医療情報学
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41 巻, 6 号
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特集 DX後のNew Normalな医療を考える―「出来ない」から「出来る」へ― ―第41回医療情報学会連合大会(第22回日本医療情報学会学術大会)―
大会企画2
  • 折井 孝男, 宇都 由美子, 坂本 すが, 飯野 奈津子, 野間 充, 藤井 晃子, 松田 晋哉
    原稿種別: 大会企画2
    2022 年 41 巻 6 号 p. 261-267
    発行日: 2022/05/30
    公開日: 2023/06/05
    ジャーナル フリー

    【セッション抄録】

     大会長 白鳥義宗先生からのミッションである.

     「なぜ他職種が連携しないとならないのか?単に大勢集まれば良いのか?何が良いことがあるのか?医療は医者のためにあるのではない.医師はコーディネータであり,リーダーであらねばならないのか?いや,違うのか?それぞれの人の役割を果たすためには,ITは? システムは? どうサポートすべきか? 例えば,薬剤師と他職種との間の連携では,必要十分な情報が常に得られる状況なのか? 看護師は部門システムごとではなく,横断的に仕事をする必要があるが,そこの連携は十分なのか? など.他職種の中心に患者はいるか? 患者も参加する(患者目線の)これからの他職種連携の姿とは?」.

     大会長の熱意が込められている.確かにITの利活用はわれわれに業務の効率を高めるだけでなく,精度を上げている.このことは連携をより強めることになっているか.ネットワークの必要性も伺える.しかし,連携は病院に限らず地域を含め,自分の領域(部門・部署)だけのタテ組織の中だけでなく,組織全体(他診療科等)のヨコ組織の中での連携が大切である.いかに,どれほど連携が図れているか….医療における様々な情報をいかに必要としているヒトに正しく,早く繋いでいくことができるか,他職種間の連携のためには多くある情報からミニマムな情報として患者につなぐことなど,これからの他職種連携について議論できればと考える.

大会企画5
  • 渡邉 直, 澤 智博, 山本 隆一, 宇宿 功市郎, 中川 肇
    原稿種別: 大会企画5
    2022 年 41 巻 6 号 p. 269-274
    発行日: 2022/05/30
    公開日: 2023/06/05
    ジャーナル フリー

    【セッション抄録】

     医療・健康情報(health information)の概念および知識,その利活用の方法をきちんと身につけることは,医療・健康に携わる従事者(healthcare providers)ならびに健康科学研究に身を投じる研究者(health science researcher)にとってファンダメンタルな前提であると言えよう.しかるに,このhealth informaticsについて系統的にこれらの人々に教育を行うしくみが提供され,その中で標準的な実践がなされてきているだろうか.

     本シンポジウムでは,health informaticsの教育に関する国際的な動向を踏まえつつ,教育を受ける対象として上述のhealthcare providersおよびhealth science researcherを定め,この対象にどのように医療情報教育を行ってゆくべきかについて論じ,あらためて検討することを企図する.

     より具体的には,以下のopen questionsを掲げて検討をしてゆきたい.

     医療情報システムについての教育(システム構築やコンピュータ理論,ネットワーク,セキュリティ,データベース教育を含む)はどのように行われ,今後展開してゆくべきか?データを活かして医学・医療に貢献できるためのノウハウはきちんと教えられているか?要配慮個人情報を取り扱うものとしての倫理教育,法ならびにガイドラインの基本についての教育はどうか?そしてシステム的枠組みそのものではなく,その中にこめられるべき医療・健康情報コンテンツをいかに正確に記録し,かつ共有可能なものとするかについての教育はどうか?

     医療情報学会は,この課題に対して,十分な貢献をしてきただろうか? 今後それに向けて発展的に取り組んでいけるだろうか?医療情報学会が共同して取り組んでゆくべき“友”は誰か?….

シンポジウム2
  • 岡垣 篤彦, 山本 康仁, 白鳥 義宗, 草深 裕光, 上村 修二, 橋本 悟
    原稿種別: シンポジウム2
    2022 年 41 巻 6 号 p. 275-281
    発行日: 2022/05/30
    公開日: 2023/06/05
    ジャーナル フリー

    【セッション抄録】

     はじめに:COVID-19の感染が続く中,第4波では入院待ちの患者が死亡するなど,医療崩壊といえる状況が出現した.感染対策として様々な医療情報システムが作成されたが,広域システムでは,元々薄い集中治療資源を情報収集による最適配分でどこまで補えたか,今後医療資源をどこまで充実させるべきか,さらに,重症患者を多数引き受けた公立病院,一般病院をCOVID専門病院に転用した病院,大規模私立病院としての取り組みなどの検討を行い,今後の医療政策や各病院の感染対策への提言を行なう.

