医療情報学
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39 巻 , 6 号
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原著-研究速報
  • 大崎 美穂, 佐々木 捷人, 川中 普晴, 大西 圭, 片桐 滋
    原稿種別: 原著-研究速報
    2020 年 39 巻 6 号 p. 275-290
    発行日: 2020/06/26
    公開日: 2021/07/28
    ジャーナル フリー

     一般に手術説明書などの医療記録には,医師が疾患の部位・大きさ・状態などを図示するための身体部位図が含まれる.どの身体部位図が含まれるかは医療記録の管理や知識発見に役立つ重要な情報である.本研究では,身体部位図の種類を自動的に認識する手法の提案開発を目的とする.過去の研究では,改変加重方向指数ヒストグラム特徴量と修正2次識別関数分類器から成る手法を適用し,10種類の身体部位図認識で98.52[%]の認識率を示した.この認識率は比較的高いが向上の余地があり,また,従来手法は処理と設定が複雑,かつ,困難である問題があった.そこで我々は高い性能と簡易な処理と設定を目指し,勾配方向ヒストグラム特徴量とマハラノビス距離分類器から成る手法を提案する.10種類,および,30種類の身体部位図を認識する実験を行った結果,提案手法は大半の条件で100.00[%]の汎化認識率を達成し,従来手法よりも有効であることが示された.

総説
  • 津久間 秀彦
    原稿種別: 総説
    2020 年 39 巻 6 号 p. 291-318
    発行日: 2020/06/26
    公開日: 2021/07/28
    ジャーナル フリー

     近年,放射線読影レポートの確認漏れに伴う患者安全上の問題(以下,「確認漏れの問題」)が全国的に多発しており,多くの病院から対策事例の発表が行われている.それらを体系的に整理できれば有意義な知見が得られて患者安全の改善に寄与する可能性があるが,表現形式が多種多様なために,それらの文献から情報を抽出して整理することは容易ではない.翻って,文献整理の困難さは「確認漏れの問題」に固有ではなく医療情報システム全般に共通している.そこで,本研究では「『施設に依存しない共通的なフロー』を有する業務で『利用者行動』に起因して発生した事象」に問題を一般化した.そして,それらを論じた文献が多数存在することを仮定して,それらから「(a)原因事例集」,「(b)対策事例集」,「(c)対策のフレームワーク検討のための汎用モデル」の3つの成果物を導くための一般的な方法を提案した.

     次に,提案手法を「確認漏れの問題」に適用して有意義な知見が得られるかを検討することでその有用性を議論した.具体的には,医中誌Web等で抽出した62編(48病院)の文献を提案手法に適用した.その結果,文献の74%が1,000字以内の抄録であったにも関わらず,上記の(a)~(c)の成果物を得ることができた.そのような状況でも提案手法が有効に機能したことには「施設に依存しない業務フロー」と「利用者行動に伴って発生した問題」の2つのキーワードが重要であった.そして,今回の結果から提案手法が同様な問題に柔軟に適用可能であることが示唆された.

資料
  • 國方 淳, 十河 智昭, 谷川 雅俊, 横井 英人
    原稿種別: 資料
    2020 年 39 巻 6 号 p. 319-329
    発行日: 2020/06/26
    公開日: 2021/07/28
    ジャーナル フリー

     近年,多くのサービスやアプリケーションにおいて,それらの機能を外部から利用する際にWeb APIが用いられている.Web APIは汎用的なHTTPプロトコルによってリクエストした結果をJSONなどの処理しやすい形のレスポンスデータとして返すことにより,柔軟なデータ処理を可能としている.この仕組みは電子カルテからのデータの取得においても有用であり,HL7 FHIRやopenEHRなどの標準規格においてもデータの送受信のインターフェースとして採用されている.しかし,当院の電子カルテシステム上ではこれらの標準規格のAPIを利用できる状況になく,また比較的単純なシステム連携を行う上ではこれらの標準規格の仕様は過大であり,個々の医療機関が独自に実装するのは現実的ではない.

     そこで,今回われわれは当院の電子カルテからデータを取得するためのシンプルな構成のWeb APIの構築を試みた.その結果,Webサーバ上にAPIを構築することで,電子カルテシステム本体には改修を加えることなく電子カルテのデータを汎用的なHTTPリクエストで取得することが可能となり,また実証実験ではいくつかのWebアプリケーションと連携し実運用で利用することができた.Web APIはデータ交換のインターフェースとして非常に有用であり,今後の電子カルテには標準規格のWeb APIの実装とともに,ユーザの裁量でWeb APIで取得するデータを指定できる機能の提供が望まれる.

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