日本在宅看護学会誌
Online ISSN : 2760-5019
Print ISSN : 2187-168X
11 巻, 1 号
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巻頭言
原著
  • 古野 貴臣, 藤野 成美, 藤本 裕二
    原稿種別: 原著
    2022 年11 巻1 号 p. 2-10
    発行日: 2022年
    公開日: 2026/08/05
    ジャーナル フリー

    目的:飲酒習慣がある独居高齢者を対象に、抑うつに関連する要因を明らかにする。

    方法:モニター型インターネット調査会社に登録している65歳以上かつ独り暮らしの高齢者を対象とした。加えて、週3回以上かつ1回の飲酒当たり1合以上飲酒していることを適格要件とした。性別や独り暮らしの年数など参加者の背景、飲酒問題のスクリーニングテストであるAUDIT、自尊感情尺度、高齢者の社会的孤立を測定できるLSNS-6を独立変数とし、高齢者の抑うつを測定できるGDS-15を従属変数とした重回帰分析を行った。

    結果:本研究の参加者は、抑うつ状態である人、問題飲酒を行っている人、社会的に孤立している人が多かった。GDS-15には、AUDIT、自尊感情尺度、LSNS-6が関連していた。

    結論:飲酒習慣がある独居高齢者の抑うつを防ぐためには、節酒支援、自尊感情を高める働きかけ、社会とのつながりを作る支援が有効である。これらの観点をもち,アウトリーチによる支援を行うことが重要であると考える。

研究
  • 田草川 純子, 佐藤 悦子
    原稿種別: 研究
    2022 年11 巻1 号 p. 11-20
    発行日: 2022年
    公開日: 2026/08/05
    ジャーナル フリー

    目的:独居のがん高齢者への関わりにおける訪問介護職がもつ訪問看護師との連携についての認識を明らかにする。

    方法:訪問介護職14名にフォーカス・グループインタビューを行い、質的統合法(KJ法)を用いて分析した。本研究は、所属の研究倫理審査委員会の承認を得て実施した(承認番号1729)。

    結果:訪問介護職がもつ訪問看護師との連携について【訪問介護職の判断の後押しとなる事務所の仲介】という認識の上で、訪問介護職は【異常時の早期発見者】と認識していた。しかしその中で、【急変が予測できない不安や怖さによる困惑感】を持っていた。一方で、訪問看護師については【医療面、急変時に頼れる職種】と認識していたが、【情報共有できない困惑感】を持っていた。それゆえに、【訪問介護職にわかりやすい情報提供や指示】をしてほしいという認識を持っていた。

    結論:これらのことより、相互の職種の役割理解、訪問看護の役割の見える化に向けた活動の必要性が明確になった。

  • 佐々木 裕子, 西川 まり子
    原稿種別: 研究
    2022 年11 巻1 号 p. 21-32
    発行日: 2022年
    公開日: 2026/08/05
    ジャーナル フリー

    目的:自宅で終末期を生きる壮年期女性の語りからスピリチュアルニーズを明らかにし、在宅スピリチュアルケアへの示唆を得る。

    方法:自宅で終末期を生きる壮年期女性で訪問看護利用者3名に半構造化面接を行い、質的記述的に分析した。

    結果:自宅で終末期を生きる壮年期女性のスピリチュアルニーズは、6カテゴリーが生成され【生きたい】【自分で自身の人生の意味をつかみたい】【故郷や子育てと仕事や日常を楽しんだ経験を誇りに思いたい】【家で家族を感じて暮らしと幸せを守りたい】【“今”を自分の居場所で普通の日常を居心地よく過ごしたい】【人と人が関係性を大切に生きやすい社会を願いたい】であった。

