日本看護管理学会誌
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21 巻, 1 号
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報告
  • 渡邉 奈穂
    原稿種別: 報告
    2017 年 21 巻 1 号 p. 7-16
    発行日: 2017/07/25
    公開日: 2017/08/10
    ジャーナル オープンアクセス

    本研究は,当該部署において勤務表作成に関して看護師が共有する価値観,行動様式,取り決めを「勤務表文化」と定義し,看護師の「勤務表文化」の構成因子と属性および勤務表満足度との関連を明らかにすることとした.全国の200床以上の病院において,勤務表作成者以外の常勤看護師1,565名を対象として無記名自記式質問紙調査を実施し,有効回答が得られた917部を分析対象とした(有効回答率58.6%).因子分析の結果「勤務表文化」は,「他の看護師に対する配慮」「個人の権利と生活の尊重」「先輩と後輩の序列の尊重」の3因子によって構成されていた.「勤務表文化」と婚姻状況との関連において,「他の看護師に対する配慮」(t=3.759,p<.001)と「先輩と後輩の序列の尊重」(t=4.661,p<.001)において,既婚者よりも未婚者のほうが有意に高い得点を示した.さらに,未就学の子どものいる看護師は未就学の子どものいない看護師よりも「個人の権利と生活の尊重」(t=2.114,p<.005)と「先輩と後輩の序列の尊重」(t=2.233,p<.005)において有意に高い得点であった.

  • 松本 志保子, 片山 はるみ
    原稿種別: 報告
    2017 年 21 巻 1 号 p. 17-29
    発行日: 2017/07/25
    公開日: 2017/08/10
    ジャーナル オープンアクセス

    目的:本研究は,回復期リハビリテーション(以下「回リハ」とする)看護に従事する看護師のコンピテンシーを明らかにし,継続教育に活用できるよう難易度による段階を設定することを目的とした.

    方法:回リハ病棟での勤務経験が3年以上の看護師16名を対象に行動結果面接を行い,質的記述的に分析した.

    結果と考察:分析の結果,190の看護師の行動が得られた.抽象化を経て10のコンピテンシーが明らかとなった.それらは,[障がいの克服へと導くために信頼関係を築く],[退院後の生活を見据えた情報を入院時から得る],[リハビリテーションが効果的に行えるよう心身のコンディションを整える],[生活の再構築に向けて目標を管理する],[自己効力感が高まるような関わりで行動変容を促す],[在宅復帰への準備を整える],[家族を支える],[後輩には信念をもってリハビリテーション看護を手解きする],[患者・家族の利益のために多職種で協働する],[内省を自己成長に繋げる]であった.また,それぞれのコンピテンシーに対して難易度による4段階の行動の指標を設けた.

    結論:本研究では回リハ看護に従事する看護師のコンピテンシーとそのレベル毎の難易度を示した.難易度については今後統計学的な検証が必要である.

資料
  • 寺尾 奈歩子, 乗松 貞子, 中村 慶子
    原稿種別: 資料
    2017 年 21 巻 1 号 p. 30-39
    発行日: 2017/07/25
    公開日: 2017/08/10
    ジャーナル オープンアクセス

    病院に勤務する定年退職前の女性看護職(以下,定年前看護職)の職業経験の質と問題解決を調査し,定年前看護職の特徴を明らかにすることを目的とした.A県の病院に勤務する55~60歳の定年前看護職229名と30~40歳の中堅看護職401名を調査した.調査内容は属性と定年退職後(以下,定年後)の再就業意思,「職業経験評価尺度―臨床看護師用―」,「問題解決調査項目(PSI)日本語版」である.記述統計後,職業経験評価得点とPSI得点を定年前看護職と中堅看護職の間で比較後,定年前看護職の職業経験評価得点とPSI得点を属性別に分析した.

    結果,職業経験評価は定年前看護職が中堅看護職より有意に高く,特に仕事と生活のバランスを調整する経験,看護職としての価値基準を確立する経験,人間関係を調整する経験の質が高いことが示された.定年前看護職の属性別では,職位が高く定年後の就業意思を持つ正規雇用希望者が有意に高かった.問題解決調査は,定年前看護職と中堅看護職の問題解決行動の質は同程度であることが考えられ,特に定年前看護職の問題解決への自信が高いことが明らかになった.属性別では,職位が高い正規雇用希望者が有意に高かった.これらから,定年後も就業意欲のある看護職の特徴を活かすためには,個々の看護職の経験や知識を活かした配置を考慮すること,マネジメント力を活かした活躍の場を提供することが示唆された.

  • 中村 美香, 岩永 喜久子
    原稿種別: 資料
    2017 年 21 巻 1 号 p. 40-50
    発行日: 2017/07/25
    公開日: 2017/08/10
    ジャーナル オープンアクセス

    本研究の目的は,大学病院に勤務する看護職の専門職的自律性と経験年数による関係を明かにすることである.看護職589名を対象に看護職の自律性測定尺度を使用し,無記名自記式質問紙調査を実施した.看護職の経験年数を5群(1年目,2~3年目,4~10年目,11~20年目,21年目以上)に分けて分析を行った.質問紙調査票は435名から回収され(回収率73.9%),371名を分析対象とした.自律性測定尺度の平均値は,経験年数1年目は2.66点(SD=0.58),2~3年目は3.10点(SD=0.46),4~10年目は3.41点(SD=0.41),11~20年目は3.54点(SD=0.52),21年目以上は4.02点(SD=0.46)であった.経験年数1年目と2~3年目,2~3年目と4~10年目,11~20年目と21年目以上の群間で有意差が認められ(p<0.05~p<0.001),21年目以上も他の全ての群間である1年目,2~3年目,4~10年目,11~20年目で有意差が認められた(p<0.01~p<0.001).本研究対象の大学病院に勤務している看護職の専門職的自律性は1年から10年では上昇し,11~20年では変化がなく,21年以上では再び上昇していた.看護職の専門職的自律性を身に着けていくための支援として,経験年数を踏まえた教育方法の示唆が得られた.

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