医療情報学
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34 巻, 6 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
原著-研究論文
  • 津久間 秀彦, 田中 武志, 池内 実
    2014 年 34 巻 6 号 p. 257-269
    発行日: 2014年
    公開日: 2016/04/20
    ジャーナル フリー
     【目的】病院情報システム(HIS)の開発・研究にとってシステム評価文献は重要である.そこで医療情報学連合大会のHIS評価文献の記載内容の形式的評価を試みた.【方法】情報処理学会の「情報システムの有効性評価・量的評価のガイドライン」を参考に6つの暫定評価項目を定義して,2010~12年の23編の文献を調査した.【結果】先行事例の調査不足,背景・目的の説明不足,新規性の表現不足,章立てと記載内容が不一致等の問題が明らかとなった.【考察】HIS開発・研究の質向上のためには,執筆者の表現意欲や創造性を妨げない粒度の投稿ガイドラインの検討が重要と思われる.
  • 西村 俊彦, 長尾 智晴, 伊関 洋, 村垣 善浩, 田村 学, 南 伸二
    2014 年 34 巻 6 号 p. 271-279
    発行日: 2014年
    公開日: 2016/04/20
    ジャーナル フリー
     医療技術の進歩に伴い熟練医師への手術手技,判断の依存が課題とされている.本研究では,手術記録として蓄積されたビデオカメラの記録から執刀医師の経験や判断プロセスの分析を行うことを目的としている.一般に,映像による記録は客観性が高いため重要シーンの抽出や知識発見などに広く用いられているが,手術記録は1症例10時間以上と長時間に及ぶため,計算機を利用して自動的に重要点を抽出したり,タグ付けを行ったりすることが求められる.
     本論文では,東京女子医科大学病院における覚醒下手術を記録したビデオカメラの映像記録に含まれる音声情報を用いて皮質の電気刺激実施区間の抽出を行う方法について述べ,次に,混合ガウス分布モデル(Gaussian Mixture Model; GMM)を用いて術中の発話者モデルを学習し,学習したモデルを用いて音声記録の話者タグ付け方法について述べる.これらの対象について検証実験を行い,音声情報を用いた手術映像からの重要点検出およびタグ付けが有効であることを示した.
資料
  • 田木 真和, 玉木 悠, 森川 富昭, 松久 宗英, 森口 博基
    2014 年 34 巻 6 号 p. 281-291
    発行日: 2014年
    公開日: 2016/04/20
    ジャーナル フリー
     健康データの登録の自動化と可視化ができるシステムを利用することで,計測者が健康改善に向けての意識変化や行動変容が起こるかどうか,健康管理を継続することにより健康データに変化が起こるかどうかについて検証することを目的としている.日常の健康管理を行う際に体重や運動の記録が自動で登録・グラフ化できるように,PCとNFC通信歩数計・体組成計・血圧計などの健康機器を連携したシステムを構築した.このシステムを利用し,健康データを日々計測することによってデータの可視化を図り,計測者が健康改善に向けての行動変容が起きるかについて検証を行った.利用期間が1年を経過している企業3社226名の利用者について,2011年10月から2013年3月までに得られたデータで分析を行った.歩数計の計測を2013年3月まで継続し続けたのは167名(73.9%)となった.歩数は「1カ月~3カ月」の平均と「4カ月~6カ月」の平均を比べると,7,299±3,731歩から7,515±4,629歩(p=0.075)へと増加傾向があった.血圧は収縮期が129.2±13.2 mmHgから127.1±13.5 mmHg(p=0.028)へ有意に減少し,拡張期も78.6±9.8 mmHgから76.0±9.9 mmHg(p=0.00016)へと有意に減少しており,BMIについても,23.3±2.9 kg/m2から23.2±2.8 kg/m2(p=0.029)へと有意に減少していた.これらの結果より,システムを利用することで開始当初に健康データが改善し,その後も血圧に関しては継続効果が認められ,健康改善に向けての行動変容が生じたと考えられた.
  • 關 真美, 椿 広計
    2014 年 34 巻 6 号 p. 293-304
    発行日: 2014年
    公開日: 2016/04/20
    ジャーナル フリー
     現在,地域医療情報連携により,電子カルテや調剤レセプト情報から薬局による処方監査が可能となりつつあるが,その必要性を具体的に示すデータは少ない.そこで,厚生労働省から全国規模のレセプトデータベース提供を受けて併用禁止医薬品等の処方実態調査を行った.
     医科入院外レセプト755,247人のうち,543,506人(72.0%)が薬局にて調剤をされていた.この中で内服薬併用投与がある431,873人のうち,添付文書上の併用注意,原則併用禁忌および併用禁忌がある者はそれぞれ204,067(47.3%),946(0.2%)および275人(0.1%)であった.併用注意は高齢者において増加し,循環器疾患用薬,糖尿病用剤,精神神経系用剤が上位を占めた.原則併用禁忌は高脂血症用剤,併用禁忌は循環器疾患用薬および精神神経系用剤に加え,片頭痛治療薬,金属イオン含有製剤,抗真菌薬,マクロライド系抗生物質,免疫抑制剤などが上位を占めた.また,医科と調剤レセプト間の併用禁忌は同一疾患に対する処方と推測される組み合わせが少ない傾向であった.
     外来患者の大半が薬局で投薬を受けている現状から,医療情報連携の必要性は高い.
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