日本看護学教育学会誌
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13 巻, 3 号
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原著
  • -新人看護師の自己評価による-
    高島 尚美, 樋之津 淳子, 小池 秀子, 箭野 育子, 鈴木 君江, 赤沢 陽子
    原稿種別: 原著
    2004 年 13 巻 3 号 p. 1-17
    発行日: 2004/03/01
    公開日: 2022/04/01
    ジャーナル フリー

    本研究は、新人看護師の就職直後から12ヵ月間の、看護技術を含む看護実践能力(Six-Dimension ScaleSix-DS改訂版)及び社会的スキル修得の状況とそれらの関連を明らかにすることを目的とした。平成13年度の新人看護師46名を対象とし、看護技術の経験と自身、Six-DS改訂版および社会的スキルの自己評価を就職直後、3ヵ月後、6ヵ月後、12ヵ月後の計4回調査した。その結果、新人看護師のSix-DS改訂版や社会的スキルに対する自己評価は、それぞれ3ヵ月までと6ヵ月までは低下し、それ以降は上昇していた。Six-DS改訂版総得点、計画/評価、対人関係、技術への自伯と社会的スキルは6ヵ月以降から有意な関連がみられたが、個人差は拡大していた。これらのことから、新人看護師は36ヵ月間はリアリティショックを体験しており、自己コントロールの促進や対人関係への対処能力を高める支援を基盤としながら、息者への看護過程を展開することが有効であると考えられた。また、卒前教育段階からの客観的自己評価能力の育成が必要であることが示唆された。

研究報告
  • -臨床における湯たんぽの使用状況と熱傷事故の実態調査から-
    高山 栄, 岩永 秀子
    原稿種別: 研究報告
    2004 年 13 巻 3 号 p. 19-27
    発行日: 2004/03/01
    公開日: 2022/04/01
    ジャーナル フリー

     本研究の目的は臨床における湯たんぽの使用状況と熱傷事故の実態調査から、湯たんぽに関する看護技術および看護技術教育の内容を安全の観点から再検討することである。419病院に所属する838人(各機関2人)の看護師を対象に質間紙調在を実施し、509人から有効回答が得られた(有効回答率60.7%)。データ分析の結果以下のことが明らかになった。

     所属病棟における過去5年間での湯たんぽによる熱傷事故の総件数は129件であった。熱傷事故の原因には、湯たんぼを身体から離して貼用したにも関わらず直接接触してしまったことが最も多く記載されていた。湯たんぽ作成時、使用する湯の温度を測定しない人は363人(92.6%)であり、熱湯を少しうすめた程度の湯を用いると回答した人もみられた。湯たんぽ貼用後、観察をしない人は40人(10.2%)であった。湯たんぽによる熱傷を予防するためには、接触しても安全となるような貼用方法や観察の時期などを再検討する必要性が示唆された。

  • −1年次と3年次の縦断的調査より−
    菊池 昭江
    原稿種別: 研究報告
    2004 年 13 巻 3 号 p. 29-38
    発行日: 2004/03/01
    公開日: 2022/04/01
    ジャーナル フリー

     本研究の目的は、看護学部3年生の学習意欲の特徴を1年次と3年次の縦断的調査により明らかにし、合わせて学習意欲とソーシャルサポートとの関連性を検討することである。A大学看護学部3年生を対象にして入学後間もない1年次(平成11年6月)と、基礎・成人看護学実習を終了した3年次(平成13年7月)に質問紙調査を行った。その結果、3年次学生は1年次に比べて看護への興味・関心や専門性の獲得といった内発的動機から、免許や報酬を求める外発的動機へと変化していた。重要他者からのサポート認知については、友人や母親が1年次と同様に高かった。また、学習意欲とソーシャルサポートとの間には相関が認められ、情緒的サポートが実用・充実志向と、手段的サポートが看護の専門性・自尊志向と関連していた。サポート提供者の属性別では、学外の友人の情緒及び手段的サポートが学習意欲全体と、母親の情緒及び手段的サポートが実用・充実指向、 教師の情緒的サポートが看護への興味・関心と関連性を示した。これらのことから、周囲の人々からのサポートは学生の学習継続に重要な要因であることが示唆された。

  • 上田 稚代子
    原稿種別: 研究報告
    2004 年 13 巻 3 号 p. 39-46
    発行日: 2004/03/01
    公開日: 2022/04/01
    ジャーナル フリー
  • −レポートの内容分析による学習内容の検討−
    石野 レイ子, 古屋敷 明美, 兵頭 慶子
    原稿種別: 研究報告
    2004 年 13 巻 3 号 p. 47-58
    発行日: 2004/03/01
    公開日: 2022/04/01
    ジャーナル フリー

     解剖遺体見学実習の学習内容を明らかにするために、実習後400字以内で感想内容を記載したレポートの内容分析を行った。結果から、学習内容として、【学習の深さ】と【学生の心情】のコアカテゴリーが抽出された。【学習の深さ】では『観察の方法』、『観察の内容』、【学生の心情】では『感情・気持ち』『学習への意欲』『人間の尊厳』のカテゴリーが抽出された。【学習の深さ】では、漠然とした見方による浅い学習から、既習の知識を活用し、主体的に探求した深い学習レベルヘと学習の広がりが見られた。【学生の心情】では、看護の対象理解や看護職へのコミットメントの意義が示唆された。また、看護基礎教育における解剖遺体見学実習の事前と事後の学習指導の在り方や、学習成果を各教科の学習へ統合・深化させていくためのカリキュラムの検討課題の示唆が得られた。

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