年,病院情報システムの普及に伴い,検査や診療にかかわる数値・テキストデータが容易に蓄積され,EBM(Evidence Based Medicine:科学的根拠に基づく医療)の実現や診療の質の向上のためシステム上のデータやオンラインの文書に存在する有用な事実を理解するための活用法が求められている.しかしながら,退院時サマリーなど病院情報システムに蓄えられた文書には,患者の診療に関わる検査結果および医師や看護師の知識や経験が記述されているにも関わらず,データの記述内容に踏み込んだ活用は進んでいない.
     以上の問題に対し,我々は,記述内容に時系列関係が定義された退院時サマリーから患者の病状経過に関する時系列関係規則を抽出する方法を提案する.
     このため,データの前処理においてテキストから医学用語と診療行為に関わる語彙の抽出を行い,退院時サマリーからの特徴的な語彙間の関係抽出を行うマイニング手法を実装した.本稿では,島根大学医学部附属病院から提供された退院時サマリーを対象に病状経過に関連する時系列関係規則を抽出し,有用な時系列関係規則の発見が可能であることを示す.また,本手法により抽出される関係規則から得た語彙を用い,従来の重要語彙抽出法による検索との比較評価実験を行い,蓄積された文書から検索者の意図する内容の文書が従来の重要語彙と同等の性能で検索可能であることを示す.
  • 豊倉 完治, 江本 豊, 原臣 司, 小菅 理子, 村山 伸樹, 黒田 規敬
    2007 年 27 巻 1 号 p. 39-46
    発行日: 2007年
    公開日: 2015/04/10
    ジャーナル フリー
     読影レポートの画像所見の入力負荷軽減を目的に,過去の読影レポートを分析することにより,文節選択方式による入力支援システムを開発したので報告する.読影レポートの主たる文は、部位を表す部位文節と所見を表す所見文節から構成されている.この特徴を利用して部位文節と所見文節をそれぞれの選択肢から独立に選ぶ文節選択方式を採用した.既存の「頭蓋内」CTの画像所見の文を分析し,類似した文から集めた部位文節選択肢と所見文節選択肢を抽出し,文節選択方式のメニューとした.部位と所見の組み合わせは限定的なものが多いので,選択肢の数を少なくできた.文節選択方式入力支援システムのプロトタイプを試作し,文節選択肢データを評価した結果,文節選択肢のないテンプレート方式を用いた場合と比べ,入力負荷が約60%に減少できた.
  • 中島 直樹, 小林 邦久, 井口 登與志, 西田 大介, 田中 直美, 布川 圭子, 副島 秀久, 高柳 涼一, 名和田 新
    2007 年 27 巻 1 号 p. 47-55
    発行日: 2007年
    公開日: 2015/04/10
    ジャーナル フリー
     増加し続ける糖尿病やメタボリック症候群などの生活習慣病予防対策として,厚生労働省は2008年度から40歳~74歳までの国民に対して特定健康診査・保健指導制度を実施することを決定した.つまり保険者による費用負担/データ管理で,最大5700万人に対して毎年定まった項目の健診,保健指導を行うことになり,そのデータは標準的な形式で蓄積・活用される.我々は2002年から,個別性に対応するクリティカルパスを中核技術としたアウトバウンド・コールセンタによる糖尿病2,3次予防Disease Management研究開発事業「カルナ・プロジェクト」を続けてきた.今回の法令をきっかけに,2006年度に生活習慣病1次予防プログラムを開発した結果,保険者から特定健康診査・保健指導業務を受注し,糖尿病に関しては1次から3次予防までのシームレスなDisease Managementサービスを提供する体制を構築し得た.構築にあたり重視した点は,①事業規模が拡大した際の質保証(法令の規定内容に沿ったアウトカム指向型クリティカルパスの開発,業務アルゴリズム化,IT化の推進),②個別性を重視したサービス提供(個別性対応クリティカルパスや対象者の好みに合わせたコミュニケーション手段),③法制度への対応(医療関連法や個人情報保護法),の3点である.複数の企業健康保険組合等と連携して約300人規模で実証実験を施行中であるが,初期面談前後における短期の生活習慣の変容を調査したところ食習慣を中心に良好な結果を得た.2007年度末までに医療アウトカムおよび事業モデルの検証を行う予定である.