     方法:昨年の本学会のワークショップで取り上げた医療機関のその後の取り組みを定点観測する目的で,広域システムとして集中治療学会が立ち上げたECMOnetおよび横断的ICU情報探索システム,札幌医科大学の札幌医療圏COVID受け入れ数共有システム,単独医療機関として,重症者を受け入れた大阪医療センター,第3波の途中からCOVID-19患者の治療に特化した都立広尾病院,多数のCOVID-19患者の診療を担当した私立松波総合病院の院内システムを取り上げる.

     結果:第4波では広域システムでは登録が遅れがちとなり,さらに重症患者受け入れ能力が限界となり,重症度ごとの割当て病院に搬送する仕組みに支障が発生したが,破綻するまでには至らず,おおむね機能を果たした.社会的には重症者数や受け入れ可能病床数等の信憑性の高いデータを発信している.一方,単独医療機関のシステムも病床の頻繁な変更に対応しつつ,院内感染を防止し,感染の全貌を見える化し,発熱外来の感染対策等を行なうなど重要な役割を果たした.

     考察:広域情報システムでは機能と情報量の拡張が行われ,大きな役割を果たした.個別の医療機関においては,重症感染症病床を臨時に増床するためには物的,人的資源の再配置が短期間で実現する必要が有り,病院情報システムの能力も大きく貢献したと考えられた.

シンポジウム7
  • 松村 泰志, 大原 信, 武田 理宏, 滝沢 牧子, 池田 和之, 名越 究
    原稿種別: シンポジウム7
    2022 年 41 巻 6 号 p. 283-289
    発行日: 2022/05/30
    公開日: 2023/06/05
    ジャーナル フリー

    【セッション抄録】

     医療は益々高機能化し,多くの医療スタッフが関わる必要があり,複雑化しており,その分,インシデント・アクシデントが起こるリスクが高まっている.一方,病院情報システムが病院に広く普及し,多くの業務にシステムが関わるようになってきた.このシステムを工夫することで,インシデント・アクシデントの防止に有効となる可能性がある.平成30年度より厚労科研「医療安全に資する病院情報システムの機能を普及させるための施策に関する研究」の研究班を立ち上げ,この課題に取り組んできた.最初に取り組んだ課題は,画像レポート見落とし防止対策についてであった.問題が起こる原因,有効な対策,その対策を実施する上で必要なシステムの機能をとりまとめ,仕様書とその解説書の形でまとめた.この内容は,令和元年12月に,厚労省の事務連絡として通知された.その後,各システムベンダーがこの機能をパッケージソフトに組み込んでいるのかを調査した.また,これらの機能を持つシステムを導入した病院で,この課題についての状況を調べた.次に,薬剤投与に関わるインシデント・アクシデントの対策機能について取り組んだ.薬剤投与に関わるインシデント・アクシデントを類型化し,それぞれについて,どのようなシステムの機能があれば,その防止に有効であるかを検討し,その機能をリスト化し,システム種で整理してまとめる作業を行った.最後に,こうしたシステム機能を各病院の病院情報システムに組み入れ,インシデント・アクシデントの防止に有効に活用されるようになるために,どのような施策が有効かを検討した.本シンポジウムでは,この研究班で取り組んできたことを,各分担研究者から報告し,会場の参加者と,この課題について議論をしたい.

原著-研究
  • 渡邉 武明, 前島 悠, 門田 佳子
    原稿種別: 原著-研究論文
    2022 年 41 巻 6 号 p. 291-299
    発行日: 2022/05/30
    公開日: 2023/06/05
    ジャーナル フリー

     医薬品名称の類似は処方エラーや取り違えエラーの要因の一つである.そのため医薬品名称は製薬企業によって可能な限り類似しないよう設定されるべきであるが,近年シェアが拡大している後発医薬品(以下,後発品)では医薬品一般名称(以下,一般名称)を販売名とするために製薬企業が類似名称を回避することができない.そこで,先発医薬品(以下,先発品)を後発品に切り替えた際に名称類似性がどのように変化するかを明らかにすることを目的とし,本邦で販売されている医療用医薬品名称を,後発品を含まないA群と,後発品に変更可能な先発品をすべて後発品に置き換えたB群に分け,名称類似度を総当たりで算出し比較した.名称類似度はm2-vwhtfragを用いて算出し,スコアが0.46を超えた場合を名称類似とした.その結果,名称が類似する組み合わせの割合は,内用薬でA群2.78%,B群2.48%,外用薬でA群3.06%,B群2.96%,注射薬でA群2.85%,B群2.63%となり,先発品を後発品に切り替えた場合,剤型ごとの医薬品名称が類似する組み合わせの割合は低下した.

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