日本看護学教育学会誌
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17 巻, 1 号
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原著
  • 青山 美智代, 伊藤 明子, 三毛 美恵子, 須藤 聖子, 林 有学
    原稿種別: 原著
    2007 年 17 巻 1 号 p. 1-10
    発行日: 2007/07/01
    公開日: 2022/04/01
    ジャーナル フリー

    看護技術の修得状況を自己評価することは、看護技術の学習や適切な看護実践にとって不可欠である。本研究は、新しい評価の試みとして、森田らの確信度評定法を基に、看護技術の修得状況を認知領域と精神運動領域の学生の確信度評価から検討するものである。対象は、看護系大学の1年生で看護実践場面を想定した多肢選択試験と行動観察を受け、解答や行動に対する自信の程度を3段階(確実:1点、まあまあ自信あり:0.6点、全く自信なし:0.2点)で自己評価した79名の内、研究協力が得られた56名であった。多肢選択試験が正解あるいは行動が適切であった場合はプラス点、誤答もしくは不適切な動作の場合はマイナス点として得点を変換した。いずれの領域も得点が高い人ほど信憑性のある確信を表していた(p<.05)。また、得点が低い人ほど勘違いや過信傾向を示していた(p<.05)。二つの領域の得点間に相関関係はなかった(r=.19)が、確信度の間には相関関係がみられた(r=.32,p<.05)。この評価法は、学生の特性や学習過程の理解に役立つと示唆された。

研究報告
  • ─患者理解と援助目標の設定に焦点をあてて─
    丸山 優, 大塚 眞理子, 新村 洋未, 平田 美和
    原稿種別: 研究報告
    2007 年 17 巻 1 号 p. 11-18
    発行日: 2007/07/01
    公開日: 2022/04/01
    ジャーナル フリー

    目的:本研究の目的は、多職種が連携してケアの質を向上させることを学ぶインタープロフェッショナル演習(IP演習)の効果を、特に患者理解、援助目標の設定について明らかにすることである。

    研究方法:医学、看護学、理学療法学、作業療法学、社会福祉学を学ぶ学生25名を対象にペーパーペイシェントを用いた2日間の演習を行った。1日目は単一学科で演習を行い、2日目はIP演習を行い、その効果を研究者らが独自に作成した調査票を使用して比較した。

    結果:患者理解については単一学科での演習後と比較してIP演習後に有意に理解が深まっており、援助目標の設定については、事前調査、単一学科演習後調査と比較してIP演習後に、有意に理解が深まっていた。この結果、IP演習を行うことによって単一学科で演習を行うよりも患者理解、援助目標の設定について効果が得られることが明らかになった。今後、演習方法や教員の介入方法、評価方法について検討することが必要であると考えられた。

  • 風岡 たま代, 伊藤 ふみ子, 川守田 千秋
    原稿種別: 研究報告
    2007 年 17 巻 1 号 p. 19-27
    発行日: 2007/07/01
    公開日: 2022/04/01
    ジャーナル フリー

     この研究の目的は、看護学生の死生観と共感性が、看護教育の中でどのように変化するかを明らかにすることであった。対象は、3年制看護短期大学の1・2・3年生であった。方法は、丹下の「死に対する態度尺度」とDavisの共感性測定尺度の下位尺度同士の得点の積率相関係数を、学年毎に比較した。

     その結果、「人生に対して死の持つ意味」は、視点取得と2年生で、共感的配慮と2・3年生で正の相関関係がみられた。1・2年生でみられた「死に対する恐怖」と個人的苦痛との正の相関関係は、3年生ではみられなくなった。1年生と2年生の共感的配慮と視点取得は「死の軽視」とは負の相関関係が、また「生を全うさせる意志」とは正の相関関係がみられたが、3年生になると共感的配慮との相関関係は同じだが、視点取得との相関関係はみられなくなった。

     従って、患者の死生観に対する看護学生の共感性は、2年生の専門科目の講義を受けることによって死を前にした患者に対する援助へのモチベーションが喚起されるが、3年生の実習中に患者と関わることによって感情をコントロールするようになり、患者の死生観を客観視するように変化することが分かった。

  • 伊藤 千晴, 太田 勝正
    原稿種別: 研究報告
    2007 年 17 巻 1 号 p. 29-40
    発行日: 2007/07/01
    公開日: 2022/04/01
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は、今後の教育内容の検討に資する情報を得るために、戦後の看護倫理教育内容の変遷を明らかにすることである。方法は、教科書を対象とする文献研究である。戦後から今日に至るまでを、第Ⅰ期からⅣ期までに区分し、教科書の記載内容を抽出、カテゴリー化した。その結果、Ⅰ期は、『倫理とは』『倫理規定』『看護師にとっての礼儀・作法』『看護師としての心構え』など14のカテゴリーが、Ⅱ期は『倫理規定』、Ⅲ期は、『倫理規定』『生と死をめぐる問題』『患者の権利』など5つのカテゴリーが、Ⅳ期は、『倫理とは』『倫理規定』『生と死をめぐる問題』『看護における倫理上の問題』など12のカテゴリーが含まれていた。以上の結果から、看護倫理に関する教科書には、戦後から一貫して「倫理規定」が含まれていたこと、Ⅲ期までは看護師の職業倫理が中心であったこと、Ⅲ期はもう一つの柱として生命倫理が加わり、Ⅳ期になるとさらに倫理的な意思決定のための知識が加わっており、教科書の内容が時代とともに変化してきたことが示された。

実践報告
資料
  • 祖父江 育子, 太田 にわ, 村田 恵子, 江上 芳子
    原稿種別: 資料
    2007 年 17 巻 1 号 p. 49-63
    発行日: 2007/07/01
    公開日: 2022/04/01
    ジャーナル フリー

    看護実践能力を育成するために看護基礎教育に必要とされる小児看護学の教育単位と小児看護技術を組み立て、インフォームド・コンセントを得た小児看護学担当教員に、研究者らが独自に作成した試案への意見を求めた。対象者の意見や他の知見を検討し、最終案は、教育の主眼を子どもの権利擁護の重要性、ライフサイクルにおける初期の子どもの成長発達過程、現代社会における子ども・家族・環境間のダイナミックな相互作用として表現される健康生活、権利擁護・成長発達・健康生活の向上を支援する看護援助と保健・医療・教育システムとの連携とした。教育単位は、「小児看護の理念」を基盤に「権利擁護」「成長発達に関する援助」「生活の援助」「健康課題に関する援助」「家族援助」「環境に関する援助」「支援関係形成」「小児ケアシステムに関する援助」「子ども・家族の看護過程の展開」で構成した。看護技術は基礎教育で修得すべき看護技術と将来研鑽すべき看護技術を配した。

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