  • 大星 直樹, 竹内 裕晴, 桑原 教彰, 小作 浩美, 阿部 明典, 小暮 潔
    2007 年 27 巻 1 号 p. 57-65
    発行日: 2007年
    公開日: 2015/04/10
    ジャーナル フリー
     本稿では,ユビキタスセンサーネットワーク技術によって看護活動をモニタし,手順に誤りがあった際にそれを検知し看護師に注意喚起するために必要となるロバストなエラー検出アルゴリズムを提案する.本手法の特徴は以下のようになる.(1)セマンティックWebの手法により看護業務フローをモデル化する.このとき,フロー中の各作業をその危険度,重要度により重み付けする.(2)看護師による実行業務の音声入力,および赤外線通過センサによる看護師の位置情報等のデータにより,リアルタイムで識別される看護師の業務内容の整合性をチェックする.このときデータ入力の不備などによるエラー混入の可能性が高くかつ危険度の低い作業についてはその抜けや定義された実行順序と矛盾する作業を検出しても,その業務は致命的な誤りがなく,実施された可能性が高いと判断し業務フローの検証処理を継続する.(3)危険度の高い作業が正しく行われなかったときは看護師に直ちに注意喚起する.これは看護フローの中で危険度が低く,即時に作業を中断する必要がない業務の抜けや前後関係の誤りは看護師がナースステーションに戻ったタイミングで修正確認すればよいという考えに基づいている.我々は本手法の有効性を評価するため,白内障の術前術後の看護フローをモデル化実装し,提案システムのエラー検出能力についてシミュレーションによる検証実験を行った.すなわち総業務数における実施手順の抜けの割合,および総業務数における実施手順の前後関係を誤った手順の割合をパラメータとして看護業務フロー上のエラーを含むテストデータを計算機上で生成し,テストデータに含まれる看護業務の実施手順の抜けや,前後関係の誤りについて検出実験を行った.このシミュレーションにおいてエラー率を0%から100%の間で10%刻みでテストデータを用いて検証した結果,すべてのエラーを検出できることを確認した.さらに,白内障の術前術後看護の実観測データをテストデータとしてシミュレーション実験と同様に業務フローにおける看護手順のエラー検出実験を行い,その有効性を確認した.
  • 藤本 智裕, 嶋吉 敦子, 江崎 泰斗, 藤原 覚, 乾谷 晃, 太田 憲吾, 牧 一朗, 黒川 正典
    2007 年 27 巻 1 号 p. 67-75
    発行日: 2007年
    公開日: 2015/04/10
    ジャーナル フリー
     診断群分類(DPC:Diagnosis Procedure Combination)番号に基づく診療報酬請求や医療評価の信頼性を確保する観点から,DPCコードの精度管理(Quality Management)は極めて重要な課題である.そこで,当院では,まず,すべてのDPCコードを,医師は臨床の観点から,診療情報管理士は診断群分類や診療報酬請求等の観点から分担して決定し,さらに相互にチェックする“DPC分散コーディング手法”を考案した.つぎに,本手法における業務プロセスや情報の流れを自動化する“DPCワークフローシステム”(Medi-Bank for DPC)を開発した.これらを当院に適用し,効率性を評価した結果,開発したシステムを活用することで,本手法が正確かつ迅速,効率的に処理可能であることが確認できた.また,DPCコードを再判定し,精度を評価した結果,本手法とシステムが効果的に機能し,精度向上に有用であることが確認できた.さらに,本手法をワークフロー化したことにより,医師と診療情報管理士の役割や責任の明確化と,ルールやプロセスの徹底化が図られ,適切な精度管理体制が実現できたといえる.
  • 矢崎 貴啓, 松島 潔, 齊藤 孝親, 笹井 啓史, 高橋 幸雄, 吉田 純一朗, 山田 文香, 安藤 光昭
    2007 年 27 巻 1 号 p. 77-81
    発行日: 2007年
    公開日: 2015/04/10
    ジャーナル フリー
     日本大学松戸歯学部付属病院では,歯科病院として全国初の電子カルテ導入に踏み切り,新病院竣工に合わせ平成18年4月1日より歯科電子カルテシステムを稼働させた.
     本院には,歯科17科,医科3科および歯科と医科の連携を強化した顎脳機能センターがあり,歯科診療ユニットは186台,病床数は33床で,外来患者数は約700名/日である.