    結論:自宅で終末期を生きる壮年期女性のスピリチュアルニーズは、生きたいと強く望みつつ、自分の人生を取り戻す時間や場を求めて最期に向かう自分を認める気持ち、自宅で家族の暮らしと幸せを守りたい強い気持ちと、日常の普通の暮らしを願い社会で生きる人の幸せを願う気持ちがあった。これらを在宅スピリチュアルケアに活かす必要性が示唆された。

  • 服部 裕子, 青柳 道子, 照井 レナ, 川添 恵理子, 岡田 尚美, 竹生 礼子, 宮田 久美子, 長内 さゆり, 鹿内 あずさ, 上田 ...
    原稿種別: 研究
    2022 年11 巻1 号 p. 33-41
    発行日: 2022年
    公開日: 2026/08/05
    ジャーナル フリー

    目的:訪問看護ステーション(以下、訪問看護ST)の管理者が捉える北海道における訪問看護師の人材確保の課題とその課題に対して現在行っている対応について明らかにする。

    方法:対象者は、北海道の4つの二次医療圏に所在する訪問看護STの管理者19名で、1医療圏につき4~6名のフォーカスグループインタビューを実施し、 質的に分析を行った。

    結果:人材確保において<なかなか来ない訪問看護師希望者><ひとつの訪問看護STでは作れない新人教育システム>等の課題があり、その対応として<人づてによる人材募集><新人を全員で育成する風土づくり>等を行っていることが明らかになった。

    結論:北海道の訪問看護STの管理者が捉える人材確保の課題に対し、地域の訪問看護STが協力して情報発信や行政への働きかけを行い、地域の医療機関や教育機関と共に教育システムを築いていくことの必要性が示唆された。

資料
  • 堀井 利江, 永井 眞由美
    原稿種別: 資料
    2022 年11 巻1 号 p. 42-51
    発行日: 2022年
    公開日: 2026/08/05
    ジャーナル フリー

    目的:在宅における高齢介護者(以下、高齢介護者)は、介護による生活から、社会的孤立(以下、孤立)の状況になる可能性がある。本研究では、介護支援専門員(以下、ケアマネジャー)が認識する高齢介護者の孤立の発見を阻害する要因を明らかにする。

    方法:A県内に所属するケアマネジャー4名を対象に、フォーカス・グループ・インタビューを行い、内容を質的帰納的に分析した。

    結果:孤立の発見を阻害する要因として、【自ら助けを求めない介護者】、【支援者個人の経験知で行う孤立アセスメントの限界】、【地域住民の脆弱なサポート】、【顕在化していない介護者】の4カテゴリーが抽出された。

    結論:介護者の孤立発見には、介護者の個人特性や介護状況の把握、介護者の孤立アセスメントの標準化、地域住民に対する孤立予防教育や啓発活動の組織化、潜在している高齢者世帯の把握の必要性が示唆された。

  • 山田 享介, 野口 麻衣子, 沼田 華子, 山本 則子
    原稿種別: 資料
    2022 年11 巻1 号 p. 52-61
    発行日: 2022年
    公開日: 2026/08/05
    ジャーナル フリー

    目的:日本国内の新卒・新人訪問看護師に対する職場内教育プログラムについて、教育方法・評価・外部からの支援の観点から検討する。

    方法:医学中央雑誌文献データベースと各職能団体の公式ホームページから得られた論文を対象とした。文献中の記述をもとに教育方法・評価・外部からの支援の観点でプログラムを整理した。

    結果:20件のプログラムを対象とした。教育方法としては、同行訪問と事例検討等の同行訪問以外の教育に大別された。新卒・新人訪問看護師が一人で利用者宅へ訪問出来ることをゴールに同行訪問の回数やステップが設定されていた。評価としては、様々なツールがあり、看護師だけでなく事業所を対象とした評価もあった。外部からの支援としては、全てのプログラムで病院や教育機関などからの支援を得ていた。

