日本看護学教育学会誌
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31 巻, 3 号
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原著
  • 近 直子, 山田 聡子, 中島 佳緒里, 巻野 雄介
    原稿種別: 原著
    2022 年 31 巻 3 号 p. 1-10
    発行日: 2022/03/01
    公開日: 2022/04/01
    ジャーナル フリー

    〔目的〕臨地実習指導者の役割遂行における自己評価指標を開発し、妥当性・信頼性を検討することを目的とした。

    〔方法〕先行研究に基づき31項目の自己評価指標を作成し、指導者を対象に質問紙調査を行った。因子分析、既知グループ法、日本語版ECTBとの相関により妥当性を確認し、Cronbach’sα係数、I−T相関により信頼性を確認した。

    〔結果〕1,175人の回答を得た。因子分析の結果、31項目は【病棟スタッフとの連携】、【教員との連携】、【学生の看護実践に対する支援】、【実習指導準備】、【看護実践者としての役割モデル】、【学生に寄り添う姿勢】の6因子で構成された。実習指導者講習会受講者は、未受講者に比べ指標総得点が有意に高く、本指標と日本語版ECTBとの間に高い正の相関を認めた。各因子のCronbach’sα係数は.792~.843の範囲内であり、I-T相関は.300以下となる項目はなかった。

    〔考察〕本指標は妥当性・信頼性を備え、指導者の自己評価指標として活用が可能であることが示唆された。

  • -知識と技術を活用した看護を実践できる看護職者養成に向けて-
    菊地 小百合, 野本 百合子, 岡田 ルリ子
    原稿種別: 原著
    2022 年 31 巻 3 号 p. 11-22
    発行日: 2022/03/01
    公開日: 2022/04/01
    ジャーナル フリー

    〔目的〕知識と技術を活用した看護を実践できる看護職者の養成に向け、看護技術演習において教員がどのような意図に基づく教授活動を展開しているのかを明らかにし、その特徴を考察する。

    〔方法〕全国の3年課程看護師養成教育機関に就業し、教員として3年以上の経験があり、かつ看護技術演習を担当する教員232名を対象に、郵送法による質問紙調査を実施した。データ分析には、Berelson, B. の方法論を参考にした看護教育学における内容分析を用いた。

    〔結果〕104名から返送があり、具体的な記述のあった97名のデータを分析した結果、「基盤となる知識の定着を意図した援助と根拠を結びつける発問と補足説明」等、看護技術演習における教員の意図に基づく教授活動18カテゴリが明らかになった。

    〔考察〕明らかになった18カテゴリを文献と照合し、考察した結果は、技術演習を担当する教員の意図に基づく教授活動が『根拠に基づいた技術の修得を目指して、指導体制を整備すると共に段階的な学習と反復練習機会を提供する授業計画を立案する』等、6つの特徴を有することを示唆した。

研究報告
  • 大西 奈保子, 田中 樹
    原稿種別: 研究報告
    2022 年 31 巻 3 号 p. 23-34
    発行日: 2022/03/01
    公開日: 2022/04/01
    ジャーナル フリー

    〔目的〕臨地実習で終末期の患者を受け持った看護学生の成長に関連した体験を明らかにすることを目的とした。

    〔方法〕成人看護学実習で終末期の患者を受け持った学生10名に終末期の患者・家族にどのようにかかわり、その時の学生の考えや思いを中心に話してもらい、その内容を質的帰納的方法で分析した。

    〔結果〕終末期の患者を受け持った学生の成長に関連した体験には、心理的にも患者のそばに行こうとする【患者・家族とのかかわり】によって【自己を見つめる】ことにつながるかかわりがある一方で、患者を避けるようなかかわりがある。そして、前者を強め、後者から抜け出せるような【一歩踏み出すきっかけ】が明らかとなった。

    〔考察〕臨地実習において、終末期の患者を受け持つ学生の不安を軽減し、心理的にも患者・家族のそばに行くかかわりができるようになるための支援が必要である。

  • 大賀 知津子, 吾妻 知美
    原稿種別: 研究報告
    2022 年 31 巻 3 号 p. 35-46
    発行日: 2022/03/01
    公開日: 2022/04/01
    ジャーナル フリー

    〔目的〕長期ローテーション研修を経験した中堅看護師が認識する自身の変化を明らかにする。

    〔方法〕長期ローテーション研修に参加した中堅看護師9名を対象に、長期ローテーション研修後の認識する自身の変化について、半構成的面接を行い、内容分析を用いて分析した。

    〔結果〕長期ローテーション研修を経験した中堅看護師が認識する自身の変化として、【違う自分への気づき】、【心が動く経験】、【キャリアを考えるきっかけ】、【他部署とのつながりの自覚】、【所属部署を見直す機会】の5カテゴリーが抽出された。

    〔考察〕中堅看護師は、長期研修を経験することで、所属部署での役割から解放され精神的なゆとりと自己省察の機会を得、新たな自己の発見やキャリアについて考えるきっかけとなっていたことが示唆された。

  • −制度導入に対する大学教員と新卒看護師の考え−
    田出 美紀, 山崎 不二子, 増滿 誠, 上田 智之, 木村 涼平, 二重作 清子, 一原 由美子, 松浦 賢長
    原稿種別: 研究報告
    2022 年 31 巻 3 号 p. 47-60
    発行日: 2022/03/01
    公開日: 2022/04/01
    ジャーナル フリー

    〔目的〕大学教員メンター制の導入に対する教員と新卒看護師の考えを明らかにし、モデル構築の基礎的資料とする。

    〔方法〕本研究は、福岡県立大学の倫理審査委員会の承認を得て実施した。看護系11大学の教員11名、卒業生の新卒看護師10名に半構造的にインタビューし、質的帰納的に分析した。

    〔結果〕他大学卒の新卒看護師への支援に対する教員の考えは【メンターとしての資質と心構えが必要】など5カテゴリ、他大学の教員からの支援に対する新卒看護師の考えは【メンター制や大学教員への期待】など3カテゴリが得られた。教員は【運用するためのシステムと周知】など4カテゴリ、新卒看護師は【安心できる大学教員の対応】など5カテゴリが課題であった。

    〔考察〕教員、新卒看護師とも制度の可能性や必要性に前向きだが、懸念や課題もあった。導入にはシステム構築や相談環境の整備、メンターとなる教員の組織的支援の必要性が示唆された。

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