日本看護管理学会誌
Online ISSN : 2189-6852
Print ISSN : 1347-0140
20 巻 , 1 号
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原著
  • 村上 優子, 佐藤 紀子
    原稿種別: 原著
    2016 年 20 巻 1 号 p. 7-17
    発行日: 2016/07/15
    公開日: 2018/08/10
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    本研究は,初めて病院を変わった看護師が,その経験を振り返り語ることを通してどのように経験を意味づけているのかを明らかにすることを目的とした.急性期病院あるいは大学病院から大学病院へ,臨床経験4年目に自らの意志で初めて病院を変わった看護師2名に,非構造化面接を行った.それぞれの看護師が語った「思っていたのと違う」という語りに注目し,現象学の態度を参考に分析を行った.病院を変わった看護師の「思っていたのと違う」という経験は,「思っていたのと違う」という事態に直面して初めて,自分が変わる前に何を期待したり予想したりしていたのかを遡って気づかせることになっていた.そしてその「思っていたのと違う」という経験は,このあらかじめもっていた期待や予想が土台となって成り立っていた.このような「違う」という経験は,これまで無自覚だった実践の仕方や思考を浮き彫りにしていた.またそれは,看護師にとって,働く方法や意味を問い直す契機となり,実践のつくり直しを促していった.また,働き続ける中で,この「違う」という経験の意味づけが更新されていくが,この意味づけの更新は,それぞれの看護師の前の病院での経験が土台となり,新たな病院での経験をつくるという形で営まれていた.さらに,病院を変わった看護師の新たな病院での実践のつくり直しの経験は,ある時点までという区切りがあるのではなく,それぞれの看護師の文脈の中でその人なりにそのつど意味づけが変化していくものであった.

報告
  • 小寺 利美, 足立 みゆき
    原稿種別: 報告
    2016 年 20 巻 1 号 p. 18-25
    発行日: 2016/07/15
    公開日: 2018/08/10
    ジャーナル オープンアクセス

    本研究は,看護師長の支援及び関わりと看護師の専門職的自律性との関連を明らかにすることを目的とした.近畿地区の200床以上の病院に勤務する,看護師経験年数1年以上の役職をもたない看護師997名に自記式質問紙調査を実施した.基本属性,職場用ソーシャルサポート(上司サポート)尺度15項目,看護管理者との関わり尺度20項目,看護師の自律性測定尺度47項目等を調査した.997名のうち,調査票が回収できた者は374名(37.5%)であった.このうち,欠損値のあった者を除外し,301名を分析対象とした.性別,看護師経験年数,看護基礎教育課程,職場での役割を調整した多変量調整ロジスティック回帰分析の結果,上司サポートは看護師の専門職的自律性に有意に関連していた(オッズ比[95%信頼区間]:1.17[1.03−1.34]).加えて,下位尺度では,情緒的サポート及び道具的サポートの両方が看護師の専門職的自律性に有意に関連していた.同様に,多変量調整ロジスティック回帰分析の結果,看護管理者と の関わりは看護師の専門職的自律性に有意に関連していた(オッズ比[95%信頼区間]:1.10[1.03−1.18]).加えて,下位尺度では,個別配慮,業務刷新,管理指導,知的喚起が看護師の専門職的自律性に有意に関連していた.看護師の専門職的自律性獲得における看護師長の支援及び関わりの重要性が示唆された.

  • 倉岡 有美子, 井部 俊子, 佐々木 菜名代, 笠松 由佳, 澤邉 綾子, 武村 雪絵, 吉田 千文, 手島 恵
    原稿種別: 報告
    2016 年 20 巻 1 号 p. 26-37
    発行日: 2016/07/15
    公開日: 2018/08/10
    ジャーナル オープンアクセス

    本研究の目的は「コンピテンシーを基盤とした看護管理者研修プログラム」を開発し評価をすることである.プログラムは,「コンピテンシー・マネジメントの展開」(Spencer & Spencer, 1993)を参考に,日本の看護管理者への適用を検討し,コンピテンシー群を基盤とした8つのモジュールで構成した.

