医療情報学
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33 巻, 6 号
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原著-技術論文
  • 土井 俊祐, 井上 崇, 井出 博生, 中村 利仁, 藤田 伸輔, 高林 克日己
    2013 年 33 巻 6 号 p. 301-310
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/12/19
    ジャーナル フリー
     本研究では,地理情報システム(GIS)を利用することで患者のアクセシビリティに着目した患者受療圏モデルを仮定し,将来医療需要が超過する地域を予測する手法を開発・検討した.シミュレーションの対象は千葉県,期間は2015年から2035年までとし,最新の政府統計を利用し将来人口と入院患者数を推計した.また,各病院を病床規模別に分類した後,GISにより各病院まで指定の移動時間内で到達できる範囲を調査し,患者の受療圏として仮定した.そして,受療圏内の需要に対し病床数まで供給可能であることとし,将来の需給バランスを比較した.結果として,需要がピークとなる2030年には県内で約3,400床程度が不足することが予測された.また,超過地域を500 mメッシュ地図上にマッピングすると,二次保健医療圏全体ではなく国道・鉄道沿いにのみ観測されたことから,本手法が二次保健医療圏解析と比べ,よりきめ細かい推計を行うことができる可能性が示された.
資料
  • 品川 佳満, 橋本 勇人
    2013 年 33 巻 6 号 p. 311-319
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/12/19
    ジャーナル フリー
     本研究は,電子媒体(インターネットを含む)が関係した医療機関における患者の個人情報に関する事故の現状を明らかにすることを目的とした.そのため,2008年から2012年に報道・公表された事故について,情報セキュリティサイトや新聞記事データベースから記事を収集し分析した.結果として,186件の報道記事等が収集され,その内容から以下の現状が明らかになった.
     1) 事故の起きた媒体は,USBメモリが47.0%ともっとも多かった.
     2) 原因は,紛失と盗難で84.4%と大半を占めていた.
     3) 事故は,院外・院内のあらゆる場所で発生し,媒体の院外への持ち出し理由は主に「研究・学習」,「業務継続」であった.
     4) 医師を中心に,退職者を含むすべての職種が事故を起こしていた.
     5) 漏えい(流出)につながっていた事故は10.8%と少ないが,媒体の19.0%にしかセキュリティが施されていなかった.
     6) 病名が含まれていたケース,100人以上の個人情報が含まれていたケースが半数以上あった.
     7) 47.3%の事故で病院のルールに対する違反が確認された.
  • 室 高広, 江藤 和裕, 能勢 誠一, 樋口 則英, 中村 忠博, 北原 隆志, 佐々木 均
    2013 年 33 巻 6 号 p. 321-326
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/12/19
    ジャーナル フリー
     錠剤自動分包機は自動的に 1 回服用量ごとに錠剤を包装する機械である.しかし,機械内に装置されていない錠剤や 1 回量が半錠の錠剤が処方された場合には,コンベアと呼ばれるトレイを用いて薬剤師が手作業で錠剤を振り分ける必要がある.今回,錠剤自動分包機のコンベア作動データを利用した一包化薬剤集計システムを構築した.本システムはコンベア作業の削減を目的としている.このシステムの集計データから内装バラ錠を見直し,1 日当たりの調剤中断時間,処方箋当たりのコンベア利用率,内装バラ錠の補給率を見直し前と比較した.
     その結果,内装バラ錠見直し前後で,処方箋当たりの内装バラ錠の補給率が有意に減少した.他の 2 つの調査項目も対策後で減少していた.さらにコンベア作業時間は処方箋 1 枚当たり平均12.1秒減少していた.以上より本集計システムの調剤業務への利用は有用である.
  • 魚住 秀親, 江藤 義和, 水之江 峻介, 兼重 晋, 神村 英利
    2013 年 33 巻 6 号 p. 327-332
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/12/19
    ジャーナル フリー
     病棟薬剤業務実施加算を算定するためには,薬剤師は病棟で様々な業務を行うことになる.これに伴い,薬剤管理指導業務の実施件数も増えていくことが理想であるが,福岡記念病院では電子カルテ内の薬剤管理指導支援システムが薬剤部門の端末にしかインストールされていないため,記録の作成場所に制限があり,業務の効率性に問題があった.そこで,病棟で入力可能な薬剤管理指導記録支援システムを開発した.これは市販の表計算ソフトで作成した薬剤管理指導記録入力フォームに病棟で薬剤師が入力したデータを院内ネットワークにあるファイルサーバに一時保存しておき,薬剤部門で編集するシステムであり,導入後は薬剤管理指導記録の作成時間が有意に短縮し,病棟滞在時間と薬剤管理指導件数が有意に伸びた.以上のことから,本システムは薬剤師の病棟業務の効率化に有用と考えられる.また,市販のソフトを用いて構築したため,他施設でも適用可能と思われる.
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