現在, むつ研究所では, 海洋表層の二酸化炭素分圧の高密度観測を可能にする漂流型二酸化炭素分圧観測装置 (小型漂流ブイ) の開発を行なっている. 一般に, ブイなどを用いた中・長期の海洋観測では, 観測期間中に機器に生物付着が発生し, 装置の機能や能力を低下させる. 海洋では生物付着防止効果に優れた塗料の防汚剤として有機スズ (トリブチルスズ) が長く利用されてきたが, 海洋環境への負荷が明らかとなり, その使用が禁止された. 本報では, 防汚剤を使用せず塗膜表面物性を利用したシリコーン系防汚塗料が, 海洋観測機器にも利用出来るかを検討するため, 各種防汚塗料とともに防汚効果の比較試験を行なった. 試験開始から500日後, シリコーン系防汚塗料を塗布したプレートが, 試験した塗料の中で最も付着物が少なく (被覆率 : 25%), 優れた防汚効果を示した. この結果より, 開発中の小型漂流ブイの生物付着防止に, シリコーン系防汚塗料を利用した.
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