日本在宅看護学会誌
Online ISSN : 2760-5019
Print ISSN : 2187-168X
7 巻, 1 号
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巻頭言
原著
  • 杉本 健太郎, 柏木 聖代, 齋藤 訓子
    原稿種別: 原著
    2018 年7 巻1 号 p. 196-205
    発行日: 2018年
    公開日: 2026/08/05
    ジャーナル フリー

    [目的]新規開設した訪問看護事業所の関係機関との連携・ニーズ把握・地域貢献に関する取り組みの実態とその関連要因を探索することである。

    [方法]2012年4月以降に新規開設した1,458か所の訪問看護事業所管理者から地域における連携・ニーズ把握・地域貢献の取り組み状況等の情報を得た後、それらの実施有無を従属変数としたカイ二乗検定もしくはウィルコクソンの順位和検定を実施した。

    [結果]関係機関との連携には88.9%の事業所が取り組んでいた。一方、ニーズ把握、地域貢献の取り組み割合は58.2~38.5%であり、それらに取り組む要因は、新規開設時における訪問看護経験のある看護職員数が少ないこと、営利法人でないこと、同一法人が他にも訪問看護事業所を運営していることなどだった。

    [結論]地域のニーズ把握や地域貢献に関して取り組んでいる事業所はまだ少なく、その背景にはキャリアのある管理者・職員の経験に頼った運営、利益を重視する運営方針、事業の企画に対する支援の不足などがある可能性が示唆された。

研究
  • 鍋島 純世, 牧 理砂, 西村 純子, 又吉 忍
    原稿種別: 研究
    2018 年7 巻1 号 p. 206-214
    発行日: 2018年
    公開日: 2026/08/05
    ジャーナル フリー

    【目的】学士課程卒業時の到達目標に対する訪問看護師の期待の程度を明らかにすること

    【方法】訪問看護師に対しアンケート調査を実施

    【結果】Ⅰ群では目標「6)看護の対象となる人々と援助的なコミュニケーションを展開できる。(74.8%)」「2)多様な価値観・信条や生活背景を持つ人を尊重する行動をとることができる。(72.8%)」、Ⅱ群では目標「9)根拠に基づいた看護を提供するための情報を探索し活用できる。(80.2%)」および看護援助技術を適切に実施する能力の目標3項目全て(74.1〜76.9%)、Ⅲ群では目標「34)慢性的な健康課題を有する患者と家族の状態を査定し、疾病管理に向けた看護援助方法について説明できる。(64.6%)」「25)健康の保持増進、疾病予防のために必要な看護援助方法について説明できる。(63.2%)」、Ⅳ群では目標「46)感染防止対策について理解し、必要な行動をとることができる。(81.6%)」「47)医療事故防止対策について理解し、そのために必要な行動をとることができる。(79.2%)」、Ⅴ群では全ての目標にて7割以上の高い期待度が示された。

    【結論】在宅看護教育内容の充実や学習意欲向上に向けた検討の一助となる結果が得られた。

  • 南 幸子, 福島 道子
    原稿種別: 研究
    2018 年7 巻1 号 p. 215-224
    発行日: 2018年
    公開日: 2026/08/05
    ジャーナル フリー

    目的:重複障害をもつ子どもの母親は、子どもが生まれてから12歳までの間、子どもに対してどのような思いを抱いていくのか、その思いを明らかにする。

    方法:質的記述的研究法を用い、重複障害の子どもをもつ母親8名に半構造的インタビューを行った。

    結果:母親の思いは,【混沌とした思い】と【立ち位置の確保】で構成された。その思いは、【混沌とした思い】から【立ち位置の確保】に至っていた。

     【混沌とした思い】とは、《実感がない》、《生じる不穏な気持ち》、《告知に伴う揺らぎ》、《看ることの限界感》、《未来に対する恐れ》の5中カテゴリーで構成された。【立ち位置の確保】は、《看ることの困難に対して立ち向う覚悟》、《存在の意義》、《子どもからの教示》の3中カテゴリーで構成された。

    結論:母親の【混沌とした思い】から【立ち位置の確保】へ移る契機は、障害の告知と父親らによる支えであり、母親の思いは相互に関係し、母親が育まれていく姿が見出された。

  • 佐藤 美雪, 野口 麻衣子, 阿部 智子, 徳江 幸代, 山本 則子
    原稿種別: 研究
    2018 年7 巻1 号 p. 225-234
    発行日: 2018年
    公開日: 2026/08/05
    ジャーナル フリー

    目的:家族主導で在宅看取りの意思決定が進む中で、慢性呼吸不全高齢者へ訪問看護師が行った看取りまでの看護実践を、その判断に至る考えや意図と共に記述すること。

    方法:看護実践に着目した事例研究。訪問看護対象者への看護記録などから時系列にまとめた経過表とワークシートを基に研究者間で議論を重ね、看護実践をカテゴリ化した。

    結果:終末期にある慢性呼吸不全の80代女性とその家族への看護実践を対象とした。看護師は、本人が発した1)未来を語る言葉に引っかかり、家族主導で在宅看取りの意思決定が進む中、本人の意思が考慮されていないかもしれないと考えた。そこで、2)在宅看取りの流れの中であえて立ち止まり、本人が今どうしたいのかを確かめ、「入院して検査してもらいたい」というA氏の言葉を代弁し、再度看取りの場について関係者で話し合う機会を設けた。在宅看取りの方針は覆らなかったが、最期まで看護師は、3)家族の時間を存分に味わってもらうために家族のケアを引き立て、いつも通りの支援を行い、A氏はご自宅で家族に見守られながら逝去した。

