日本看護学教育学会誌
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30 巻, 1 号
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原著
  • 川村 直子, 佐々木 真紀子
    原稿種別: 原著
    2020 年 30 巻 1 号 p. 1-14
    発行日: 2020/07/01
    公開日: 2022/04/01
    ジャーナル フリー

    〔目的〕看護専門学校の新任期にある看護教員の主体的学習行動に影響を与える要因を明らかにすることを目的とした。

    〔方法〕看護専門学校3年課程に勤務する教員経験3年未満の496名を対象に自記式質問紙調査を行った。調査内容は個人・組織背景、主体的学習行動は自己研鑽行動と自己成長主導性であった。

    〔結果〕主体的学習行動の自己研鑽行動には、自ら教員を志望した、教務事務、業務支援、精神支援、教育プログラム、研究指導者、研究費等の助成が有意に関係しており、自己成長主導性には、年齢、臨床経験、看護基礎教育への興味・関心、講義等の時間数、精神支援が有意に関連していた。

    〔考察〕看護専門学校の新任教員の主体的な学びを支援するためには、業務支援として先輩教員が教授活動に必要な知識や技術を提供しロールモデルを示す、研究環境や指導体制の整備、業務量調整や自律して仕事に臨める組織風土の醸成が必要であると考えられた。

研究報告
  • 小河 一敏, 坂井 謙次, 日髙 真美子
    原稿種別: 研究報告
    2020 年 30 巻 1 号 p. 15-31
    発行日: 2020/07/01
    公開日: 2022/04/01
    ジャーナル フリー

    〔目的〕地球重力を前提に「①立つ ②持つ ③動く ④基本を組み合わせる」段階性で、系統立てて体験を通して原理を学ぶことができるように授業を展開した。力学が苦手な学生に有効なボディメカニクスの教育方法を明らかにするため、この授業で学生に生じる以下の4つの教育効果を測定する。1.動きのポイントを理解できる。2.ポイントに基づいて動こうとできる。3.動きが上達する。4.力学への印象が好印象へ変化する。

    〔方法〕理解は授業の前・直後・後にテストした。動きは授業前後にチェックし、その際の意識もアンケートした。印象は授業前後で「苦手⇔得意」、「看護に役立つ⇔役立たない」でアンケートした。

    〔結果〕理解・動き共に向上し両者に相関があった。意識と動きに相関があった。印象も好転し、「看護に役立つ」印象が意識に相関し、印象の好転が理解に相関していた。理解・動き共に「足に力を入れる」の到達率が低く、他ポイントとの相関が多数あった。

    〔考察〕「系統立てた原理を体験を通して学ぶ」方法は有効と考えられる。

  • 木村 涼平, 山﨑 不二子, 増滿 誠, 一原 由美子, 田出 美紀, 上田 智之, 松浦 賢長
    原稿種別: 研究報告
    2020 年 30 巻 1 号 p. 33-42
    発行日: 2020/07/01
    公開日: 2022/04/01
    ジャーナル フリー

    〔目的〕新卒看護師となった卒業生がどの時期に大学を訪れ、どのような用件で大学教員と交流を図っているか実態を把握する。

    〔方法〕A地方大学コンソーシアムに加盟の看護系11大学367名の教員を対象とし、質問紙による無記名自記式調査を実施した。分析はSpearmanの順位相関係数とχ2検定を用いた。

    〔結果〕卒後1年以内の訪問は51件で、訪問目的は相談や帰省が最も多く、相談内容は、看護研究、職場の人間関係に関することが多かった。訪問時期は、時期間での相関はなかったが、就職1ヶ月から1年以内にかけて訪問数が増加していた。訪問時期と訪問目的では、「就職1ヶ月以内」と「相談のため」に関連が認められた。相談内容と訪問時期では、「退職について」と「就職3ヶ月」、「進学について」と「就職1ヶ月以内」、「就職半年以内」に関連が認められた。

    〔考察〕就職直後1ヶ月以内、3ヶ月、6ヶ月には大学を訪問し教員へ相談している実態が明らかとなった。新卒看護師の相談を大学教員が受け止めることで、精神的ストレスの緩和を図ることができると考察する。今後大学教員の対応を検討することは、新卒看護師の離職防止に寄与できることが示唆された。

  • 髙堂 香菜子
    原稿種別: 研究報告
    2020 年 30 巻 1 号 p. 43-56
    発行日: 2020/07/01
    公開日: 2022/04/01
    ジャーナル フリー

    〔目的〕看護系大学の新任助手が学生の学習をどのように捉え、主体的な学習を支援する上での戸惑いにどのように対処しているのかという一連のプロセスを明らかにする。

    〔方法〕2年目の新任助手4名に半構造化インタビューを行い個別分析を行った。オープンコーディングを行い、時間軸に沿って再配置し、焦点的コーディングにより抽象化した。焦点的コード間の関連を検討し、時期の変化を捉えて図式化した。

    〔結果〕A、C、D氏は【学生の思考と自身の思考のズレ】など、B氏は【自身の感覚と学生の感覚のズレ】などに戸惑っていた。対処として、A氏は大学院での振り返りで腑に落ちる体験により学習者主体の学習支援を行うようになり、B氏は学生に影響した自身のかかわりに気づき学生へのかかわり方を変えていた。C氏は自問自答を繰り返す中で主体的な学習の捉え方自体を変化させていた。D氏は自身のかかわりを振り返る中で信念に即したかかわりを見出していた。4名の戸惑いと対処のプロセスでは、それぞれ、思考や行動が切り替わる3つの局面が描き出された。

    〔考察〕局面が展開して思考が変化していくためには振り返りが重要であり、振り返りの場や経験を共有できる場の提供が重要であることが示唆された。

  • 荻野 待子, 山田 千春, 平岡 玲子, 網島 ひづる, 竹田 千佐子, 大西 英雄
    原稿種別: 研究報告
    2020 年 30 巻 1 号 p. 57-68
    発行日: 2020/07/01
    公開日: 2022/04/01
    ジャーナル フリー

    〔目的〕膀胱留置カテーテル技術実施における熟練看護師の視線運動と行動の現状を明らかにした。

    〔方法〕対象は臨床経験10年以上の看護師。視線運動測定、行動観察、自記式質問紙により、患者に視線を向けた場面、陰部消毒時の視線と手の動きの経時的変化、無菌操作・カテーテル挿入と固定・作業域の確保の方法等を情報収集した。

    〔結果〕対象5名。消毒前、カテーテル挿入前等13場面で患者に視線を向けた。消毒時は、視線で陰部を捉えた後、鑷子で綿球を把持した右手を陰部に移動させた。挿入の長さが不確実で、消毒部位の確認と部位ごとに綿球を交換する行為が不適切だった。

    〔考察〕熟練看護師は、患者接触前や安楽が阻害される場面で患者に視線を向けた。無菌操作時は、一視野でおさまらない動作を行うため、まず視覚的に情報を収集することで先を予見し、次の行動を組み立てた。一方で、挿入の長さや無菌操作の原理原則を再確認する必要性が示唆された。

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