     導入した電子カルテシステムは,富士通社製HOPE/EGMAIN-EXを中核に構成されている.導入にあたっての開発コンセプトは歯科病院に必須な機能を中心に,
     1) 問題指向型歯科電子カルテと治療計画書
     2) 歯科要件
     ① 療養担当規則に準拠した歯科診療録表示形式への対応
     ② 歯科ユニット,医員,歯科衛生士,機材等のアポイントシステムの確立
     ③ 歯科技工と連携したシステムの構築(電子カルテ・技工オーダー・物流・医事)
     ④ 口腔診査記録等の充実と入力操作性の向上
     3) 情報共有
     4) ペーパーレス・フィルムレス
    である.導入後2カ月で前年同月の実績を上回り,操作習熟への当初の不安は解消されたが,操作性やマスター構成など,改善すべき課題は多い.
  • 高橋 由光, 宮木 幸一, 新保 卓郎, 中山 健夫
    2007 年 27 巻 1 号 p. 83-89
    発行日: 2007年
    公開日: 2015/04/10
    ジャーナル フリー
     [背景]アスベスト問題に関する新聞報道を定量的に分析するため,ネットワーク分析を利用したテキスト・マイニングを行い有用性を検討した.
     [方法]アスベストまたは石綿を含む 1945 ~ 2005 年朝日新聞見出しを対象とし,ネットワーク分析を利用したテキスト・マイニングを行った.
     [結果]1987 年頃と 2005 年に多かった.1987 年は 36 記事あり,汚染(40%)が高く出現し,除去と運動(26%)や除去と学校(11%)は同時に出現する単語であった.2005 年は 293 記事あり,人と死亡(9%),危険と人(8%)が多く同時に出現した.1987 年は厚生省や環境庁が関わる環境汚染に関する部分と,文部省が関わる学校からのアスベスト除去運動に関する部分があるのに対し,2005 年は人々の死亡が中心となり厚労省が関わり補償など対応策がとられた.
     [結論]ネットワーク分析を利用したテキスト・マイニングは情報を定量的に把握し,視覚化することを可能とした.
  • 鶴田 陽和, L Bax
    2007 年 27 巻 1 号 p. 91-99
    発行日: 2007年
    公開日: 2015/04/10
    ジャーナル フリー
     【背景と目的】 回帰モデルを用いた診断や予後予測では,連続量の説明変数をカテゴリ化すれば,予測式をリスクの確率の一覧表で置き換えることができる.しかし,カテゴリ化を行うと通常は説明変数の予測能は下がることになる.そこで,単純に 2 値化するのでなく 3 値化または 4 値化することが考えられるが,これまでのところ多値化のための確立された方法はない.この研究ではまず,(1)予測能をどう定量化するか,(2)何値にカテゴリ化すれば良いか,(3)その場合の最適なカットオフ・ポイントはどこか,という問題に解答を与えるために,C-index(正常・疾患の両群からそれぞれランダムに標本を選んだときにその値の大小が期待される関係にある確率)を予測能の尺度とした説明変数のカテゴリ化法を提案する.
     この方法は,説明変数の母集団分布が既知の場合はそのまま適用できるが,標本データしかない状況では予測能の推定値に無視できないバイアスが生じる.そこで次に,この問題を解決するために「パラメトリックな推定方法」を提案するとともに,その評価を行う.
     【方法と結果】 予測能の尺度として C-index を採用し,最適なカテゴリ化法を数学的に導いた.また,この尺度が説明変数の ROC 曲線下面積と密接な関係にあることを示した.
     予測能の推定の際にバイアスが発生するのは,最適カットオフ・ポイントを求める際に予測能の評価を「繰り返し」行うことに原因があると考えられる.そこで,この問題を解決するために,母集団の分布形を想定して,標本から母集団の母数を推定し,推定した正常群と疾患群の説明変数の分布関数から最適カットオフ・ポイントを求め,それを元にカテゴリ化した変数の予測能を推定するというパラメトリックな方法を考案した.この方法を,母集団分布が正規分布,指数分布で表される場合について,モンテカルロ法によるシミュレーションで評価した.その結果,本方法がきわめて有効であることが確認できたので,本方法を実際の疾患の予測に適用した例と合わせて報告する.
  • 荒牧 英治, 今井 健, 梶野 正幸, 美代 賢吾, 大江 和彦
    2007 年 27 巻 1 号 p. 101-107
    発行日: 2007年
    公開日: 2015/04/10
    ジャーナル フリー
     ICDコーディングは,保健・福祉行政の企画,人口問題,さらには,それらの国際比較という重要な目的を持つ.しかし,同時に時間 / コストがかかる作業であり,可能な部分においては自動コーディングする技術が待ち望まれている.本研究は,標準病名マスターの病名とそれに付与されたICDコードを材料に,標準病名マスターに収載されない病名に対して自動コーディングを目指す.
