日本在宅看護学会誌
Online ISSN : 2760-5019
Print ISSN : 2187-168X
11 巻, 2 号
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巻頭言
名誉会員 特別寄稿:在宅看護学および日本在宅看護学会の発展に向けて
集会長講演
原著
  • 髙橋 佳織, 飯田 苗恵, 高井 ゆかり
    原稿種別: 原著
    2023 年11 巻2 号 p. 15-25
    発行日: 2023年
    公開日: 2026/08/05
    ジャーナル フリー

    目的:胃瘻を造設していない在宅要介護高齢者の「食べること」について看取り時期の主家族介護者の認識の構造を明らかにする。

    方法:訪問看護を利用し胃瘻を造設していない在宅要介護高齢者を看取った主家族介護者9人を対象とし、「食べること」への認識について半構造化面接を実施、KJ法を用いて分析した。

    結果:要介護高齢者の「食べること」への看取り時期の主家族介護者の認識の構造は3つに統合され、それらは【食べることは生・活そのものだ】を【食を含めた介護を全うすることが私の務めだ】が支えるが、やがて主家族介護者の意に反して【食べられなくなることに抗えなかった】の方向に進む関係であった。

    結論:主家族介護者は、在宅要介護高齢者の「食べること」を生存や活き活きすることと捉え、食を含めた介護の責任を負いながらも、食べられなくなることをどうすることも出来ないと認識していた。主家族介護者の認識の構造を踏まえた看護の必要性が示唆された。

  • 若林 麻里, 佐藤 朝美
    2023 年11 巻2 号 p. 26-36
    発行日: 2023年
    公開日: 2026/08/05
    ジャーナル フリー

    目的 : 医療依存度の高い子どもと母親の在宅移行初期における訪問看護師による支援ニーズの把握方法を明らかにする。

    方法 :子どもの訪問看護を実践する訪問看護師6名に半構造化面接を行い、質的帰納的に分析した。

    結果 : 訪問看護師は、【初回訪問時、母子の様子から緊張感と安心感を把握する】、【子育てや急変時の方針は、初回訪問時に敢えて聞いて把握する】【母親の言動から、任された子どもの生命を守りきれない不安や怖さを把握する】、【子どものケアと生活のバランスや母親の言動から、母親の葛藤を把握する】、【子どもの状態や人とかかわる様子から、子どもらしく過ごせているかを把握する】を行っていた。

    結論 : 訪問看護師は、在宅移行初期にある母子の状況を推察した上で、母親の様子や言動から体験を引き出し、母子関係構築状況だけではなく、生活の結果として「子どもらしく過ごせているか」の視点から母子の支援ニーズを把握していた。

研究
  • 金子 美千代
    原稿種別: 研究
    2023 年11 巻2 号 p. 37-47
    発行日: 2023年
    公開日: 2026/08/05
    ジャーナル フリー

    目的:医療処置を必要とする患者が在宅療養生活を築いていくプロセスを明らかにする。

    方法:在宅療養者6名に半構造的インタビューを行い、分析はグランデッド・セオリー・アプローチを用いた。

    結果:対象は、《絶望の中での先行きの選択》を《家族の負担になりたくない思い》や《未体験の医療処置を在宅で行う決意》により決定していた。《病者として生きる場を編み出す苦悶》や《不確実な支援者頼りの生活のもどかしさ》等の苦悩体験を自らの糧として、【現状打破への踏み出し】を行い、《自分でできることの実行》に努めることで、《他者との関わりを持ちたい気持ちの芽生え》、《他者に支えられての自分の取り戻し》、《人の役に立ちたい思いの芽生え》という変化が生じていた。

    結論:対象が【現状打破への踏み出し】を行えるよう、支援者は病いと共生できる療養生活を築くパートナーとしての関係を基に、療養者が一人の人間として自己実現できるような支援の必要性が示唆された。

  • 菅野 栄子, 大竹 まり子, 松田 友美
    原稿種別: 研究
    2023 年11 巻2 号 p. 48-56
    発行日: 2023年
    公開日: 2026/08/05
    ジャーナル フリー

