日本看護管理学会誌
Online ISSN : 2189-6852
Print ISSN : 1347-0140
ISSN-L : 1347-0140
6 巻, 2 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
論点:組織の刷新―リスク管理とリーダーシップ―
原著
  • 長谷川 浩子
    原稿種別: 原著
    2003 年 6 巻 2 号 p. 20-26
    発行日: 2003年
    公開日: 2018/12/28
    ジャーナル オープンアクセス

    本研究の目的は看護職者の腰痛と職業性ストレスとの関連性を明らかにし考察することである.調査は,4つの総合病院における看護職者768名を対象とし,腰痛と職業性ストレスについて,構成的質問紙を用いた郵便法による調査を実施し,以下の結果を得た.腰痛の程度で分けた2群において,腰痛重度群のほうが抑うつが強く,有意差が認められた.抑うつと「自尊心」「仕事の困難さ」「働きがいの欠如」で有意な負の相関が認められた.

    よって,多様で多忙な仕事内容や働く意欲の低下,自尊心の低下により抑うつが強くなり,腰痛の重症化に関連していたため,腰痛対策の一つとしてメンタルヘルス対策に取り組む必要があることが示唆された.

  • 久常 節子, 小池 智子, 斎藤 訓子
    原稿種別: 原著
    2003 年 6 巻 2 号 p. 27-45
    発行日: 2003年
    公開日: 2018/12/28
    ジャーナル オープンアクセス

    看護職の医療・看護政策に対する意識の実態を明らかにし,政策への関心を強化する方策を検討することを目的に,全国の看護職(看護師,保健師,助産師,准看護師)を対象に,郵送法による自記式調査を行った.5,602名(有効回答率57.6%)から回答があり,以下の結果を得た.

    1.回答者の約8割が医療・看護政策に対して関心をもっており,年齢が高いほど,管理職であるほど,また,看護基礎教育課程での講義および卒後教育・研修で医療・看護政策の受講経験がある者ほど関心の程度が強かった.医療・看護政策に関心をもつきっかけは,「医療問題に関するマスコミ報道」が最も多く,次に「現場の問題に直面して」であった.

    2.医療・看護政策の決定過程への関心は約6割に減少し,関心がもてない主な理由は,政策決定過程に関する「情報が伝わってこないこと」であった.

    3.医療・看護政策に関する主な情報源は,マスメディア,日本看護協会が発信する情報,口コミであったが,約8割が政策について考えるには情報として不足していると回答した.

    4.半数以上が選挙投票時には看護政策は考慮しないと回答し,その主な理由は「他に優先される課題がある」と「どの候補者が看護を支持しているかわからない」であった.

    5.投票参加には,看護政策課題や候補者に関する情報の不足も影響していることが推察され,これは若い年齢層で顕著であった.

    6.候補者の看護に対する姿勢についての情報を公開することの是非については,54.4%が賛成し,反対はわずか2.1%であった.

    7.政策への関心を強化するためには,看護基礎教育のカリキュラムに医療・看護政策に関連した講義を必須化すること,さらに卒後も政策について学習する機会を増やすことが必要である.さらに,最新の医療・看護政策およびその政策決定過程について,迅速にわかりやすく情報を提供するシステムを開発し整備することの必要性も示唆された.

報告
  • ―変革時にある看護職員の意識を通じて―
    永池 京子, 安里 節子, 名嘉 かつえ
    原稿種別: 報告
    2003 年 6 巻 2 号 p. 46-51
    発行日: 2003年
    公開日: 2018/12/28
    ジャーナル オープンアクセス

    本調査は,看護職の変革に対する反応タイプを探り,職場環境の変革程度を知ると同時に,そこに働く看護師が求めるリーダーの条件を明らかにすることで,主任のリーダーシップスタイルへの示唆を得ることを目的とした.調査にあたり,船川による変革への6タイプの分類を応用することにより,オリジナルの調査用紙を作成し,調査病院における2つの病棟に属する51名の看護師を対象に組織活動への意識調査を実施し,これを船川のデータと比較し,変革の程度を判定した.またリーダー条件においては,同対象者の「主任についていく条件」を調査することにより,フォロワーが求めるリーダーシップスタイルを抽出した.結果(回収率96%)は,改革推進が全体の83.7%を示しており,職場環境は変革の有事環境の傾向にあると判定された.リーダー条件の主な結果は,熟練した看護実践および指導能力であった.そして職場が変化期にある看護主任に求めるリーダーの条件は,「伝授型のOJT」から「創造型のOJT」が実践できるリーダーであることが示唆された.

feedback
Top