日本在宅看護学会誌
Online ISSN : 2760-5019
Print ISSN : 2187-168X
10 巻, 2 号
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巻頭言
集会長講演
原著
  • 角川 由香, 成瀬 昂, 山本 則子
    原稿種別: 原著
    2022 年10 巻2 号 p. 8-19
    発行日: 2022年
    公開日: 2026/08/05
    ジャーナル フリー

    目的:急性期病院から自宅へ退院した高齢患者に対する、退院直後の移行期支援の内容を明らかにすることを目的とした。

    方法:急性期病院で移行期支援に携わる退院支援看護師11人に対して半構造化面接を行った。

    結果:退院直後の患者に対する移行期支援内容は、<評価>と<支援>の2行為に分類された。さらに、【退院後の療養状況を評価する】【退院後の現実を踏まえ、自分ごととして今後の療養の見通しを持ってもらうために働きかける】【患者/家族/ケアチーム間のよい関係を、退院後も確立・維持する】等、7つのカテゴリと、それぞれから計21のサブカテゴリが抽出された。

    結論:退院支援看護師は、退院直後の高齢患者の療養継続を見据え、退院後も多様なニーズに対し、多様な関係者への支援と働きかけを継続していた。本研究の結果は、専門職による移行期支援の質向上に寄与する可能性があり、今後は退院直後の移行期支援内容の標準化および効果検証を検討する必要がある。

研究
  • 鈴木 陽子, 髙村 祐子, 鶴見 三代子
    原稿種別: 研究
    2022 年10 巻2 号 p. 20-29
    発行日: 2022年
    公開日: 2026/08/05
    ジャーナル フリー

    目的:後期高齢者の看取りケアをする訪問看護師にネガティブな気持ちをもたらす要因を明らかにする。

    方法:訪問看護師として5年以上の経験をもつ訪問看護師6名に対し半構造化インタビューを行い、質的帰納的に分析した。

    結果:ネガティブな気持ちをもたらす要因として3カテゴリーが抽出された。訪問看護師は【療養者の意思が尊重されない】、【療養者のニーズに応じた看護ケアが提供できない】、【看取りのための多職種による支援ができない】といった看護の停滞状態にあるために、看取りケアの中でネガティブな気持ちを生じやすいことが明らかになった。

    結論:看護の停滞状態を回避、改善するためには、倫理的課題を解決するためのアプローチの方法を修得し倫理原則を用いた事例検討をすること、自宅で看取るための看護技術を学ぶこと、相談し合える職場環境を整備すること、地域で看取りを支援する多職種協働の強化が必要である。

  • 宮田 久美子, 長内 さゆり, 鹿内 あずさ, 青柳 道子, 照井 レナ, 川添 恵理子, 竹生 礼子, 服部 裕子, 岡田 尚美, 上田 ...
    原稿種別: 研究
    2022 年10 巻2 号 p. 30-40
    発行日: 2022年
    公開日: 2026/08/05
    ジャーナル フリー

    目的:北海道の複数の二次医療圏の訪問看護事業所における新卒訪問看護師の雇用・育成の取り組みの現状と課題を検討する。

    方法:対象者は北海道の4つの二次医療圏の訪問看護事業所の管理者で1医療圏4〜6名の計19名であった。医療圏毎にフォーカスグループインタビューを行い、逐語録をデータとした。分析は記述統計、計量テキスト分析を行った。

    結果:新卒訪問看護師の募集、新卒訪問看護師の受け入れ準備、新卒訪問看護師の育成方法に関する17個のクラスターを生成した。募集の方法や受け入れ準備については都市型の医療圏で[ホームページ]の利用や経営に関する特徴的な内容があり、育成方法については、過疎傾向の医療圏で地域力を生かした特徴的な方法が確認された。

    結論:新卒看護師の雇用・育成は、地域の多様な特性に適した「チーム」、「協働」、「連携」といったつながりを視野に入れた方策を検討することが、肝要であることが示唆された。

  • 徳田 喜恵子, 大竹 まり子
    原稿種別: 研究
    2022 年10 巻2 号 p. 41-50
    発行日: 2022年
    公開日: 2026/08/05
    ジャーナル フリー

    目的:働き続けられる訪問看護ステーション(以下ステーション)の体制整備を検討するために、ステーションの体制と人材定着の関連を明らかにすることである。

    方法:東北6県で開設5年以上、非常勤を含む看護職員4人以上のステーションの管理者288名を対象とした質問紙調査を行った。

    結果:有効回答は115件で、ステーションの人材定着率は平均57.4(±27.1)%であった。ステーションの体制と人材定着率との関連では、管理者の予算裁量権、1日1回以上の全職員の集い、採用時研修プログラム、段階的教育プログラム、認定看護師又は専門看護師の配置について、いずれも体制のあるステーションの方がない方に比べ、人材定着率が有意に高かった。

    結論:管理者のマネジメント力の強化、組織内の関係性作り、教育プログラムの整備、ケアの質を保証する体制は人材定着率を高める可能性を示唆していた。

  • 武田 智美, 福田 由紀子, 又吉 忍, 杉浦 美佐子, 島内 節
    原稿種別: 研究
    2022 年10 巻2 号 p. 51-60
    発行日: 2022年
    公開日: 2026/08/05
    ジャーナル フリー

