日本看護学教育学会誌
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30 巻, 2 号
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総説
原著
  • 詰坂 悦子, 村中 陽子
    原稿種別: 原著
    2020 年 30 巻 2 号 p. 11-21
    発行日: 2020/11/01
    公開日: 2022/04/01
    ジャーナル フリー

    要旨:

    〔目的〕学生が指導者にほめられたことによる心理的変化と学修への影響を質的研究により明らかにすることである。

    〔方法〕私立看護大学2校の4年生14名を対象に、半構造化面接法にてデータ収集し、修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチを用いて分析した。

    〔結果〕13概念、7カテゴリーが生成された。学生は指導者からほめられることで、自己決定感と有能感を高め、それらに支えられた動機づけにより自律的な学修を促進させ、実習の満足感を得て、次の実習へ自信や成長を意図的に活かし学修を深めていた。一方、ほめられた内容がほめられるに値しないと感じると不信感につながり、ほめられるだけで指摘や助言がないと学修の停滞へつながることが示された。

    〔考察〕ほめによる学生への教育的効果を期待するには、指導者への信頼感に基づく人間関係が重要であり、自己決定感と有能感、メタ認知を高めるほめとともに、学修の自己評価・修正の手がかりとなる指摘や助言が必要であることが示唆された。

  • 古都 昌子
    原稿種別: 原著
    2020 年 30 巻 2 号 p. 23-35
    発行日: 2020/11/01
    公開日: 2022/04/01
    ジャーナル フリー

    要旨:

    〔目的〕看護学を学ぶ人をとらえる新たな視座を開発するために「看護職として生涯発達しているひとりの人」として看護学の学士課程修了時の学生をとらえ、「看護職としての『私』」として記述する。その上で宮澤賢治の「わたくしといふ現象」を参考に考察する。

    〔方法〕学士課程4年次で卒業を間近にした学生Aさんを協力者とした。インタビューにより、語りを対話によって生成し、語り全体を俯瞰し「看護職としての『私』」のテーマを形成するタイトルごとに解釈を記述した。B大学倫理委員会において承認を受けて実施した。

    〔結果〕Aさんのテーマは祖父が内臓破裂で亡くなった日に支えてくれた看護師の姿を胸に刻み、つらかった講義や実習、合わない教員をも克服しながら、将来は在宅看護を目指す》であり、6つのタイトルからなった。

    〔考察〕Aさんは人生の部分と全体が必然的な有機的な関係の中で相互に作用しあい、生きて未来にまなざしを向けている。刻印された出来事や出会いの中で、「看護職としての『私』」を編み直している。

研究報告
  • 近藤 奈緒子, 白水 眞理子, 宮芝 智子
    原稿種別: 研究報告
    2020 年 30 巻 2 号 p. 37-48
    発行日: 2020/11/01
    公開日: 2022/04/01
    ジャーナル フリー

    要旨:

    〔目的〕看護専門学校の若手教員が講義の授業案を改善するために行っている取り組みを明らかにし、若手教員が活用可能な授業案の充実に資する知見や授業運営に伴う困難を乗り越えるための示唆を得る。

    〔方法〕3年課程看護専門学校で同一内容の看護学の講義を2回以上担当し、授業案改善の経験を持つ教育経験1年以上5年未満の専任教員5名を対象とした。半構造化面接によりデータ収集を行い、質的記述的に分析した。

    〔結果〕若手教員は、【授業の関連性、意図を考慮し講義内容の精選を繰り返す】、【後続する演習や実習との連動性を高めるために説明や教材を追加する】、【講義内容を印象づける教材や学習方法を取り入れる】等の授業案の改善に取り組んでいた。

    〔考察〕教材の本質を探究し、学生の反応や他授業への関与を問題解決的に講義内容精選に結びつける能力、看護への関心や看護実践能力を高める教授・学習方法の適用を検討することの重要性が示唆された。

  • 髙野 真由美
    原稿種別: 研究報告
    2020 年 30 巻 2 号 p. 49-59
    発行日: 2020/11/01
    公開日: 2022/04/01
    ジャーナル フリー

    要旨:

    〔目的〕看護学生が高齢者との世代差言語を知らないことと、コミュニケーション時の情緒状態及びコミュニケーションスキルへの影響を明らかにし、効果的な高齢者とのコミュニケ―ション方法について教育的示唆を得る。

    〔方法〕無記名自記式質問紙を用いた配布回収法で、看護学生547人に配布し392人回収(71.7%)、358人が分析対象である。調査票は自己作成した世代差言語50語とコミュニケーション時の情緒状態、既存のコミュニケーションスキル尺度を使用した。

    〔結果〕高齢者の話を理解ができない経験の有る学生は世代差言語の得点が低く、否定的な情緒状態にあるとコミュニケーションスキル尺度に負の相関を示した。

    〔考察〕世代間交流とコミュニケーション方法が変化し世代差言語の得点が低下した。看護学生が高齢者とのコミュニケーション時に世代差言語を理解していると、コミュニケーションに効果的であると考える。

  • 宗内 桂
    原稿種別: 研究報告
    2020 年 30 巻 2 号 p. 61-72
    発行日: 2020/11/01
    公開日: 2022/04/01
    ジャーナル フリー

    要旨:

    〔目的〕副看護師長(以下、副師長)が必要と認識する役割遂行上の支援を明らかにし、副師長への教育的支援体制を検討することを目的とした。

    〔方法〕3施設の副師長を対象に半構造的インタビューを行い、副師長が必要と認識する役割遂行上の教育的支援について質的帰納的に分析した。

    〔結果〕副師長26人の参加が得られた。副師長が必要と認識する役割遂行上の教育的支援は、昇任前の《昇任後に役立つ昇任前の経験》、《次期副師長としての昇任前教育》と、昇任後の現場教育である《師長による教育的関わり》、《副師長同士の教育的関わり》と、職場外教育の《学びが得られる研修への参加》、《副師長昇任後に期待する教育》であった。

    〔考察〕副師長への教育的支援は、中堅スタッフから副師長への円滑なキャリア移行のために昇任前から必要である。昇任後は、副師長が成人学習者であるという前提のもと、自律的に学ぶ姿勢をどのように支援するかという視点を取り入れる必要がある。

実践報告
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