日本在宅看護学会誌
Online ISSN : 2760-5019
Print ISSN : 2187-168X
7 巻, 2 号
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巻頭言
集会長講演
特別寄稿
原著
  • 山﨑 智可, 林 一美
    原稿種別: 原著
    2019 年7 巻2 号 p. 15-24
    発行日: 2019年
    公開日: 2026/08/05
    ジャーナル フリー

    目的:身近に精神科医師がいない精神科看護未経験の訪問看護師が捉える精神科医師との連携実践を明らかにすることとした。

    方法:9名の訪問看護師を対象に半構成的面接を行い、修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチを用い分析した。

    結果:情報提供時【精神科医師の人物像と在宅医療への関心の見極め】【伝える工夫の実践行動】を実施していた。【伝える工夫の実践行動】では、精神障害者の精神状態、日常生活の実態を精神科医師に見えるように伝えていた。使命感や自信のなさから精神科医師と直接やりとりしたいという【強い思いから発動】していた。精神科医師から説明を受け納得、助言や指示に沿った関わりから成果を実感していた。その結果、精神科医師との【連帯感を認識】していた。

    結論:身近に精神科医師がいない精神科看護未経験の訪問看護師が捉える精神科医師との連携実践の特徴として、<全ての情報を一括してもれなく提供>、<精神障害者が認めない精神症状の出現を伝えるため精神障害者不在のなかでの精神科医師との時間を獲得>の看護実践が示唆された。

  • 前田 由紀
    原稿種別: 原著
    2019 年7 巻2 号 p. 25-35
    発行日: 2019年
    公開日: 2026/08/05
    ジャーナル フリー

    目的:早期からの退院支援介入のためには、退院困難な要因を抽出することが必要であるが、小児患者の退院困難な要因は明らかにされていない。本研究の目的は、小児入院患者の退院を困難にしている要因を明らかにすることである。

    方法:小児の退院支援の経験のある看護師18名に対し、半構造化面接調査を実施した。本研究は所属の倫理委員会の承認を得て実施した。

    結果:患者要因として【栄養状態が悪化している子ども】【退院後に新しく医療的ケアの導入が必要な子ども】などの7カテゴリが、家族要因として【疾患の理解が難しい養育者】【子どもの病気と向き合うことが難しい養育者】【サポートできる家族・知人が少ない】【子どもへの関心が低い養育者】などの9カテゴリが抽出された。小児の退院困難な要因は、養育者の要因も含まれることが明らかとなった。

    結論:小児入院患者の退院困難な要因、患者・家族要因として、合計16カテゴリが抽出された。

研究
  • 笹木 りゆこ, 蒔田 寛子, 山根 友絵
    原稿種別: 研究
    2019 年7 巻2 号 p. 36-43
    発行日: 2019年
    公開日: 2026/08/05
    ジャーナル フリー

    目的:慢性疾患を持つ在宅高齢者の災害時の治療継続に対する備えの実態を把握し、課題解決への示唆を得る。

    方法:A県内の地域包括支援センターを利用する慢性疾患を持つ65才以上の在宅高齢者825人を対象に無記名自記式質問紙のアンケート調査を実施した。調査内容は基本属性と災害の備えの現状としての12項目である。分析方法は、記述統計、推測統計を用いて行った。

    結果:調査の有効回答は、280人(有効回答率34.0%)であった。年齢により「薬中止時の影響の認識」、「薬名の認識」、「災害避難場所の認識」に有意な関連があった。独居、同居では、「災害避難場所の認識」に有意な関連があった。

    結論:後期高齢者に対しては、「薬名の認識」に対する意識づけが大切である。後期高齢者や独居の高齢者に対しては、「災害避難場所の認識」ができるような関わりが重要であり、地域包括支援センターの果たす役割の重要性が示唆された。

  • 渡邉 和美, 大竹 まり子, 小林 淳子
    原稿種別: 研究
    2019 年7 巻2 号 p. 44-52
    発行日: 2019年
    公開日: 2026/08/05
    ジャーナル フリー

