看護職の医療・看護政策に対する意識の実態を明らかにし,政策への関心を強化する方策を検討することを目的に,全国の看護職(看護師,保健師,助産師,准看護師)を対象に,郵送法による自記式調査を行った.5,602名(有効回答率57.6%)から回答があり,以下の結果を得た.
1.回答者の約8割が医療・看護政策に対して関心をもっており,年齢が高いほど,管理職であるほど,また,看護基礎教育課程での講義および卒後教育・研修で医療・看護政策の受講経験がある者ほど関心の程度が強かった.医療・看護政策に関心をもつきっかけは,「医療問題に関するマスコミ報道」が最も多く,次に「現場の問題に直面して」であった.
2.医療・看護政策の決定過程への関心は約6割に減少し,関心がもてない主な理由は,政策決定過程に関する「情報が伝わってこないこと」であった.
3.医療・看護政策に関する主な情報源は,マスメディア,日本看護協会が発信する情報,口コミであったが,約8割が政策について考えるには情報として不足していると回答した.
4.半数以上が選挙投票時には看護政策は考慮しないと回答し,その主な理由は「他に優先される課題がある」と「どの候補者が看護を支持しているかわからない」であった.
5.投票参加には,看護政策課題や候補者に関する情報の不足も影響していることが推察され,これは若い年齢層で顕著であった.
6.候補者の看護に対する姿勢についての情報を公開することの是非については,54.4%が賛成し,反対はわずか2.1%であった.
7.政策への関心を強化するためには,看護基礎教育のカリキュラムに医療・看護政策に関連した講義を必須化すること,さらに卒後も政策について学習する機会を増やすことが必要である.さらに,最新の医療・看護政策およびその政策決定過程について,迅速にわかりやすく情報を提供するシステムを開発し整備することの必要性も示唆された.
抄録全体を表示