北ヨーロッパ研究
Online ISSN : 2433-4596
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6 巻
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
論文
  • 秋朝 礼恵
    2010 年 6 巻 p. 1-10
    発行日: 2010年
    公開日: 2018/10/01
    ジャーナル オープンアクセス
    1991年のブルジョア政権は、社民党やそれが築いた福祉システムを対抗軸に据え、「選択自由革命」を掲げて福祉サービスへの民間主体の参入を促す改革に着手した。社民党にとって 「選択の自由」は何ら目新しいものではなかったが、営利企業の福祉サービスへの参入には強く抵抗した。しかし、94年に政権に復帰した社民党は、コミューンの権限を強化した上で、営利企業の参入を追認する決定をする。本稿は、1980年頃から90年代半ばまでを中心に、保育サービスにおける選択の自由や営利企業の参入の過程を明らかにするとともに、社民党が立場を修正した背景を考察した。社民党が営利企業を追認したのは、政策理念の転換ではなく、経済状況、女性の労働力化、ベビーブームといった要因による保育所不足解消のための、現実的な選択の結果であった。
  • 大野 歩
    2010 年 6 巻 p. 11-22
    発行日: 2010年
    公開日: 2018/10/01
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究では、スウェーデンの首相を務めたGöran Persson (1949~ ) の政策と経済という観点から、1981年から1998年にわたる6歳児就学の推進について検討し、国際的に高い評価を得ているスウェーデンの子どもケア政策の実際を明らかにしようとした。その結果、スウェーデンの子どもケアと学校教育の統合化政策が、国家財政を圧迫する子どもケア費の削減のため、子どもケアを教育的な基盤におくことによって 「すべての子どもへの子どもケア保障」 が拡大されるという論理を用い、6歳児の両親に対して子どもを子どもケア施設ではなく学校へ通わせる選択を促そうとした結果、生み出されたことが明らかとなった。さらに、統合化政策においてはPersson が大きな役割を果たしており、彼の「知識国家論」の展開ゆえに、子どもケアすべてを教育省の管轄下へ統合するという、スウェーデン独自の子どもケア政策の特徴が見出されることになったといえよう。
  • 岸田 未来
    2010 年 6 巻 p. 23-35
    発行日: 2010年
    公開日: 2018/10/01
    ジャーナル オープンアクセス
    スウェーデン大企業の多くは, スフェアと呼ばれる, 銀行や投資会社を核とする企業の集団に属しており, その大株主は取締役派遣等を通じて企業経営に影響を及ぼしてきた。しかし1980年代以降の金融市場自由化は, この企業統治体制に変容を迫るものであった。本稿は, ストックホルム株式市場における株式所有構造の変化をふまえて, ヴァレンベリ・スフェアに属するアセア/ABB 社の企業統治体制の変化を分析した。 株式市場における外国人投資家の急増は, スフェアの安定していた株式所有構造を外部から揺るがす主要因であり, スフェア企業内でも, 激化する国際競争に生き残るため, 英米型の経営手法を取り入れざるを得なくなっている。これに応じて, 社会的に企業のコーポレート・ ガバナンスを監視する制度も整えられてきた。 スウェーデン企業における英米流経営スタイルの浸透は, 伝統的なスウェーデンの労使協調体制にも影響を及ぼすことが予測される。
  • 木下 綾
    専門分野: ルイジアナ近代美術館のビジョンと彫刻公園の発展
    2010 年 6 巻 p. 37-49
    発行日: 2010年
    公開日: 2018/10/01
    ジャーナル オープンアクセス
    The most visited art museums in the world are characterized by their long histories and their locations in densely populated metropolises. However in order to think about the art museum management in the age of globalization, it will probably need a management style with a new perspective. Without a long history and being away from a metropolis, Louisiana Museum of Modern Art in Denmark has achieved an international reputation. It has become one of the models for art museums in suburban areas. It may suggest an effective art museum management style for the 21st century. This paper investigates one of the features of Louisiana, that is to emphasize the interplay between “art, architecture, and landscape,” based on the museum's vision and the development of the sculpture park. Their vision aimed at filling the gap between the people and the arts by providing a relaxed environment. In order to realize it, they built a museum which harmonizes the arts and the landscape, and eventually developed a sculpture park. Together with their active participation in the international art scene, they could create a unique landscape of its own.
  • 中丸 禎子
    2010 年 6 巻 p. 51-60
    発行日: 2010年
    公開日: 2018/10/01
    ジャーナル オープンアクセス
    明治から戦後までの日本における北欧文学の受容史を、セルマ・ラーゲルレーヴのそれを中心に概説する。 具体的な考察対象は、新劇運動における北欧演劇の受容、女性解放運動・児童教育運動に対するエレン・ケイの影響、無教会グループを中心とした、平和主義としての北欧受容、山室静による北欧文学およびラーゲルレーヴ受容である。この研究の日的は、邦訳作品の傾向・翻訳者の関心のあり方と日本史・日本文学史上の立場を関係付け、北欧のステレオタイプ・イメージの起源を明らかにすることである。
  • 横山 真理
    2010 年 6 巻 p. 61-70
    発行日: 2010年
    公開日: 2018/10/01
    ジャーナル オープンアクセス
    アリス・テグネールは、子ども期特有のものの見方、感じ方や生活や遊びの世界を反映した膨大な数の歌を創作し、「子どもの歌」の概念の形成に寄与した。テグネールによる子どもの歌が20世紀前半までの初等教育における音楽科の授業に与えた歴史的意義は、礼拝で扱う賛美歌が主な教材であった時代に、 宗教教育に従属した音楽の授業の目標から音楽的感受の形成という教育による人間形成を目指す目標への転換を促す実践的な力となり、新しい目標を実現し得る音楽的環境 (教材を構成する子どものための文化的素材) を学校内外で用意した点にある。本稿で分析した音楽教科書は、編纂過程、曲目の分類や配列、題材、民間伝承歌の集成、押韻詩による音楽的特質、構図や挿絵の効果等、幼児学校用音楽教科書として画期的な特徴を持ち、民衆学校制度発足以降の変遷をたどった音楽の授業における教材の歴史の到達点がそこに表れていると意義づけられる。
  • 善積 京子
    2010 年 6 巻 p. 71-81
    発行日: 2010年
    公開日: 2018/10/01
    ジャーナル オープンアクセス
    スウェーデンの1998年の養育規定改正で、「子どもの最善」 を最優先することが謳われ、一方の親が異議を唱えても共同養育権の判決が可能となる。2006年改正では、共同養育できる両親の能力や子どもの被るリスクへの留意を規定する。2004-05年の地方裁判所の養育訴訟の事例分析から、養育権訴訟では3 段階の判断プロセスがあり、 そこで‹養育者適性›や‹現状維持›の原則の作用を明らかにした。また、居住訴訟では‹安定化・ 現状維持› ‹子どもの意向尊重› ‹きょうだい同居› の原則、面会訴訟では‹規則的面会設定› ‹リスク回避› ‹子どもの意向尊重› ‹性同一化のモデル› の原則を析出した。「子どもの最善」 の学術的知見が流動的である今日的状況において、「子どもの最善」の「法システム」 内での一貫性は担保されず、 養育判決は社会環境に強く影響を受けている。判決ではジェンダーに公平であり、母親ないしは父親により厳しい基準を設けているわけでない。
研究ノート
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