日本看護学教育学会誌
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29 巻, 3 号
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原著
  • 岡田 摩理
    原稿種別: 原著
    2020 年 29 巻 3 号 p. 1-13
    発行日: 2020/03/01
    公開日: 2022/04/01
    ジャーナル フリー

    〔目的〕領域別看護学実習の経験を積み重ねていく中で、学生はどのように臨床判断に必要となる思考方法を獲得していくのか、獲得していく過程に影響するものは何かを明らかにする。

    〔方法〕4大学において、小児看護学実習を終了した3年次の26名の学生から同意を得て面接調査を行い、M-GTA(Modified Grounded Theory Approach)を使って分析した。

    〔結果〕学生は、初期には【既習の枠組みに沿って試行錯誤する】が、【内省を繰り返す】中で、【患者中心の思考へ転換する】。さらに、思考や行動を積み重ね内省を繰り返す経験の中で、【援助を見出す考え方を掴む】、【患者把握のスキルを上げる】、【自分の努力すべき方向が自分でみつけられる】の考え方を獲得し、【内省を繰り返す】ことも含めて【臨床判断の拠り所となる考え方を自分のものにする】。一方で、実習中の学生には【主体的に思考する意欲が下がる】という状況もあった。

    〔考察〕学生が経験から思考方法を得るためには、様々な内省の繰り返しが必要である。個々の体験のみならず、一連の体験、複数の実習の体験の振り返りを統合するように内省を活用していくことが、思考方法の獲得につながるため、教員は内省をし続けられるように促すことが必要である。

  • 今﨑 順子, 森田 敏子, 上田 伊佐子
    原稿種別: 原著
    2020 年 29 巻 3 号 p. 15-27
    発行日: 2020/03/01
    公開日: 2022/04/01
    ジャーナル フリー

    〔目的〕看護師養成所3年課程の「退学を考える学生に対する面接時の教育活動」への影響要因を明らかにする。

    〔方法〕教員の特性ならびに「退学を考える学生に対する面接時の教育活動」と「看護学教員としての倫理的行動自己評価尺度」を用い、全国の看護教員379名を対象に、郵送法で調査を実施した。単変量解析の結果に基づくモデルを作成し、共分散構造分析で適合度を確認した。

    〔結果〕「退学を考える学生に対する面接時の教育活動」の【学生を尊重した態度】、【看護を学び続けるエール】、【相談しやすい環境】の3因子すべてに、「看護教員としての倫理的行動」が影響していた。「看護教員としての倫理的行動」には、労働時間の考え、ワークライフバランス、仕事やりがいが影響し合い、仕事やりがいを介し影響していた。退学支援人数は、【看護を学び続けるエール】に影響していた。

    〔考察〕「退学を考える学生に対する面接時の教育活動」を行うには、仕事にやりがいをもち、倫理的行動をとる重要性が示唆された。

研究報告
  • 鶴田 晴美
    原稿種別: 研究報告
    2020 年 29 巻 3 号 p. 29-41
    発行日: 2020/03/01
    公開日: 2022/04/01
    ジャーナル フリー

    〔目的〕基礎看護学実習を経験した学生が、受け持ち患者と良好な人間関係が築けたと感じた場面とその場面に至るまでの学生の気持ちを明らかにすることを目的とした。

    〔方法〕A大学看護学部で基礎看護学実習Ⅱを終了し、参加同意が得られた2年生93名。自記式・無記名の質問紙調査を行い、分析には内容分析を用いた。

    〔結果〕良好な人間関係が築けたと感じた場面は、【感謝やなごり惜しい気持ちを表出する】、【個人的な思いや感情を表出する】、【学生の存在を認め待つ】、【学生に笑顔を表出し応える】など6カテゴリー。学生の気持ちは【人として尊重する姿勢・態度をもつ】、【ニーズをとらえたケアを提供する】、【役立つ存在になりたい】などの5カテゴリーであった。

    〔考察〕学生が人を尊重する姿勢、ニーズをとらえたケアを提供するなど看護者としての役割欲求と、患者から受容・承認された過程であり、患者の役に立ちたい気持ちと自己成長へと繋がる内容と考えられた。

  • 山本 未央
    原稿種別: 研究報告
    2020 年 29 巻 3 号 p. 43-56
    発行日: 2020/03/01
    公開日: 2022/04/01
    ジャーナル フリー

    〔目的〕本研究の目的は、看護専門学校教員の実習カンファレンスにおける学生へのかかわりを明らかにすることである。

    〔方法〕教員経験5年以上の看護専門学校教員4名に、参加観察法と半構成的面接法を行い、実習カンファレンスでの教員の学生へのかかわりの場面を再構成し質的帰納的に分析した。

    〔結果〕分析の結果、教員の学生へのかかわりとして、6サブカテゴリーから【ディスカッションの様子を見守る】、【学生たちに問いかける】の2カテゴリーが導き出された。

    〔考察〕これらの教員のかかわりを検討した結果、実習カンファレンスにおける教員の役割として、消極的ファシリテーター、積極的ファシリテーターの二つと二つの使い分けを見極める能力が必要と考えられた。しかし、現状は教員個人の力量に一任されていた。看護専門学校という一組織の中で、同僚相互が「同僚性」を持ち、実習カンファレンスについて省察を行い、かかわり方を検討していく必要がある。

  • −看護教員と新人看護師研修担当者の認識:第1報−
    大西 幸恵, 山田 聡子, 中島 佳緒里
    原稿種別: 研究報告
    2020 年 29 巻 3 号 p. 57-68
    発行日: 2020/03/01
    公開日: 2022/04/01
    ジャーナル フリー

    〔目的〕看護基礎教育において学生が身に付けておくべき注射技術と課題を明らかにする。

    〔方法〕3年課程看護専門学校と200床以上の病院を都道府県別に無作為に抽出し、協力を得られた施設の看護教員208名と新人看護師研修担当者355名を対象に郵送質問紙調査を行った。各注射方法に共通する項目、皮下注射、皮内注射、筋肉内注射、点滴静脈内注射に関する項目について、看護基礎教育で習得すべき注射技術か否か考えを尋ねた。

    〔結果〕看護教員145名 (回収率69.7%)、新人看護師研修担当者256名 (回収率72.1%)から回答を得た。ともに平均値が高かったのは、適切なタイミングでの手洗い、清潔な環境の整備、注射部位の消毒、誤薬防止の確認であった。学生を対象とした穿刺・刺入の技術では認識に違いがあった (すべて<.01)。

    〔考察〕看護基礎教育では感染予防や誤薬防止の技術を身に付けておく必要がある。また、身体侵襲を伴う技術の効果的な教育方法について今後検討が必要である。

実践報告
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