日本看護学教育学会誌
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11 巻, 3 号
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研究報告
  • 一実習指導者講習会受講生のレポートの分析一
    森下 路子
    原稿種別: 研究報告
    2002 年 11 巻 3 号 p. 1-16
    発行日: 2002/03/01
    公開日: 2022/04/01
    ジャーナル フリー

    目的:実習指導者に学生時の実習の振り返りを求め、実習の意義と実習指導者のあり方について考察する。

    対象およぴ方法:A県看護実習指導者講習会(8週間)の受講生72名。講習会冒頭に行ったグループワークの開始時に受講生が記入した記録を質的研究手法で分析した。

    結果:1)実習の振り返りでは楽しいことよりも辛いことが多く、辛い内容は指導者との人間関係や実習記録の作成であった。楽しいことは患者との人間関係であり、現在の看護につながっていることとしては、患者との関わりや看護観に関するものであった。2)実習にあたって学生に望むこととしては、看護観など看護に関する成果を得ることよりも、積極性や目的意識を示すことを求めていた。

    考察:1)上記より、長い目で見た実習の意義は、看護観を養うことや患者との関わりの体験を持つことであり、実践知を養うという考え方とも合致する。2)指導者のあり方では、指導者は自分たちの経験が辛いものであったにもかかわらず、学生には積極性など自分たちによく見える実習態度を期待している。このような指導者の期待は、実習生に対する心理的距離が大きいことを表し、実習指導者の自信のなさを示唆していると考えられる。

  • 前田 ひとみ
    原稿種別: 研究報告
    2002 年 11 巻 3 号 p. 17-24
    発行日: 2002/03/01
    公開日: 2022/04/01
    ジャーナル フリー

    看護学生が“患者”イメージを描画と言語を同時に用いて表現した場合、片方のみの場合と比べて看護教員が得られる情報に違いがあるのか、また、このイメージ表現の方法を看護教育活動に導入することにはどのような意味があるのかを明らかにするために、看護短大生9名を対象に、基礎看護学実習前後の“患者” イメージを描画と言語を用いて調査した。その結果、“患者”のイメージとして描画されていたものには患者だけでなく、植物、鳥、コップ等も描かれていた。そして同様のものが描画されていても、言語的説明によってそのイメージは必ずしも一致していないことや、逆に、同じような言葉で表現されたものでも抱いているイメージは異なっていることが描画によって示された。

    以上の結果から、言語に加え描画というイメージの表現を媒体とすることによって、言語または描画のいずれか一方だけでは把握できない学生のイメージが浮かぴ上がることが示された。そして看護教育活動に学生の描画と言語表現を導入することは、教員がより深く学生のイメージを理解することにつながることが示唆された。

  • 小川 久貴子, 山口 栄一, 久米 美代子
    原稿種別: 研究報告
    2002 年 11 巻 3 号 p. 25-33
    発行日: 2002/03/01
    公開日: 2022/04/01
    ジャーナル フリー

    本研究は、学内における疑似妊婦体験学習後に臨地の産科外来実習を行ない、学生の妊婦理解の違いという教育的効果を明らかにするために、学生の学ぴの内容分析を現象学的アプローチに準じて行なった。

    研究結果として、学生は産科外来実習では、妊婦の妊娠期間中徐々に身体的変化に適応し自立している姿を学んでいた。また妊婦の背景や状況・対処能力などの違いにより、個々の精神的・身体的苦痛が異なっている現状も学んでいた。

    つまり、学生は疑似妊婦体験学習に積極的に取り組み妊婦理解を行なったとはいえ、そこではまだ妊婦を外面的にとらえた「非文脈的な理解」であった。それに対し産科外来実習では、学生は、対象の状況に即した「文脈的な理解」である個別性の理解を学ぶ効果があることが明らかになった。

  • 一学生が実施したインスリン自己注射指導のレポート内容から一
    関 美奈子, 上田 稚代子, 竹村 節子
    原稿種別: 研究報告
    2002 年 11 巻 3 号 p. 35-44
    発行日: 2002/03/01
    公開日: 2022/04/01
    ジャーナル フリー

    本研究は,和歌山県立医科大学看護短期大学部2年生85名を対象に,学内演習において,学生が考えた患者教育の実践内容を明らかにすることを目的とし,その記述内容を分析した.その結果,学生が考えた息者教育の内容は,〈糖尿病に関する知識の提供〉〈インスリン注射の自己管理方法〉〈自已管理の精神面への援助〉の3つのカテゴリーに分類された.これらのカテゴリーから,学生は,「知識」「技術」「支援」という3要因で患者教育の内容を構成したことが示された.このことから,講義と演習を組み合わせて構成した本研究の教育プログラムは,患者が自己管理を行う前提要因を与える効果をもたらしたことが明らかになった.

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