     提案手法は,まず,入力病名と類似した病名を標準病名マスターから検索する.次に,検索結果の上位の標準病名がもつICDコードの投票を行うことにより,入力病名のコードを決定する.
     類似度を検索する際には,情報検索モデルOkapi-BM251)を用いた.ただし,BM25(をはじめとする多くの検索モデル)は,個々の語が独立に分類に影響すると考えており,複数の語が組み合わさって生み出される影響を捉えることはできない.しかし,実際の病名においては,このような現象が多く存在する.例えば,「頭部熱傷」と「顔面熱傷」はともに同一コード(T200)を持ち,「熱傷」を含む病名においては,「頭部」と「顔面」は無視可能な差異となっている.本研究では,このようなある語と共起した場合に交換可能な語ペアの知識を自動抽出し,その知識を用いて検索を行う.
     実験の結果,44.0%の精度で適切なICDコードを付与可能であった.また,特に5語以上の長い病名に対しては,より高い精度(精度50.8%)で分類可能であった.本研究により,情報検索アプローチによるICDコーディングの可能性示すことができたと考える.
  • 林 正治, 堀井 洋, 權 仁洙, 吉田 武稔
    2007 年 27 巻 1 号 p. 109-116
    発行日: 2007年
    公開日: 2015/04/10
    ジャーナル フリー
     疫学調査の一環として実施される質問票調査を支援する情報システムの設計法について提案し,この設計法を用いて実装した情報システムについて報告する.特に質問票調査の初期段階では,調査項目の追加,修正,削除が発生することが多い.このような事象に対応する情報システムの構築は,今後の質問票調査の効率化にとって有意義である.これらの要件を満たすために,本報告ではW3C(World Wide Web Consortium)が標準化を進めているセマンティックWebのデータモデルであるRDF(Resource Description Framework)を用いた質問票データモデルとして質問票メタスキーマと質問票スキーマを提案する.これによりXML(eXtensible Markup Language)では困難であった,データの表現能力を保ちつつ仕様変更への耐性を備えたデータ構造を実現している.
  • 川中 普晴, 住田 朋人, 山本 晧二, 篠木 剛, 鶴岡 信治
    2007 年 27 巻 1 号 p. 117-125
    発行日: 2007年
    公開日: 2015/04/10
    ジャーナル フリー
     近年,病院情報システムの普及により,多くの診療情報が電子データとして蓄積されつつある.これに伴い,従来使用されていた紙文書を画像処理により XML へ自動変換して検索用のタグを付加し,類似症例検索に再活用するためのシステムが必要性とされつつある.そこで本研究では,表形式の退院サマリを対象とした文書認識と自動 XML 化ならびに類似症例検索のためのキーワード抽出・検索のためのプロトタイプシステムを試作し,評価実験と基礎的検討を行った.三重大学医学部附属病院にて使用されている退院サマリを用いて評価実験を行った結果,本システムを用いることにより,標準的な表形式文書画像から XML 文書を自動で作成できることが確認された.本稿では,筆者らが提案してきた表構造認識手法ならびに XML 生成手法等についてその詳細を述べ,試作したプロトタイプシステムの概要を紹介する.また,評価実験に加えて,表構造認識機能を持つ市販 OCR との比較実験も行い,本システムの類似症例検索システム構築への発展の可能性と現在の課題点についても議論する.
  • 田村 俊次, 柴田 匡邦, 永田 宏, 野川 裕記, 田中 博
    2007 年 27 巻 1 号 p. 127-131
    発行日: 2007年
    公開日: 2015/04/10
    ジャーナル フリー
     電子タグを利用した医療用水分センサを作成し,その有用性について検証実験を行った.電子タグは,周辺に水分があると通信が困難になる性質を持っている.この性質を利用すれば,電子タグを水分センサとして利用することができるはずである.オムツやガーゼに予め電子タグをセットしておき,通信アンテナから一定の時間間隔で電波を照射し,反応の有無を検知する.オムツやガーゼが水分を含むと,電子タグの通信が阻害されることから,排尿やガーゼの交換時期を知ることができる.本研究では,電子タグをセットしたガーゼに水分を浸潤させることにより,このアイデアの実用性に関する検証実験を行った.その結果,ガーゼにある程度の水分が浸潤すると,電子タグの通信が絶たれることが確認できた.このことから,電子タグが医療用水分センサとして実用可能であることが確かめられた.
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