    目的:要介護高齢者を在宅で介護する家族の支援を検討するために、家族会参加によるピアサポート効果と関連要因について明らかにすること。

    方法:要介護高齢者の家族のための家族会参加者に、無記名自記式の質問紙でピアサポート効果を調査した。

    結果:調査票を38部配布し30部回収(回収率78.9%)、有効回答は29部だった。介護者は平均年齢68.7(±8.7)歳、被介護者は平均年齢84.5(±8.2)歳だった。 家族会参加によるピアサポート効果の選択は「情緒的支援」が多かった。家族会参加によるピアサポート効果と関連要因に有意な関連はなかった。

    結論:要介護高齢者を在宅で介護する家族は家族会に参加することで「情緒的支援」を得ていた。介護の状況に関わらず誰もが参加できる家族会の開催が望まれる。

  • 宮本 美穂, 柳澤 理子
    原稿種別: 研究
    2023 年11 巻2 号 p. 57-67
    発行日: 2023年
    公開日: 2026/08/05
    ジャーナル フリー

    目的:地域包括支援センター保健師のコンピテンシーリストを作成する。

    方法:本研究は、質的記述的研究である。経験5年以上の地域包括支援センター常勤保健師で行政保健分野での経験も3年以上有する者10名を対象に半構造化面接を行った。行政保健分野との同異を考慮しながら、質の高い高齢者支援として意識している実践について語っていただいた。語りから行動特性を抽出し、意味内容の類似性に従ってカテゴリーを生成した。その後、専門家パネルを構成し内容妥当性を検討した。

    結果:地域包括支援センター保健師の行動として、 個別支援、地域づくり、地域包括支援センター 3 職種のチームワーク、自己研鑽、業務マネジメントの 5 領域 、20カテゴリー、80項目のコンピテンシーリストが抽出された。

    結論:本リストは、地域と共に高齢者を支援する2領域、地域包括支援センターの組織として対応する3領域で構成された。

  • 澁谷 春美, 上田 泉
    原稿種別: 研究
    2023 年11 巻2 号 p. 68-78
    発行日: 2023年
    公開日: 2026/08/05
    ジャーナル フリー

    目的:Tracheostomy Positive Pressure Ventilation(TPPV)を選択して、 在宅においてAmyotrophic Lateral Sclerosis(ALS)の疾患と向き合い生活しているALS患者の心のありよう、疾患や生活に対する考えなどのALS観を明らかにする。

    方法:TPPVを選択したALS患者8名を対象に半構造化面接を実施し、その内容を質的帰納的に分析した。

    結果:【ALSとともに生きていくことを目指す】、【命の儚さを自覚しているからこそ自分らしく生きる】、【家族や周囲の人々との絆を深めていることを実感する】、【誰もが平等で安心して生活していける社会にしたい】などのALS 観が抽出された。

    結論:ALS患者は、命の儚さと瞬間の大切さを理解し、周囲の人々との絆を深めながら生きている。また、経験を活かし生活に必要なものを取り入れ、平等で安心して生活していける社会を目指し活動している。ALSは自分らしく生きていける疾患である。医療者は、ALS患者の考えや価値観を理解し、ともにALS患者が目指す社会を構築していく必要がある。

資料
総説
  • 深谷 由美
    原稿種別: 総説
    2023 年11 巻2 号 p. 89-96
    発行日: 2023年
    公開日: 2026/08/05
    ジャーナル フリー

    目的:通所介護における看護職の実践と役割を文献から明らかにすることで、通所介護の看護職の役割と役割遂行のために必要な能力と課題について示唆を得る。

    方法:医学中央雑誌Web版Ver.5・CINAHL・PubMedを用いてキーワード(通所介護・デイサービス・看護)検索した。 385文献から通所介護における看護実践について記載されている文献10件を分析対象とし、看護実践について記載されている内容を抽出し質的に分析した。

    結果:87コードが抽出され、7つのカテゴリ【日常的な健康管理】【利用者に合わせた日常生活の援助と関わり方】【医療的ケア】【機能訓練】【家族支援】【多職種連携】【管理・運営】が明らかとなった。

    結論:通所介護における看護職の実践に必要な能力は、対象者の異常を早期発見するための観察力やアセスメント力、医療職以外が理解できる表現をするなどのコミュニケーション能力であり、そのために医学的な知識と技術が必要であることが明らかとなった。 看護職が相談できる環境や研修会に参加する環境を整えることが課題である。

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