    結論:同行訪問を用いた教育、ツールによる客観的な評価、外部からの支援を取り入れることで、新卒・新人訪問看護師の教育が充実していく可能性が考えられた。

  • 曽我 武史, 北村 眞弓, 三吉 友美子
    原稿種別: 資料
    2022 年11 巻1 号 p. 62-71
    発行日: 2022年
    公開日: 2026/08/05
    ジャーナル フリー

    目的:本研究は、病院が行う退院後訪問指導の対象患者が退院後、訪問看護へ移行し、安心・安全に在宅療養を継続するために、訪問看護師の立場から病院が行う退院後訪問指導の課題を明らかにすることである。

    方法:7ヶ所の訪問看護ステーションの訪問看護師7名にインタビューを行い、質的帰納的に分析した。

    結果:訪問看護師が考える退院後訪問指導の課題として6つのカテゴリが抽出された。《目的を理解した上での退院後訪問指導》、《病院看護師による安心できる在宅療養環境づくりのための行動》、《利用者情報の共有の促進》、《病院看護師・訪問看護師の対等な関係》、《利用者の状況に合わせた退院後訪問指導や同行訪問の実施時期の決定》、《退院後訪問指導制度への要望》であった。

    結論:1.病院看護師に対する課題、2.病院側、訪問看護ステーション側双方に対する課題、3.退院後訪問指導制度に対する課題の3つにグループ化できた。また、安心、安全に在宅療養に移行するために、利用者を中心に病院看護師、訪問看護ステーションの連携が重要であることが示された。

  • 土田 詩織, 田口(袴田) 理恵
    原稿種別: 資料
    2022 年11 巻1 号 p. 72-80
    発行日: 2022年
    公開日: 2026/08/05
    ジャーナル フリー

    目的:訪問看護師が、重症心身障害児とその家族に対して、レスパイトケアに関し行うケアマネジメントの実態と課題を明らかにすることを目的とした。

    方法:19歳以下への訪問実績を有する全国の訪問看護ステーションから、600施設を無作為抽出し、無記名自記式質問紙調査を行った。

    結果:有効回答数は143件(回収率28.5 %、有効回答率83.6 %)であった。95 %以上の訪問看護師がレスパイトケアの必要性をアセスメントしていたが、家族とともに具体的な計画を立案している看護師は65.9 %であり、具体的な計画立案の実施にはケアマネジメントについて相談できる人の有無が関連していた。ケアマネジメント上の課題としては、レスパイトケア施設の不足が最も多く指摘された。

    結論:医療的な知識やアセスメントを必要とするレスパイトケアに関して、多くの訪問看護師がケアマネジメントを担っている実態が示されるとともに、専門的にケアマネジメントを担える職種やケアマネジメントについて相談できる相手の必要性が示唆された。

総説
  • 木村 綾, 冨安 眞理, 操 華子
    原稿種別: 総説
    2022 年11 巻1 号 p. 81-90
    発行日: 2022年
    公開日: 2026/08/05
    ジャーナル フリー

    目的:認知症高齢者に対する看護職と介護職の連携による統合ケアについてシステマティックスコーピングレビューを行い、さらなる探求が必要な問題の所在を明らかにすることを目的とした。

    方法:海外文献は、home care nursing、dementia、integrated careで検索した。国内文献は、認知症、訪問看護、連携で検索した。選定基準は、在宅における認知症ケアの研究、看護職と介護職の連携の研究、臨床研究とした。

    結果:17編がレビュー対象となった。海外文献11編は介入研究であり、ケア提供者への関わりや統合ケアの提供、遠隔支援プログラムの研究であった。国内文献6編は横断研究であり、ケア提供の現状・課題や多職種によるケアの実践の研究であった。バイアスのリスク評価の結果、15編の論文がリスクありに該当した。

    結論:認知症高齢者に対する質の高い統合ケアの確保・維持に向けて、実践の把握に加え、継続的に質を改善する取組が必要であり、介入の効果(アウトカム)の評価を含め総合的に検討する必要がある。

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