日本看護学教育学会誌
Online ISSN : 2436-6595
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12 巻, 2 号
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原著
  • ーフォーカス・グループ・インタビュー法を用いて一
    坪井 桂子, 安酸 史子
    原稿種別: 原著
    2002 年 12 巻 2 号 p. 1-14
    発行日: 2002/11/01
    公開日: 2022/04/01
    ジャーナル フリー

    「教師効力」とは、教師自身がうまく教えることができそうだという信念や自信のことであり、Banduraの自已効力理論をもとに考えられた概念である。本研究では、看護教師の実習教育に対する教師効力に影響する要因について、自已効力に影響を与えるとされている4つの情報源(遂行行動の達成、言語的説得、代理的経験、生理的・情動的状態)の視点から具体的な状況について明らかにし、看護教師の実習教育に対する教師効力が向上するための方策を検討することを目的とした。看護系大学で実習教育を行なっている助手5名を対象者とし、フォーカス・グループ・インタビュー法によりデータを収集し質的帰納的方法により分析を行なった結果、以下のことが明らかとなった。

    『遂行行動の達成』の具体的な状況としては、臨床経験と実習担当領域が一致していること、学生の成長や達成がうまくできそうな自信があることなどが挙げられた。『言語的説得』の具体的な状況としては、単位認定者である上司からの言語による評価がやる気や自信に影響していることが明らかになった。上司や学生からの評価がやる気や自信の向上に繋がる一方で、学生への評価を教師に対する評価と感じる心理状態や自分の行なった指導に対してよかったという評価よりもできていないことに目がいく傾向が認められた。『代理的経験』の具体的な状況としては、単位認定者である上司の看護教師や先輩の助手、臨床指導者から実習指導のやり方やポイントを教わっていることが挙げられた。しかしながら、熟練教師の指導スタイルを自分の指導に取り込むことに困難さを実感しているという状況も明らかになった。『生理的・情動的状態』の具体的な状況としては、実習施設の受け入れ状況に関連していることが挙げられた。それぞれの教師は、自分自身の緊張や不安を軽減できた効果的な体験や情動のコントロールなどの具体的な対処方法を保持し活用していた。これらの結果から、教師効力の向上のためには、教師をとりまく実習教育環境の調整を行なうとともに、これまでの実習教育経験の中で、うまくいったと思える状況を自分の強みとして客観的に評価し認めていくことが必要であると示唆された。

  • 國重 絵美
    原稿種別: 原著
    2002 年 12 巻 2 号 p. 15-25
    発行日: 2002/11/01
    公開日: 2022/04/01
    ジャーナル フリー

    看護職の職業認識の測定尺度(以下SRPNと表す)を開発し、信頼性・妥当性を検討することを目的とした。50項目から成る質問紙による調査を看護師239名を対象に行い、有効回答数は209名であった。項目分析を行ったのち、主因子法、バリマックス回転による因子分析を行った。その結果、25項目5因子が得られ、5尺度を構成した。第1因子より尺度名を「教育」「思考・理解力」「人格」「役割理解」「社会的意義」とした。尺度の信頼性について、各尺度のCronbachのα係数は0.738から0.843で、SRPNと再検査(n=74)との相関係数は0.887であった。尺度の妥当性については、内容的妥当性を考慮して、因子分析により5因子モデルを採用した。基準関連妥当性については、生きがい感スケール、構成概念妥当性については、日本版看護専門職役割意識尺度、日本版6-D Scaleとの相関により確認した。以上により、SRPNの信頼性・妥当性が確認された。

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