医療情報学
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40 巻, 5 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
春季学術大会論文
  • 畠山 豊, 兵頭 勇己, 奥原 義保
    原稿種別: 春季学術大会論文
    2021 年 40 巻 5 号 p. 231-237
    発行日: 2021/01/27
    公開日: 2022/02/18
    ジャーナル フリー

     急激なHbA1c値変動を予測する状態空間モデルが長期間の変動を追随可能にするため,経過記録に基づいて欠損値補間を行いながら予測計算を行う手法を提案する.モデルパラメータとして,HbA1c値とその変動量を定義し,観測値が得られた時刻では値に基づきパラメータを修正し,変動量が得られない時刻では対象時刻の経過記録から変動量に関する2クラス識別を行う事前学習済みの深層学習モデル出力値に基づきパラメータ修正を行う.高知大学医学部附属病院の患者データに提案手法を適用した結果,初回HbA1c検査から1,200日後のHbA1c値に対するRMSEが0.30となり補間を行わない手法に比べ約半分に減少した.状態空間モデルは欠損値が存在しても時系列変動を扱うことができるが,経過記録に基づく観測データ生成を行うことで予測精度向上が実現できるため,提案手法は実診療データに対する長期間の予測処理に有用である.

資料
  • Yasuto Sato, Sachiko Takehara, Kosuke Kiyohara, Noriko Kojimahara
    原稿種別: Interest Material
    2021 年 40 巻 5 号 p. 239-245
    発行日: 2021/01/27
    公開日: 2022/02/18
    ジャーナル フリー

     Development of evidence-based clinical practice guidelines in Japan became more active from around the year 2000. The objective of the present study was to clarify the present state of how clinical practice guidelines are published on the websites of academic societies of clinical medicine in Japan. In total, 355 academic societies were studied to determine whether they had created clinical practice guidelines. In the analysis, the academic societies were divided into two groups based on whether any clinical practice guidelines were listed in the Medical Information Network Distribution Service (Minds). Seven items were compared between the two groups to determine the present state of how clinical practice guidelines are published. Of the 355 academic societies, 108 (30.4%) had developed clinical practice guidelines. Academic societies whose guidelines were listed in Minds had many members, and a page link to the clinical practice guideline was shown on the index page of their websites (difference in proportions=27.3%, P=0.001). Many academic societies only published PDF files of their clinical practice guidelines on their websites. It is hoped that academic societies will publish their clinical practice guidelines on their websites, while taking into account utilization of the guidelines and user convenience.

  • 炭本 隆宏, 末繁 嘉朗, 岡原 愛, 川中 理香子, 岩田 裕明, 衛藤 大輝, 角井 厚介, 出田 博章, 松田 俊一, 田中 遼大, ...
    原稿種別: 資料
    2021 年 40 巻 5 号 p. 247-255
    発行日: 2021/01/27
    公開日: 2022/02/18
    ジャーナル フリー

     今日の薬剤業務では,様々な支援システムを利用することによって,効率化と安全性の向上が図られている.しかしながら,院内製剤業務においては,部分的な業務のシステム化を図った報告はあるものの,原料・製剤品の在庫・期限管理や調製・監査業務全般を管理するシステムの開発に関する報告は少ない.今回,われわれは院内製剤業務全般を管理することを目的として「院内製剤業務支援システム」(以下,業務支援システム)を開発し,その有用性を評価したので報告する.業務支援システムのデータベースは,原料品,中間品,製剤品および器具マスタを基本構成とし,バーコードによる入出庫,ロット管理を可能とした.また,院内製剤録に基づきレシピマスタを登録し,重量監査および画像撮影機能を導入することで調製の標準化と安全性の担保を図った.調製後は,院内製剤に関する情報が印字されたラベルおよび製剤記録表を自動発行し,在庫管理を可能とした.有用性の評価として薬剤師を対象に,業務支援システム使用・非使用時における院内製剤品の製剤記録表作成,調製,監査,在庫調整に要する時間を計測した.その結果,システム使用時に要する時間は,非使用時と比較していずれの品目においても有意差をもって短縮された.本システムの導入は,調製手順の標準化による安全性の担保と業務改善を可能にしたと考えられる.

  • 鈴木 一洋, 市川 太祐, 笠原 あや菜, 小口 正彦
    原稿種別: 資料
    2021 年 40 巻 5 号 p. 257-267
    発行日: 2021/01/27
    公開日: 2022/02/18
    ジャーナル フリー

     当院では,2017年より集学的がん診療に特化した「診療情報統合データベース」(以降,「統合DB」)を独自開発している.統合DBの手術データは,患者背景/術前情報/手術詳細/術後診断/病理所見を医師向けにまとめたものであるが,呼吸器外科領域において統合DBのデータを活用してNCD登録対象データを変換出力する仕組みを構築し,NCDデータ登録に係る作業負担の軽減を図ってきた.しかし,統合DBのデータ項目からNCD術式コードを変換出力することが困難であったため,呼吸器外科の手術DBから176項目の特徴量を抽出し,原発性肺癌(344例)ならびに転移性肺腫瘍(139例)についてNCD術式予測用分類を定義して,XGBoostによる予測精度を評価した結果,98%の正解率を得た.追加判断ロジックとして「郭清度」と「病変数」の特徴量を加えることで,NCD術式を高い精度で予測できることが確認された.

  • 佐藤 弘康, 荒井 理乃, 石田 陽美, 蝦名 勇樹, 猪谷 朱理, 久保 萌美, 三本松 泰孝, 田村 広志
    原稿種別: 資料
    2021 年 40 巻 5 号 p. 269-282
    発行日: 2021/01/27
    公開日: 2022/02/18
    ジャーナル フリー

     近年,医薬品安全対策の一環として,医薬品の調剤包装単位にバーコードが表示されるようになった.このうちPTP包装等に表示されるGS1データバーは特殊な環境下に印字されることから,その読み取りに影響する要因を医薬品背景やバーコード表示環境,バーコード品質特性から検討した.その結果,バーコード表示環境因子として「枠がある」,「シート中央印字」,「ピッチ印刷」が,バーコード品質特性因子として「ECmin」や「Decode」が,有意な読み取り良好因子として挙げられた.また,バーコード品質特性に関するISOグレード分類では,グレードAやBといった上位グレードの範囲に読み取り可否の閾値が確認された.特殊環境下に印字されるPTP包装等のGS1データバーの読み取りやすさは,既存の指標や品質グレード分類では予測が困難である可能性がある.

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