この研究の目的は、看護学生の死生観と共感性が、看護教育の中でどのように変化するかを明らかにすることであった。対象は、3年制看護短期大学の1・2・3年生であった。方法は、丹下の「死に対する態度尺度」とDavisの共感性測定尺度の下位尺度同士の得点の積率相関係数を、学年毎に比較した。
その結果、「人生に対して死の持つ意味」は、視点取得と2年生で、共感的配慮と2・3年生で正の相関関係がみられた。1・2年生でみられた「死に対する恐怖」と個人的苦痛との正の相関関係は、3年生ではみられなくなった。1年生と2年生の共感的配慮と視点取得は「死の軽視」とは負の相関関係が、また「生を全うさせる意志」とは正の相関関係がみられたが、3年生になると共感的配慮との相関関係は同じだが、視点取得との相関関係はみられなくなった。
従って、患者の死生観に対する看護学生の共感性は、2年生の専門科目の講義を受けることによって死を前にした患者に対する援助へのモチベーションが喚起されるが、3年生の実習中に患者と関わることによって感情をコントロールするようになり、患者の死生観を客観視するように変化することが分かった。
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