日本看護学教育学会誌
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23 巻, 1 号
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研究報告
  • 濵 耕子, 薬師神 裕子, 井上 仁美, 形上 五月, 陶山 啓子, 中村 慶子
    原稿種別: 研究報告
    2013 年 23 巻 1 号 p. 1-10
    発行日: 2013/07/01
    公開日: 2022/04/01
    ジャーナル フリー

    〔目的〕本研究では、看護系大学卒業生の看護実践能力に関連する要因を検討することを目的とした。

    〔方法〕国立A大学看護学科卒業生706名を対象に、卒後年数、大学での学習内容の有用性や現在の学習状況、卒業後の看護実践能力(文部科学省の学士課程で育成する能力Ⅰ~Ⅴ群を参考とした43項目)について質問紙調査を実施した。

    〔結果〕回収した有効回答224名のうち、看護師従事者111名を分析した結果、看護実践能力の得点は平均3.89±0.76点であった。

     看護実践能力の得点に関連の認められた、卒後年数、「大学在学中の学習内容の有用性」の第一因子【科学的思考力】と第二因子【看護技術】、「学会や研究会への参加」の4つを独立変数として重回帰分析を行った結果、看護実践能力各群の得点を最も高めていたのは「学会や研究会への参加」や「大学在学中の学習内容の有用性」の【科学的思考力】であった。

    〔考察〕看護基礎教育において思考過程を重視した教育を充実させることと、主体的に学習する姿勢を育成することが、卒後の看護実践能力の向上のために重要であると示唆された。

  • ─ 知識・理解、汎用的技能、態度・志向性、総合的な学習経験と創造的思考力 ─
    吉澤 千登勢, 白鳥 孝子, 真下 綾子, 工藤 真由美
    原稿種別: 研究報告
    2013 年 23 巻 1 号 p. 11-20
    発行日: 2013/07/01
    公開日: 2022/04/01
    ジャーナル フリー

    〔目的〕看護系大学の教員が、学士課程を修了した者が培うべき「学士力」について、学生の修得状況をどのように捉えているのかを明らかにする。〔方法〕20の看護系大学の教員を対象に、「学士力」に関する4要素(①知識・理解、②汎用的技能、③態度・志向性、④総合的な学習経験と創造的思考力)と自由記述から構成される質問紙調査を行い、クリスカル–ウォリス検定や内容分析などを施した。〔結果〕4つの「学士力」のうち、『態度・志向性』が最も高く、『汎用的技能』は低い傾向がみられた。また自由記述については、【基礎学力の低さ】、【コミュニケーションスキルの低さ】など8カテゴリに分類された。〔考察〕 「学士力」は相互に補完しながら育成されていくものなので、カリキュラムや教育内容及び方法について検討していくことも必要である。

  • ─  看護実践能力に焦点を当てて  ─
    鈴木 琴江
    原稿種別: 研究報告
    2013 年 23 巻 1 号 p. 21-30
    発行日: 2013/07/01
    公開日: 2022/04/01
    ジャーナル フリー

    〔目的〕2009年度から導入された新カリキュラム修了生と改訂前の旧カリキュラム修了生間における看護実践能力に関して、違いがあるか否かを検討する。

    〔方法〕新カリキュラム修了生83名と旧カリキュラム修了生209名を対象とした自記式質問紙調査とした。調査内容は対象者の属性と看護実践能力に関する52項目とし、新旧両者について比較・分析した。看護実践能力に関する52項目とは、看護実践能力の尺度開発の過程で導き出された、看護実践能力を示すと考えられる項目群である。

    〔結果と考察〕比較の結果、看護実践能力に関する52項目のうち7項目で得点間に有意差が認められ、その全てにおいて新カリキュラム修了生の得点が高かった。それらの項目は、概ねカリキュラムの改訂ポイントを反映する内容であった。以上から、新カリキュラムには看護実践能力を強化育成する効果があったと考えられる。

  • 中神 友子, 市川 誠一
    原稿種別: 研究報告
    2013 年 23 巻 1 号 p. 31-42
    発行日: 2013/07/01
    公開日: 2022/04/01
    ジャーナル フリー

    〔目的〕看護師の患者に対する看護行為の説明や意思確認の実施を明らかにするために、病院に勤務する看護師の実施状況、患者からみた必要性と体験を調査した。

    〔方法〕看護師には、先行研究をもとに「説明」、「理解確認」、「決定を待つ」、「意思確認」の4項目を指標に作成した無記名自記式質問紙調査を実施し、患者にはその質問紙を基に一部表現や内容を変更した構成的面接を実施した。

    〔結果〕12種類の看護行為全てにおいて、看護師263名が「説明」や「意思確認」などの4項目全てを実施した割合は51.8~76.5%であった。患者65名がそれらを体験した割合は72.0〜100%で、看護師の実施率より高かった。

    〔考察〕看護行為の説明や意思確認の実施状況は、「説明」、「理解確認」、「決定を待つ」、「意思確認」という4項目で把握できることが示された。

  • 松永 麻起子, 前田 ひとみ
    原稿種別: 研究報告
    2013 年 23 巻 1 号 p. 43-52
    発行日: 2013/07/01
    公開日: 2022/04/01
    ジャーナル フリー

    〔目的〕臨地実習で最も印象に残っている場面のリフレクションから導かれた看護学生自身の価値観、強みや弱みについての気づきの内容を明らかにし、気づきの有無と批判的思考態度の関係を明らかにした。 

    〔方法〕A看護系大学の4年生を対象に臨地実習で最も印象に残っている場面についてのReflective Journalと批判的思考態度尺度による調査を実施した。気づきについては意味内容の類似性によって分類し、気づきの有無と批判的思考態度尺度得点について比較した。

    〔結果〕気づきがあった看護学生は20名(57.1%)で、気づきとして【患者よりも自分の思いや立場を優先している自分】、【予想外の出来事に対応しきれない自分】、【否定的な感情に対し客観的に考えて対応できる自分】、【患者の思いに寄り添うことができる自分】、【恐れを感じるものを避けてしまう自分】、【患者と共に喜びを感じられる自分】のカテゴリが抽出できた。

     気づきの有無による批判的思考態度得点には有意差が認められなかった。

    〔考察〕臨地実習で看護学生が印象に残った場面についてのリフレクションから看護学生の弱みだけでなく、強みについての気づきがもたらされることがわかった。気づきを導くリフレクティブな思考と批判的思考については更なる検討が必要である。

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