    目的:呼吸困難を抱えた看取り期の在宅療養がん患者と家族への訪問看護師による支援の実施状況と先行事例経験との関連を明らかにする。

    方法:自宅死亡割合の高い大都市の訪問看護事業所を対象に、患者への支援、家族への支援の実施状況を質問紙で調査した。呼吸困難を抱えながら看取り期まで在宅療養したがん患者の事例あり群と事例なし群を比較した。

    結果:患者への支援において事例あり群はなし群に比べ、〔事前に緊急時の対応を医師と相談〕〔電話で症状緩和の指導〕〔すぐに患者宅へ訪問して対処〕〔患者の訴えを十分に聞く〕〔体位の工夫〕〔タッチング〕〔マッサージ〕の実施頻度が高かった。家族への支援において事例あり群はなし群に比べ、〔病状の変化をパンフレット等で説明〕〔呼吸停止後の連絡方法を説明〕〔状態の悪化に対する不安を受け止める〕〔食事量の変化に対する戸惑いを聞く〕〔家族1人1人に気持ちを聞く〕〔他の家族に看取りへの参加を呼びかける〕の実施頻度が高かった。

    結論:症状悪化時の迅速な対応、非薬物療法による症状緩和、病状悪化を受容するための家族支援を実施していることが明らかとなった。

資料
  • 後藤 真子, 尾㟢 章子, 大橋 由基, 西田 幸典, 川村 佐和子
    原稿種別: 資料
    2019 年7 巻2 号 p. 53-61
    発行日: 2019年
    公開日: 2026/08/05
    ジャーナル フリー

    目的:在宅において療養者の死が早晩予測される場合、臨終をめぐる死亡確認・死亡診断に係る我が国の現状について国内文献を用いて整理し課題を明らかにする。

    方法:1999年4月から2018年2月までに発表された国内文献について医学中央雑誌を用いて検索し,得られた10文献を対象とした。文献中の記述から,死亡確認・死亡診断の現状について、類似性と相違性に着目しながら分類し、カテゴリ、サブカテゴリを質的帰納的に生成した。

    結果:臨終において≪本人の尊厳や安寧な看取りが損なわれている≫こと、訪問看護師の≪訪問業務に支障が生じている≫こと、療養者の死後も≪予想に反した看取りを反芻している≫ことが明らかになった。≪医師による速やかな死亡診断が困難≫であることや、≪医師法の解釈が不明確≫なために死亡確認や死亡診断を巡る判断や実践に差異が生じていることが背景となっていた。一方で、≪事前準備により円滑に死亡確認が実施できている≫状況があることや≪職種や準備状況よって困難さが異なる≫こと、≪緩和ケアに関する看護師の力量に差がある≫があることが示された。

    結論:療養者・家族が安寧で尊厳の守られた臨終となるよう、医師法第20条の解釈の明確化、死亡診断までのプロセスの明確化や実施条件の探求、臨終における医師との円滑な連携のための方策、死亡確認に関する看護師の裁量権に対する社会的合意形成のための方策等について検討していく必要性が示唆された。

総説
  • 栗田 麻美, 小竹 久実子
    原稿種別: 総説
    2019 年7 巻2 号 p. 62-72
    発行日: 2019年
    公開日: 2026/08/05
    ジャーナル フリー

    目的:訪問看護における臨床判断に関する研究を看護師の判断に伴う思考プロセスに焦点を当て、実践的知識を明らかにし、今後の研究課題について示唆を得る。

    方法:医学中央雑誌、Google Scholarにて、「臨床判断」、「在宅看護」「訪問看護」をキーワードで検索し、訪問看護における臨床判断研究についてシステマティックレビューを行った。判断の具体的内容について看護師の思考プロセスに焦点を当て質的帰納的に内容分析し検討した。

    結果:判断内容の分析から、訪問看護師の臨床判断が、①INTEREST/関心を寄せる②IF/推察③意思決定④実施⑤リフレクションの5つのカテゴリーがプロセスとして整理された。

    結論:訪問看護における臨床判断の特徴として、療養者・家族双方を考慮し、信頼関係構築を基盤として据え、生活面や多職種との協働を含めた内容が明らかになった。

     今後、エキスパートの訪問看護師を対象に、療養者の状況や場面を特定した臨床判断の内容解明から、その実践的知識を抽出する必要性が課題として示唆された。

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