日本看護学教育学会誌
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6 巻, 1 号
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総説
原著
  • -京都大学医療技術短期大学部における調査-
    祖父江 育子
    原稿種別: 原著
    1996 年 6 巻 1 号 p. 11-22
    発行日: 1996/03/01
    公開日: 2022/04/01
    ジャーナル フリー

    看護に関する知識・技術・態度の修得過程を適応の観点から明らかにするために、『統合的看護知識・技術』『基礎的看護知識・技術』『態度』の3因子から構成される「看護婦に必要な要件尺度」を作成し信頼性と構成概念的妥当性を検討した。ついで京都大学医療技術短期大学部看護学科1-3回生187名を対象に、「看護婦に必要とされる要件」「学生が到達している要件」について調査した。看護学生は3学年を 通じて「看護婦に必要な要件」3要件を一貫して高く認知していた。学生の到達度では『態度』が3学年を通じて景も到達度が高く、『統合的看護知識・技術』と『基礎的看護知識・技術』は3回生において有意な上昇が認められた。必要要件の高さから動機の重要性が、3回生における知識・技術の到達度の上昇から臨床実習の重要性が示唆された。また『統合的看護知識・技術』の到達度の低さから卒後教育への課題が示唆された。

  • -看護学履修初期における学生の病気体験と想像力との関連性-
    大串 靖子
    原稿種別: 原著
    1996 年 6 巻 1 号 p. 23-34
    発行日: 1996/03/01
    公開日: 2022/04/01
    ジャーナル フリー

    大学で看護学を履修する初期の学生17名を対象に自由記述で自己の病気体験と他者の病気体験に対する想像の内容とを調べ、記述内容の文脈を要約・分類することにより分折した。自己の病気体験は、体験した疾患などの事実、その時の対処行動、多様な気持の実感に大別された。中で多かったのは実感した気持の記述であり、その内容は苦痛、悩み、不安、さびしさ、悲しみなどであった。また、他者の病気体験への想像の内容は、病人の気持、病気の意味、必要な援助などに大別された。中で多かったのは、病人の気持であり、その内容は不安、恐怖、気弱になる、焦り、孤独感などであった。想像内容と関連が認められた実感内容は怒り、苦痛、焦り、辛さ、悲しみ、さびしさ、安心感などで、それらとの関連で想像された内容は主に、病気の意味の解釈や精神的な授助の必要性であった。

  • 救急認定医指定施設における実態調査
    森田 孝子
    原稿種別: 原著
    1996 年 6 巻 1 号 p. 35-44
    発行日: 1996/03/01
    公開日: 2022/04/01
    ジャーナル フリー

    質の良い看護を提供するためには、現場での教育の充実が重要な要素となる。救急医療・集中治療に従事している看護者に対する現場での教育の実態を把握し、その結果から現場で行う具体的な教育モデルを作成するにあたって考慮しなければならない問題点を明らかにする目的で、全国の107救急認定医指定施設を対象に、現場での教育について調査を行った。調査の結果から、(1)卒後年度別に教育計画をたて、個別的なプリセプター方式の指導方法をとっている施設が多かった。(2)指導内容について因子分折を行い、5つの因子を抽出した。因子別項目得点からみると、因子「救急看護の知識と技術」に属する項目が最も高頻度に行われており、因子「生命観と心理社会的技能」が最も低い実施頻度であった。(3)施設の種類別に指導内容(因子別項目得点)をみると、これら全てにおいて有意な施設間の差を認めた。

  • 木村 紀美, 米内山 千賀子, 花田 久美子
    原稿種別: 原著
    1996 年 6 巻 1 号 p. 45-52
    発行日: 1996/03/01
    公開日: 2022/04/01
    ジャーナル フリー

    効果的な実習を展開するには、学生個々の自我状態を知って関わることも重要であると考え、エゴグラムの変動と実習成績との関連を検討した。97名の学生を対象に2年次と4年次の2回エゴグラムを調査した。エゴグラムは5つの自我状態の得点を分析した。さらに、エゴグラムパターンをCP優位群、NP優位群、A優位群、FC優位群、AC優位群に分類した。実習成績は、3年次初期と4年次最後の外科系看護学実習の評価を用いた。その結果、①エゴグラムプロフィールは2・4年次ともNP得点の高いNP優位型を示した。②優位型で実習評価をみるとFC優位型は3年次で知識、態度、総合点が有意に低かったが、4年次では差がなかった。③実習評価総合点は80点未満の学生のエゴグラムプロフィールはACが有意に高くなっており、A、FCが低くなっていた。今回、AよりNPが伸びていたことから指導者は、Aの自我状態を伸ばせるように助言していく必要があろうと考える。

研究報告
  • 平河 勝美, 宮島 朝子, 近田 敬子
    原稿種別: 研究報告
    1996 年 6 巻 1 号 p. 53-61
    発行日: 1996/03/01
    公開日: 2022/04/01
    ジャーナル フリー

     看護系大学の編入学教育には課題が多いが、その一つに学習者特性の解明がある。

     本研究では、編入学教育の検討に資するために、編入学の資格要件を持つ看護者225名を対象に、質問紙法によって学習要求の内容や程度を調査、分折した。

     その結果、編入学志望者は37名にとどまり、編入学制度を知らない者が20名に上った。

     編入学に興味または志望を抱いていた153名の意識を見ると、社会科学と看護学に対する学習要求が高いが、学習要求の程度は漠然とした関心のレベルである場合が多い。また、学習成果の判断には知識の獲得を基準にしており、看護実践上の能力不足の自覚が学習要求を形成している、などが明らかになった。

     このような認識関心にはそれまでの経験の影響が推察され、編入学教育には学習要求の直接的な満足のみならず、「経験の意味づけ」に向けての援助が必要であると考えられる。

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