    目的:本研究は、在宅ケア開始期において新規のがん利用者のPerformance Status 評価及び症状・療養生活ニーズの自覚とその利用者を受け持つ訪問看護師(以下看護師)が観察したPerformance Status 評価、症状、療養生活ニーズの一致と相違を明らかにする。

    方法:新規のがん利用者と看護師に質問紙調査を行い、利用者と看護師でマッチングできた30組を対象とし一致係数を用いて分析した。

    結果:利用者と看護師間のPS評価はほぼ一致(k=.850、p=.001)であった。一致度の低い症状は、嚥下機能障害(k=.234、p=.176)倦怠感(k=.200、p=.269)うつ症状(k=.166、p=.028)、一致度の低い療養生活ニーズは、保清・更衣・排泄(k=.253、p=.156)経済面(k=.172、p=.334)であった。

    結論:相違した項目は、嚥下機能障害、倦怠感、うつ症状、自宅の環境、保清・更衣・排泄、経済面であり、看護師は相違した項目を留意して観察する必要が示唆された。

資料
  • 船津 元
    原稿種別: 資料
    2022 年10 巻2 号 p. 61-68
    発行日: 2022年
    公開日: 2026/08/05
    ジャーナル フリー

    目的:高齢者が「住み慣れた地域、我が家で最期まで暮らし続ける」ための要件のひとつと考えられる、人生の最終段階の治療、看取りの場として「自宅」を希望する高齢者の背景、意識を明らかにする。

    方法:(1) T市の協力を得て、市内のイベント、講演会に於いて60歳以上の高齢者1,340人へ無記名自記式の方法にて質問用紙を配布した。(2) 人生の最終段階の治療、看取りに「自宅」「自宅以外」を選択した人達と背景、意識に関する他の質問への回答項目との間でクロス解析を行った。

    結果:郵送法にて385名(回収率29%)の回答が得られた。人生の最終段階における治療、看取りに「自宅」を希望する人は、「自宅以外(病院・高齢者施設)」を希望する人に比べ在宅医療・介護や看取りに関する多様な情報を得ることに関心が高く、現在の「かかりつけ医」との関係性が深いことが明らかとなった。男性の方が有意に「自宅」を希望する割合が高かった。

    考察:「住み慣れた地域、我が家で最期まで暮らし続ける」高齢者を増やすための施策を考える際には、現状で、人生の最終段階の治療や看取りに「自宅」を希望する高齢者の意識を勘案し、在宅医療や自宅看取りを具体的にイメージ出来るような情報提供や体験的な内容を取り入れることが必要と思われた。また、高齢者の意思決定に影響を与える「かかりつけ医」の参画の重要性が示唆された。

  • 大橋 由基, 秋場 美紀, 浦山 美輪, 尾﨑 章子
    原稿種別: 資料
    2022 年10 巻2 号 p. 69-75
    発行日: 2022年
    公開日: 2026/08/05
    ジャーナル フリー

    目的:訪問看護師が抱く植込型補助人工心臓(IVAD)装着者の在宅療養を支援する上での困難と専門施設へ希望する支援内容を明らかにする。

    方法:装着者に対して心臓移植実施施設から訪問看護の導入依頼実績のある訪問看護ステーション15カ所に勤務する訪問看護師43名を対象に自記式質問紙を用いて在宅療養支援上の困難と専門施設へ希望する支援内容を収集した。

    結果:IVAD装着者の受け持ち経験がある訪問看護師20名を分析対象とした。訪問看護師は、退院前より装着者の病態イメージが付かず、退院後も病状の変化や生活上のイベントに対して専門機関につなぐ緊急性の判断に困難を感じていた。そのため、専門施設には継続的な情報共有およびコンサルテーション環境の整備を必要としていた。

    結論:訪問看護師が抱く未知なる不安や病状変化時の対応という困難に対し、専門施設からの高度な知識提供と見守り機能を退院前早期から受けられることで、安心安全なIVAD装着者の在宅療養支援が可能になることが示唆された。

  • 尾﨑 章子, 大橋 由基, 浦山 美輪, 松浦 千春, 苛原 志保
    原稿種別: 資料
    2022 年10 巻2 号 p. 76-83
    発行日: 2022年
    公開日: 2026/08/05
    ジャーナル フリー

     本研究では、国立大学法人や公立大学法人、学校法人等の大学法人(以下、大学法人)が設置する訪問看護ステーションの機能を明らかにし、新たな社会資源としてのあり方について検討を行った。全国の大学法人が設置している訪問看護ステーションから、大学の特性や地域を考慮し、5か所の訪問看護ステーションを選択した。設立に深くかかわった人物計7名に、開設の経緯, 重視している活動、成果、課題について半構造化インタビューを行った。録音内容を逐語録に起こし、内容の相違性と同意性に留意しながら意味内容を統合させ記述した。各大学が有するリソースや地域が抱える課題やニーズに応じて、訪問看護ステーションの機能を模索していた。大学法人が設置する訪問看護ステーションは、教育・人材育成機能、研究機能、高度実践という特徴的な機能を活かし、近隣ステーションとの間で相互補完し得る強みをもつと考えられた。

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