    結論:在宅看取りの方針は覆らなかったが、看護師が本人の意思を確認し、それを話し合う機会を諦めずに持ったことによって、協働的意思決定の過程を辿った可能性が考えられる。看護師は、高齢者の側に立って本人の言葉を聞いているか、看護師自身が「もうお看取りだ」と決めつけている自分はいないか、自分自身にいつも問いかけながら支援に取り組む必要があろう。

  • 河野 朋美
    原稿種別: 研究
    2018 年7 巻1 号 p. 235-241
    発行日: 2018年
    公開日: 2026/08/05
    ジャーナル フリー

    目的:全国の知的障害者の保護者が知的障害者の医療機関受診に対して困難を感じている実態を明らかにし、今後の支援について検討する。

    方法:全国の知的障害者の保護者1,080名に質問紙調査を実施した。

    結果:365名を分析対象とした。受診困難感があると回答した割合は75.0%であった。知的障害者や保護者の年齢が若い、心電図や胃カメラ検査など12項目についてできない、サポート者として介護スタッフを選択している、療育手帳Aを所持している場合には、受診困難感がないと回答した者よりも受診困難感があると回答した者の割合が高かった。

    結論:全国の在宅知的障害者と保護者がスムーズな受診を行えるために、本研究の結果に基づく保護者が希望する支援について具体的な内容を進めていくことが求められる。

総説
  • 宮本 美穂, 柳澤 理子
    原稿種別: 総説
    2018 年7 巻1 号 p. 242-251
    発行日: 2018年
    公開日: 2026/08/05
    ジャーナル フリー

    目的:地域包括支援センターで働く保健師の実践活動に関する文献から、「地域包括支援センター保健師のコンピテンシー」の概念を明らかにすることを目的とした。

    方法:概念の分析方法は、Rodgersの概念分析法を用いた。医学中央雑誌を用いて2006年~2015年に発表された42文献を対象とした。

    結果:属性には、【高齢者本人の意欲や強みを引き出す】【高齢者を支える支援者の連携をつなぐ】【個別支援を基盤に地域を巻き込む】【地域包括支援センター3職種間で意見交流しやすい雰囲気をつくる】【保健師として貢献できる力を高める】の5カテゴリーが見出された。先行要件は【経験・知識】【サポート体制】など4カテゴリーで構成され、帰結は【質の高い実践】など6カテゴリーで構成された。

    結論:今後は、本研究をもとに具体的なコンピテンシー項目を明らかにし、獲得が不十分なコンピテンシーや教育課題の明確化が必要である。

資料
  • 益田 育子, 西留 美子, 篠原 実穂, 富岡 里江
    原稿種別: 資料
    2018 年7 巻1 号 p. 252-257
    発行日: 2018年
    公開日: 2026/08/05
    ジャーナル フリー

    目的:ホームホスピス(以下、ホームホスピス群)と自宅で看取った遺族(以下、自宅群)を対象に、サービスの導入の理由と看取った後の思いを調査する。この結果を比較、分析し、ホームホスピスで看取った遺族の思いを明らかにする。

    方法:自記式質問紙を作成、郵送し、返信のあった者を対象として質的方法で分析した。

    結果:ホームホスピス群は自宅での介護に不安が強い家族、自宅群は症状が急変した時の対応に不安を感じている家族が導入していた。看取った後の思いは、ホームホスピス群が【ケアスタッフの支援に感謝している】【安らかに看取られた】【居心地の良い生活だった】【安心して仕事ができた】、自宅群は、【安心して療養できた】【24時間体制でサポートしてくれた】【安らかな最期だった】と集約した。

    結論:両群ともに看取りに対する思いは類似していた。今後の課題は、ホームホスピスを周知していくことと、ケアの質を高めることである。

  • 白井 裕子, 佐々木 裕子
    原稿種別: 資料
    2018 年7 巻1 号 p. 258-267
    発行日: 2018年
    公開日: 2026/08/05
    ジャーナル フリー

    [目的]重度の障害をもちながら自宅で生活している30代女性を講師とした講義から、学生の学びを明らかにし当事者参加型の講義の効果を検討した。

    [方法]講義前の「重度障がい者の生活」のイメージと講義後のイメージ,講義の学びをカテゴリー化し、比較検討しながら分析した。

    [結果]講義前のイメージは【地域の中で生活そのもの】【治療と障害と日常生活】【支援を受けながら生活】【不自由と負担】【その人らしさ】、講義後のイメージは【日常にある当たり前の暮らし】【医療と障害と生活主体】【ともに生活をつくる】【その人らしく生きる】であった。講義後の学びは【障害をもつ人の生活理解】【生活を支える看護の理解】【新たな知の創造】であった。

    [結論]学生は当事者の生活理解を深め、看護師としての姿勢を養った。学生の生活体験を広げる当事者参加型の講義は、在宅看護の知識や技術を学習していく上で有用な教育方法であると考えられた。

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