日本看護学教育学会誌
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22 巻, 3 号
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研究報告
  • 山田 美幸, 津田 紀子, 前田 ひとみ
    原稿種別: 研究報告
    2013 年 22 巻 3 号 p. 1-12
    発行日: 2013/03/01
    公開日: 2022/04/01
    ジャーナル フリー

    〔目的〕本研究は看護学生が臨地実習においてケアリング体験の意味を構築する過程を明らかにし、教員の支援の方法を検討することを目的とした。

    〔方法〕研究参加者はA大学医学部看護学科4年生10名である。半構成的面接法を用いてデータ収集を行い、分析にはGrounded Theory Approachを用いた。

    〔結果〕臨地実習におけるケアリング体験の意味を構築する過程には、まず【ニーズに関する気づき】、【湧き出る思い】、【ケアの熟考】で構成されるケアリング体験を導く過程があった。続いて【ケア行動】によって導かれた【心地よい感覚】や【ケアの手ごたえ】から成るケアリング体験を経て、さらに【ケアの認識・行為の変化】、【自己の強化】、【自己の深まり】という意味をもたらすケアリング体験を意味づける過程があった。そして、この一連の流れは看護学生の学びを深化させる過程であった。

    〔考察〕これらの過程において、教員は困難な状況にある学生に気づき、共に考えること、学生と対話をしながら、学生が経験を意味づけられるような支援をすることが必要であることが示唆された。

  • 谷山 牧, 甲斐 一郎
    原稿種別: 研究報告
    2013 年 22 巻 3 号 p. 13-22
    発行日: 2013/03/01
    公開日: 2022/04/01
    ジャーナル フリー

    〔目的〕臨地実習に対する看護学生の自己効力感を測定するために、Motivated Strategies for Learning Questionnaireのサブスケールである「学習に対する自己効力感尺度」を基に臨地実習自己効力感尺度を作成し、尺度の信頼性・妥当性を検討する。

    〔方法〕看護大学生49名を対象としたプレテストにおいて、尺度の因子構造、内的一貫性、再現性の確認を行った。その後、看護短期大学生121名を対象とし、実習前後で臨地実習自己効力感を測定した。

    〔結果〕プレテストと本調査の結果、1因子構造であることと、高い内的一貫性、再現性が認められた。実習前後の自己効力感測定の結果、実習後の自己効力感の向上がみられ、看護に対する内発的動機と自己効力感に有意な関連性が認められた。

    〔考察〕本尺度は、様々な臨地実習に対する自己効力感を簡便に測定することが可能な、信頼性・妥当性のある尺度であると考えられた。今後、様々な尺度との関連性や影響要因の検討を行い、有用性を検討していく必要がある。

  • ─  強化したい内容の科目担当教員と看護教員の認識の差異  ─
    林 美奈子, 小薬 祐子, 関根 龍子, 荒川 千秋, 原田 勝利, 黒臼 恵子, 堤 千鶴子, 新井 清美
    原稿種別: 研究報告
    2013 年 22 巻 3 号 p. 23-32
    発行日: 2013/03/01
    公開日: 2022/04/01
    ジャーナル フリー

    〔目的〕看護基礎教育における解剖学・生理学(形態機能学)の教育のニーズの実態を明らかにし、看護学生の知識定着を促す効果的な教育方法についての検討資料とすることを目的とした。〔方法〕看護師国家試験出題基準の『人体の構造と機能』の小項目150項目について、全国の看護系大学の教員(看護教員557名、解剖学・生理学の担当教員70名)に質問紙調査を実施した。〔結果〕30%以上の両群の教員が増やしてほしいとした項目は、2項目(体液の酸塩基平衡、ホルモンの化学的性質と作用機序)であった。10%以上の両群の教員が削ってもよいとした項目は、4項目(核酸の代謝、妊娠・分娩・産褥、胎児の発生、組織及び臓器の機能的加齢変化)であった。〔考察〕増やしてほしい項目は、体内環境の調整機能を果たしている項目であり、その学習の強化を望むのは人々の健康・生活に関与する看護学生の教育においては必然と考えられた。削ってもよい項目は、解剖学・生理学において学習するよりも、生化学・周産期医療(母性看護学)・高齢者医療(老年看護学)といった科目で、専門的知識を有した教員が教育を担うことがより適していると考える教員が多いことが窺える。

  • ─ ビデオを用いた学生の自己評価(self-evaluation)を取り入れたプログラムの検討 ─
    榎本 麻里, 浅井 美千代, 白鳥 孝子, 三枝 香代子, 堀之内 若名, 中井 裕子
    原稿種別: 研究報告
    2013 年 22 巻 3 号 p. 33-45
    発行日: 2013/03/01
    公開日: 2022/04/01
    ジャーナル フリー

    〔目的〕 技術評価表を用いたビデオ視聴による自己評価を取り入れたフィードバックは、看護技術の手順に加え、患者への対応や看護師としての課題を見出すために有用であることを明らかにする。

    〔方法〕学生の実技チェック(寝衣交換33名、包帯交換32名)をビデオ撮影し、実技チェック実施直後とビデオ視聴後に①技術評価表による自己評価と②重要と思う項目についてのアンケートを実施し、ビデオ視聴前後による自己評価と重要な項目の変化を比較検討した。

    〔結果および考察〕寝衣交換技術において、《患者への対応》や《看護師としての行動》で約9割の自己評価がビデオ視聴後に下降したことは、技術の手技・手順に加え、患者の反応や状態を確認しながら援助していくことの重要性を自覚できたためと考えられた。包帯交換技術では、ビデオ視聴後に滅菌物の取り扱いの評価が変動し、《看護師としての行動》の評価が下降した。これは、ビデオ視聴により清潔・不潔についての正確な判断ができたこと、客観的な振り返りにより、患者の安楽を考えた行動の必要性について自覚できたためと考えられた。 

  • 佐藤 美樹, 田髙 悦子
    原稿種別: 研究報告
    2013 年 22 巻 3 号 p. 47-56
    発行日: 2013/03/01
    公開日: 2022/04/01
    ジャーナル フリー

    〔目的〕在宅看護学では、生活者としての対象理解が必要であるが、学生の学びの視点は明らかではない。本研究では、在宅看護における生活者としての対象理解にかかわる学生の学びの視点を明らかにする。

    〔方法〕看護学基礎教育課程において在宅看護論実習を修了した看護学生3年次生8名を対象に、半構成的個別面接を実施し、在宅看護における生活者としての対象理解にかかわる学生の学びについて質的帰納的に分析した。

    〔結果〕生活者としての対象理解にかかわる学生の学びの視点として、【生活の個別性】、【セルフケアの主体性】、【対象者の自律性】、【対象者の環境と場】、【対象者を取り巻く人々】、【社会資源とマネジメント】の6カテゴリーが抽出された。

    〔考察〕6つの視点は、各々独立ではなく、相互に関連しつつ、臨地実習場面や関係した人とのかかわりにより得られることが示唆された。今後は生活者の理解をより深めるような教育方法の開発が課題である。

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