北ヨーロッパ研究
Online ISSN : 2433-4596
Print ISSN : 1880-2834
ISSN-L : 1880-2834
最新号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
特集論文
  • ユハ サウナワーラ
    2024 年20 巻 p. 1-6
    発行日: 2024年
    公開日: 2026/03/31
    ジャーナル フリー

    北欧研究と北極域研究は、地理的な範囲が一部重なっている異分野の地域研究である。両研究分野は北欧諸国の北部における社会的、政治的、経済的、文化的なプロセスに興味を持っている。本論文は、これらの地域に関する研究結果は、それが北極域から分析されるか、北欧の視点から分析されるかによって異なる可能性があると主張している。この問題を詳細に説明するために、本研究はフィンランド、ノルウェー、スウェーデンの北部のインフラ開発に焦点を当てている。異なる解釈が可能であることを指摘しながら、この論文はさまざまなアプローチが対立しているのではなく、お互いを補完していることを強調している。したがって、これらの地域の過去、現在、将来の発展を理解することを目指す研究は、北欧研究と北極域研究の協力から利益を得る。

  • —統治・自治・独立—
    高橋 美野梨
    2024 年20 巻 p. 7-18
    発行日: 2024年
    公開日: 2026/03/31
    ジャーナル フリー

    本稿は、デンマーク領グリーンランドにおける自治の性質と状態を考察の対象とするものである。4つのチェックポイントを設けている。一つ目は、バスク、カタルーニャ、コルシカ等の地域における自治を説明する際に、陰に陽に共有されてきた準拠枠を整序する。二つ目は、他の共時的な事例との対比において、グリーンランドの自治がどのような意味で「異なっている」のかを明らかにする。三つ目は、グリーンランドにおける自治が顕現する歴史的身体性がいかなるものであるかを、デンマーク国家の歴史の中から跡付ける。四つ目は、近年のデンマーク国家における主従関係の動態をふまえつつ、2023年に起草された憲法試案の位置付けについて考察を加える。

論文
  • 岸田 未来
    2024 年20 巻 p. 19-29
    発行日: 2024年
    公開日: 2026/03/31
    ジャーナル フリー

    本稿は、男女間賃金格差の是正を目的とするスウェーデンの賃金調査について、①男女間賃金格差がどのように検証されているか、②労働市場全体の賃金調査の実施状況、という2点を検討した。その結果、賃金調査の意義として、同一労働のみならず同一価値労働における格差分析も義務付けられており、実際に賃金格差が是正されるケースもあることから、男女間賃金格差是正に一定の役割を果たしていることが明らかとなった。他方で課題としては、賃金調査における職務評価と賃金分析の内容が雇用主によって多様であり、賃金格差の根拠として「市場の力」が認められているため、男女間の格差縮小への効力が弱まる可能性があること、また民間部門における賃金調査の実施状況は公共部門よりも悪い点が明らかとなった。最後の点は、賃金調査に対する監督機能が十分に機能していないこと、また職場労働組合の取組みの不十分さにも起因すると考えられる。

  • —国境を越える移民教育政策の形成とその北欧化の模索—
    天池 洋介
    2024 年20 巻 p. 31-40
    発行日: 2024年
    公開日: 2026/03/31
    ジャーナル フリー

    北欧諸国をはじめヨーロッパでは移民が急増した2015年以降、移民の教育政策については移民の子供の教育政策と移民の成人の教育政策、つまり統合政策の2つが焦点となっている。北欧協力の活動計画においては、特に労働市場政策で移民の統合政策が位置づけられている。また、北欧協力における個々の移民教育政策を検討した結果、それらはOECDやEUの政策の枠内にありながらも、独自に北欧化した移民教育政策を構築していた。結論として、北欧地域レベルの国際機関である北欧協力は、グローバルレベルの国際機関である国連における目標設定による政策枠組み、OECDにおける分析や政策提言、ヨーロッパレベルの国際機関であるEUにおける制度構築による政策枠組みの枠内で移民教育政策を展開しながら、政策実装・実践による政策枠組みを形成して独自に北欧化した移民教育政策を構築していることが明らかになった。

  • —アイスランドにおける女性議員の増加の背景—
    塩田 潤
    2024 年20 巻 p. 41-50
    発行日: 2024年
    公開日: 2026/03/31
    ジャーナル フリー

    アイスランド議会で女性議員が顕著に増加する契機となったのは1983年の選挙である。とりわけ、女性のみを擁立する政党、女性同盟の台頭は重要であった。本稿では、1970年代から80年代にかけての政治社会におけるジェンダー関係の変化に焦点を当て、女性同盟の台頭の背景を紐解く。分析の結果、1975年の「女性の休日」、1980年の大統領選挙、1983年の女性同盟の議会参入といった一連の政治過程の中で先行する女性たちの政治行為が後続の女性たちの政治的集合行為のための政治的機会構造を開いてきたことが明らかとなった。これをふまえて、本稿は現代アイスランド政治におけるジェンダー平等の進展を理解するためのひとつの説明枠組みとして「フェミニスト・サイクル」を提示する。

研究ノート
  • —生徒の参加に注目して—
    葉上 千紘
    2024 年20 巻 p. 51-59
    発行日: 2024年
    公開日: 2026/03/31
    ジャーナル フリー

    スウェーデンでは、4年に一度の総選挙と同時期に学校選挙(skolval)が行われている。2022年に行われたスウェーデンの学校選挙では、学校で政治家を招いた討論会を開催するなど政治的題材を学校教育で積極的に扱う実践が行われていることが確認された。また、学校選挙での投票は障がいのある生徒を含めた全ての生徒の平等な参加を可能にしており、学校選挙の運営にも生徒が参画するなど、生徒の参加を通した学びを促進する事例であった。学校選挙を通して生徒の政治や社会参加への関心が高まっただけではなく、家族や友人などの身近なコミュニティの中での政治や社会問題に関する議論が促されていた。このような身近なコミュニティでの議論は、北欧諸国の若者の参加の中心的形態となっている。2022年学校選挙は、生徒が一市民として政治や社会問題について主体的に考え、議論し、投票という形で社会に発信することができる機会となっていた。

  • Public Enterprise Accounting and Interdivisional Cooperation in Oulu City
    鈴木 伸
    2024 年20 巻 p. 61-70
    発行日: 2024年
    公開日: 2026/03/31
    ジャーナル フリー

    Municipalities have recently broadened their roles to address climate change and digitalization. Globally, they are adopting varied methods to respond to societal and citizen needs. Comprehensive urban management is crucial for their survival, involving strategic resource and organizational combinations to address policy needs and manage infrastructure projects sustainably. This approach is critical to enhancing urban competitiveness and sustainability, particularly amid population decline and technological advances.

    The Finnish Kunta Konserni model exemplifies this strategy. It involves municipalities managing business divisions, owning public enterprises, and collaborating with the private sector to provide services like energy and education. This study reconsiders comprehensive urban management's role in securing financial resources and supporting the Nordic welfare system. It focuses on how profitable enterprises' decision-making processes and profits are integrated into city budgets and the collaboration between municipal departments and public enterprises.

    The study examines Oulu City in Finland, where Kunta Konserni operates under city council strategies. A concern manager oversees city subsidiaries, aligning them with municipal strategies for financial integration, thus balancing resources and enhancing welfare state sustainability.

書評
feedback
Top