日本看護学教育学会誌
Online ISSN : 2436-6595
Print ISSN : 0916-7536
ISSN-L : 0916-7536
26 巻, 1 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
原著
  • 菊池 麻由美, 羽入 千悦子, 佐竹 澄子, 青木 紀子
    原稿種別: 原著
    2016 年 26 巻 1 号 p. 1-13
    発行日: 2016/07/01
    公開日: 2022/04/01
    ジャーナル フリー

    〔目的〕本研究は、初めての看護学実習における学生の臨床の見え方の変化を記述し、実習期間中に生じる見え方の変化の意味を探求することを目的とした。

    〔方法〕初めての看護学実習を行う2名の学生へ実習期間中にインタビューを行った。フッサール現象学を手がかりとした質的記述的研究デザインを用いた。

    〔結果〕研究協力者は実習開始後3日目と4日目のインタビューで、自分が実習開始当初とは変化していることを感じ取って「慣れてきた」と語った。その時研究協力者には、臨床が看護学実習開始当初とは異なって見え、聞こえ、感じられていた。すなわち、病棟の場所や物品が自分や看護師の行動に結びついた姿に見え、ナースコールは驚きを伴わずに聞こえるようになり、この先の看護師の行動が読めるようになった。また、患者に挨拶するタイミングがつかめるようになっていた。

    〔考察〕初めての看護学実習で、臨床は学生にとって見知らぬものではなくなり、学生には臨床が自分や看護師の行動と結びついた、意味や価値を帯びて見えるようになる。これは学生に臨床の場に存在することを容易にさせ、臨床の場で学生として行動することを可能にする。認知や行動以前の原初的な領野におけるこの変化も、学生の看護職者への育ちであると考えられた。

  • -看護教育・実践連携評価ツールの開発に向けて-
    河部 房子, 黒田 久美子, 小山田 恭子, 上本野 唱子, 池袋 昌子, 西山 正恵, 野地 有子, 若杉 歩, 赤沼 智子
    原稿種別: 原著
    2016 年 26 巻 1 号 p. 15-28
    発行日: 2016/07/01
    公開日: 2022/04/01
    ジャーナル フリー

    〔目的〕附属病院をもつ看護系大学と実習病院のトップ管理者間の連携を成立させる要素を明らかにし、教育現場と実践現場間の連携状況の評価ツール開発に向けた基礎資料とする。

    〔方法〕国公私立大学6大学とその実習病院6施設のトップ管理者を対象に、大学・病院間の連携実態に関するインタビューを実施した。インタビューデータは質的統合法(KJ法)を用いて個別分析と統合分析を行った。

    〔結果〕統合分析の結果、Ⅰ【トップマネジャーの自部門の目標実現に向けた推進】、Ⅱ【多様な話合いの場の設定と情報共有、協働活動を通した相互理解、協働の成果の共有、これらを通した相談しあえる関係性の構築と維持】、Ⅲ【トップ同士の目標に対する強い思い、率直なやりとりを通した認識の共有、相互理解の深まり】等、5つのシンボルマークが抽出された。

    〔考察〕大学と実習病院間の連携評価ツール開発に向け、ツールを構成する連携の軸として、「大学・病院間の連携を推進・維持する仕組み」、「トップ双方の対等な関係性に基づく目標の共有」、「大学・病院の連携を円滑にする大学側の要因」等が考えられた。

研究報告
  • 日本と米国・台湾のNP教育に関する意識調査から
    森 美智子, 島内 節, 白畑 範子, 奥山 朝子, 磯崎 富美子
    原稿種別: 研究報告
    2016 年 26 巻 1 号 p. 29-42
    発行日: 2016/07/01
    公開日: 2022/04/01
    ジャーナル フリー

     現代医療におけるNurse Practitioner(NP)の必要性と教育到達目標からみた能力及び機能を明らかにすることである。高度医療の中、急性増悪の判断、合併症の判断、救命の対応など、生命・病状に責任のあるケアをするには、確実な病態判断ができる高度な医学知識が必要である。

    〔研究目的〕在宅医療推進に向けて、がん治療認定医やがん専門薬剤師と協働でき、プライマリ・ケア能力をもつNurse Practitioner (NP)教育に関する調査を、日本の医師・看護師と米国・台湾のNPに行い、NPの必要性と教育到達目標からみた能力および機能について検討する。

    〔方法〕①一般的な傷病に対応する基本的能力に必要な知識・技術、②治療、面接・管理など医療行為、③がんに特化して必要な知識・技術、④役割・業務と⑤NPの必要性を、日本の医師230名・看護師246名と米国166名・台湾115名のNPを対象に質問紙調査を行った。

    〔結果〕NPの必要性は、米国NP・台湾NPは96%前後、医師90.9%で、日本看護師61%で一番低く、教育到達目標データは、すべてにおいて米国NPが一番高く、87.3~96.0%の範囲であった。

    〔考察〕NP教育は、日本の研修医教育に用いられる一般的な傷病に対応する到達目標レベル、がんに関しては専門医の基本的能力が必要と認識している。また、患者のための医療行為に対する責任感、役割・業務と貢献についても看護の高度専門職としての認識が高く、NPが必要と考えられている。

  • 三尾 亜喜代, 曽田 陽子, 小松 万喜子
    原稿種別: 研究報告
    2016 年 26 巻 1 号 p. 43-54
    発行日: 2016/07/01
    公開日: 2022/04/01
    ジャーナル フリー

    〔目的〕臨地実習中に看護学生が注意を向ける看護師の行動と、見習いたくないと学生が認識する看護師の行動を明らかにする。

    〔方法〕臨地実習中に注意を向けている看護師の行動と見習いたくない行動について自由記述式質問紙調査を実施した。

    〔結果〕174名の回答から注意を向けている行動は、社会人・専門職としての態度、援助的人間関係の築き方など5カテゴリが抽出された。見習いたくない行動は、品格に欠ける言動、患者が萎縮する態度、不適切な技術での援助など6カテゴリが抽出された。

    〔考察〕学生は、看護師の社会人・専門職としての姿勢や振る舞いに注意を向け、質の高い実践モデルを求め、倫理的規範や原理原則に照合して見習いたくない行動を判断していた。見習いたくない行動が制止効果として機能するように、自らの行動を省み、適切な行動へ導くよう支援する必要性が示唆された。

  • −看護師のキャリア発達を促す看護師長の役割モデルの構築に関する研究より−
    星野 純子, 栗田 孝子, 西田 友子
    原稿種別: 研究報告
    2016 年 26 巻 1 号 p. 55-67
    発行日: 2016/07/01
    公開日: 2022/04/01
    ジャーナル フリー

    〔目的〕本研究は、病棟看護師長が行っている中堅看護師に対するキャリア発達への支援を明らかにすることを目的とした。

    〔方法〕一般病院の病棟看護師長を研究参加者として半構造化面接を行い、中堅看護師に支援を行っているA県内の11病院に勤務する18名のデータを質的帰納的に分析した。

    〔結果〕病棟看護師長が行っている中堅看護師のキャリア発達への支援目標として、【ライフサイクルやライフスタイルに応じて取り組む】、【自分を理解する】、【自己の責任で取り組む】等の8カテゴリーが生成された。また、それに対し中堅看護師に支援する内容として、支援目標についてのカテゴリーもしくはサブカテゴリーごとに1から10の支援内容が生成された。

    〔考察〕病棟看護師長の目指すキャリア発達は、日本看護協会の示すキャリア開発の内容とほぼ一致していた。病棟看護師長は中堅看護師の考えを知り、情緒的支援を含む多様な支援を行っていた。

実践報告
資料
feedback
Top