    対象者は,プログラムの受講者33人(看護師長経験年数1~5年)であった.自作した自己評価票にて,コンピテンシー群ごとのコンピテンシーレベルを測定した.一般性セルフ・エフィカシー自己評価票にて,自己効力感を測定した.双方ともプログラム開始前と終了直後に配布し,回収数は32部であった.プログラム内容の評価にはモジュール評価票を用いた.各モジュール終了後に配布し,回収数は全モジュールにおいて33部であった.

    分析の結果,コンピテンシーレベルの全体平均値は,受講前(2.76)と比較し受講後(2.87)は,有意に上昇した(p < .05).一般性セルフ・エフィカシーの平均値は,受講前(8.71)と比較し受講後(9.65)は,有意に上昇した(p < .05).一方,コンピテンシー群では,受講前後でコンピテンシーレベルの平均値が下降したものもあった.また,受講者の理解度と満足度が低いモジュールがあった.

    プログラムは,看護管理者としてのコンピテンシーを高めるうえで,効果的であったと考える.モジュールによっては,教育内容・方法の改善の必要性が示唆された.

  • 三浦 恵美, 朝倉 京子
    原稿種別: 報告
    2016 年 20 巻 1 号 p. 38-48
    発行日: 2016/07/15
    公開日: 2018/08/10
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    本研究は看護師長が認識する「サクセスフルな部署運営」と,「サクセスフルな部署運営」を達成するための看護師長の取り組みを明らかにすることを目的に行った.調査は300床以上の総合病院1施設に勤務する看護師長経験が5年以上の看護師長9人を対象とした.1人当たり60分程度のインタビューを行い,看護師長が認識しているサクセスフルな部署運営とはどのようなものか,そのためにどのような働きかけを行っているのか,詳しく聞き取った.修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチを用いて分析を行い,分析テーマを『看護師長がとらえる「サクセスフルな部署運営」とは何か,看護師長は「サクセスフルな部署運営」を達成するためにどのような取り組みを行っているか』と設定し分析を行った.分析の結果,19の概念が抽出され,7つのカテゴリーにまとめられた.看護師長たちは【看護師の個性を把握する】【他者の視点を取り入れる】【看護師の主体性を引き出す】ことから【計画を練る】土台を作っていた.一方で【話し合いができる風土を育てる】ことにも取り組んでいた.話し合いができる風土が醸成された段階で,看護師長が考えた構想を看護師に提案することで【皆がかかわる部署運営】を引き出し,【継続性のある看護の質向上】を主導していた.看護師が変わったとしても同質の看護を提供できる部署を導出するために,看護師長は看護師との話し合いによる部署の意思決定を行っていると考えられた.

資料
  • 槙 正和, 土肥 眞奈, 叶谷 由佳
    原稿種別: 資料
    2016 年 20 巻 1 号 p. 49-60
    発行日: 2016/07/15
    公開日: 2018/08/10
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】本研究は出産・子育て期にある看護職員に提供されている病院の支援の現状と就業継続への影響を明らかにし,基礎的データとすることを目的とした.

    【方法】本研究では,8都道府県の一般病床200床以上の病院339施設における看護管理者を調査対象として,郵送による無記名自記式質問紙調査を実施した.調査内容は,看護管理者の属性,組織属性,出産・子育て支援,教育・キャリア支援,看護職員の動向の5項目とし,統計的分析には,SPSS(Version19.0)を用いて Mann-Whitney U検定を実施した.

    【結果】122名より回収され(回収率36.0%),うち110名を分析対象とした(有効回答率32.4%).短時間正社員制度は42.7%,超過勤務削減制度は36.4%の施設で実施されていた.正規看護職員に対する出産・育児による離職割合は1.0±1.2%,正規看護職員離職者に対する出産・育児による離職割合は11.3±13.5%であった.短時間正社員制度,超過勤務削減制度の実施率は低かったが,短時間正社員制度,超過勤務削減制度といった勤務制度を取り入れている施設の方が取り入れていない施設に比べ有意に出産育児による離職割合が低かった(p <0.05).

    【結論】出産・子育て期の看護職員の就業継続に対しては,短時間正社員制度,超過勤務削減制度といった勤務制度が影響していることが示唆された.

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