医療情報学
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32 巻, 6 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
原著-研究論文
  • 松岡 伸吾, 槇 弘倫, 小川 英邦, 米沢 良治
    2012 年 32 巻 6 号 p. 275-285
    発行日: 2012年
    公開日: 2015/02/13
    ジャーナル フリー
     本研究は,日常生活下における認知症高齢者の安全生活を居宅内外シームレスで支援するシステムの開発を目的とした.認知症高齢者に装着するウェアラブルセンサは,身体の動きに伴う加速度および位置を常時モニタリングすることで,危機的状況に陥る可能性がある転倒,長時間活動していない安静状態,設定した居宅エリアからの外出を検知する.危機的状況が検知された場合,ウェアラブルセンサはサーバコンピュータに姿勢,活動,位置および10秒間の環境音を送信し,サーバコンピュータは家族や介護者の携帯電話に電子メールでこれらの情報を通報する.開発した認知症高齢者安全生活支援システムは,家族や介護者による遠隔での認知症高齢者の身体状況や徘徊状況の把握を可能にし,早期の保護・介護を可能にする.
原著-技術論文
  • 長井 美和, 姜 長安, 森岡 慶, 小野 大樹, 横井 英人
    2012 年 32 巻 6 号 p. 287-294
    発行日: 2012年
    公開日: 2015/02/13
    ジャーナル フリー
     医療情報システムにおける情報の標準化を図る方法として,標準用語集の普及が必要である.われわれは,作成された用語集の現実的な運用体制を用語集の作成者とユーザが,互いに用語集を編集しながら使用していく「ライフサイクルモデル」としてモデル化した.さらに,用語集運用の過程をサポートし,標準用語集の国際規格であるISO/TS17117の理念に基づいたシステムを開発した.
     今回,3つの用語集に本システムを適用し,機能評価を行った.また,用語集運用のライフサイクルモデルのどの過程の効率化に寄与できるか,機能の有効性を検証し,さらなる改良を実施した.
     作成者とユーザの相互作業を考慮した用語集運用の「ライフサイクルモデル」における効率的な運用を本システムによりサポートし,精度の高い改訂に寄与できる可能性を示せた.今回の経験を元に,本システムを電子カルテのマスタ整備に使用できるのではないかと考え,今後検討していく予定である.
春季学術大会論文
  • 山本 景一, 角 栄里子, 手良向 聡, 横出 正之
    2012 年 32 巻 6 号 p. 295-300
    発行日: 2012年
    公開日: 2015/02/13
    ジャーナル フリー
     (緒論):臨床試験の効率化のために,試験の開始前に医療機関に存在する被験者数を正確に見積もることが重要である.(目的):本研究の目的は,電子カルテに蓄積された診療情報を利用して,臨床試験の計画段階で目標症例数を達成できるかを判定する方法を開発することである.(方法):当センターが関わった合計19の臨床試験を対象とし,当センターで開発した電子カルテ検索システムで算定した候補患者数と,実際の登録被験者数とを比較し,リクルートメントの成否の予測を行う.(結果):全試験の実施率と,予測指標として目標症例数を算定候補者数で除した値を算出した.予測指標が一定値を超える試験のすべてが目標症例数を達成できなかった.つまり,これらの試験は,試験の開始前に目標症例数に到達できないことが予測可能であった.(結論):臨床試験の成功確率向上のために,試験開始前に電子カルテを利用し予測指標を計測することが重要である.
資料
  • 相良 かおる, 小野 正子, 小作 浩美, 鈴木 隆弘, 高崎 光浩, 嶋田 元
    2012 年 32 巻 6 号 p. 301-307
    発行日: 2012年
    公開日: 2015/02/13
    ジャーナル フリー
     医療情報から新たな情報や知識を発見するためには,テキストの構造化が必要であり,その最初の言語処理は文字列を言語単位に切り分けることである.一般に文字列を言語単位に切り分けるには,形態素解析器と専用の形態素解析用辞書を用いる.
     そこでわれわれは,診療記録などの医療情報を分析するために,形態素解析器Mecab用の分かち書き用辞書ComeJisyoV1を作成し,2008年11月に,次いでComeJisyoV2を2010年1月に,そしてComeJisyoV3を2011年3月に公開している.登録語数30,146語のComeJisyoV1から,現在公開しているComeJisyoV3は登録語数41,592語となり,解析精度が約7割のComeJisyoV1に比べて,登録語の9割以上の適正な分かち書きが可能となっている.
     本稿では,ComeJisyoの概要と解析精度について述べる.
  • 佐藤 篤郎, 坂田 洋, 天野 哲史, 松本 薫, 板倉 由縁
    2012 年 32 巻 6 号 p. 309-313
    発行日: 2012年
    公開日: 2015/02/13
    ジャーナル フリー
     入院患者の多くは入院時に服用中の薬を持参する傾向にあり,その持参薬を利用する施設が多くなった.碧南市民病院では持参薬管理の効率を上げるため,次のように業務を分担している.薬剤部窓口で鑑別担当薬剤師が面談を行い鑑別報告書を作成し,調剤室で薬剤部補助員が持ち込み数を数え,病棟薬剤師が鑑別報告書をもとに病棟で服薬計画を医師等に提案している.しかし,業務を分担することにより鑑別担当薬剤師と病棟薬剤師の連携強化が必要となる.効率よく連携するために,病棟薬剤師が鑑別報告書を作成された患者を病棟でも随時把握することができる病棟薬剤師支援システムKanbe2PT(以下,本システム)を開発した.入院患者の電子カルテを開いて鑑別報告書の有無を確認した場合と本システムを使用した場合の時間を比較した結果,本システムは従来の方法よりも病棟あたり1回確認するのに約148秒短縮し,病棟薬剤業務を支援できたと考える.
  • 佐久嶋 研, 佐々木 秀直, 田代 邦雄
    2012 年 32 巻 6 号 p. 315-321
    発行日: 2012年
    公開日: 2015/02/13
    ジャーナル フリー
     テキストマイニングによる日本神経学会誌「臨床神経学」の論文タイトル分析を行い,神経内科領域の動向を量的に検討した.臨床神経学第1巻から第50巻の論文タイトルの形態素解析を行い,論文数の経年変化,疾患名および学術的医学用語の推移,対応分析による関連の検討を行った.計7,450報の論文タイトルが抽出され,疾患名では多発性硬化症,学術的医学用語では剖検が最多であった.経年変化は1980年以降に抗体・遺伝子が出現・増加し,CT/MRIは1990年頃をピークに減少していた.論文タイトル分析から,学会誌を通して発信されてきた神経内科領域に関する情報の動向が把握できた.
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