日本在宅看護学会誌
Online ISSN : 2760-5019
Print ISSN : 2187-168X
9 巻, 1 号
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巻頭言
原著
  • 大橋 由基, 柏崎 信子, 尾﨑 章子
    原稿種別: 原著
    2020 年9 巻1 号 p. 2-11
    発行日: 2020年
    公開日: 2026/08/05
    ジャーナル フリー

    目的:訪問看護サービス利用中の在宅要介護高齢者において、訪問看護師が捉える睡眠薬の関連が推察される有害事象と訪問看護師が行ったケアの実態を記述する。

    方法:質的事例研究法を用い、睡眠薬を服用している利用者を担当した経験のある訪問看護師4名に、半構造化面接を行った。語られた7事例から、類似性と相違性に着目しながらパターンを質的帰納的に記述した。

    結果:主たる有害事象として夜間歩行時のふらつき・転倒や睡眠薬追加服用による翌日への持越し効果と日中活動の低下、大量服薬による意識レベルの低下が生じており、訪問看護師のケアとして適切な睡眠習慣と睡眠薬内服のタイミングの調整、睡眠薬使用の見直しと家族の夜間の介護負担軽減との調整、多職種との連携体制づくりが行われていた。

    結論:睡眠薬が関連していると推察される有害事象の背景には、在宅特有の環境要因が見出された。このことは、在宅要介護高齢者の安全と安楽を脅かす事故に直結する可能性が示唆された。

  • 為永 義憲, 藤井 徹也
    原稿種別: 原著
    2020 年9 巻1 号 p. 12-20
    発行日: 2020年
    公開日: 2026/08/05
    ジャーナル フリー

    目的:訪問看護師が心掛けるロールモデル行動と学生指導力、在宅看護実践力、職業コミットメントの関連を明らかにする。

    方法:4県の訪問看護師322名に、基本属性、ロールモデル行動、3要素(学生指導力、在宅看護実践力、職業コミットメント)に関して、郵送法による自記式質問紙調査を行った。ロールモデル行動と3要素の相関係数と、3要素と基本属性について差の検定または相関係数を算出した。

    結果:188部を有効回答とした。平均看護師経験年数22.1年、平均訪問看護師経験年数8.0年であった。ロールモデル行動と3要素すべてに正の相関がみられた。職位、訪問看護師経験年数が3要素すべてに関連しており、訪問看護師経験3年未満と3年以上の看護師には3要素に差がみられた。

    結論:3要素の向上には、訪問看護師経験年数が重要と示唆された。3要素が高い訪問看護師は、ロールモデル行動を心掛ける傾向があるため、訪問看護に興味を抱く実習指導を行うには、訪問看護師経験年数を参考に学生と同行訪問を行う看護師を選定することが示唆された。

研究
  • 山本 三樹雄, 蒔田 寛子
    原稿種別: 研究
    2020 年9 巻1 号 p. 21-31
    発行日: 2020年
    公開日: 2026/08/05
    ジャーナル フリー

    目的:認知症男性高齢者の独居生活継続を支える保健師の支援について明らかにする。

    方法:実務経験5年以上の、委託型地域包括支援センター保健師8名に半構造化面接を行い、修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチを用いて分析した。

    結果:24の概念、8の『サブカテゴリー』、3の【カテゴリー】が生成された。保健師が認知症男性高齢者の独居生活継続を支えるプロセスは、『手がかりから全体像を見立てる』ことから始まり、『“彼なり”に合わせる』『感情への接触』『地域へのアピール』といった【緩やかな見守り】を経て、『先へと動かす』【タイミングを見極め介入する】ことで『一人暮らしの安定化』に向かう実践であった。また『立ち位置の選定』『水面下の段取り』のような【さりげない状況改善】はプロセス全体を支えていた。

    結論:保健師は認知症男性高齢者の特性に配慮して関りながら、看護の視点で介入に踏み切っていた。研究結果は保健師の行動の説明と予測に役立つものといえ、保健師活動の質向上に貢献できると考える。

  • 森下 和恵, 新田 紀枝, 久山 かおる
    原稿種別: 研究
    2020 年9 巻1 号 p. 32-44
    発行日: 2020年
    公開日: 2026/08/05
    ジャーナル フリー

    目的:訪問看護認定看護師が初回訪問において療養者と関係を築くために実施している言動とその意図を明らかにすることである。

    方法:訪問看護認定看護師の資格を持った看護師15名に対し、半構造化面接を行い、質的記述的に分析を行った。

    結果:初回訪問で関係を築くために実施している言動と意図について、①自宅に到着するまでは、【療養者の状況を知るために療養者の全体像を捉える】など4カテゴリ、②自宅に到着し療養者に対面するまでは、【療養者の生活状況を知るために暮らしぶりを捉える】など3カテゴリ、③療養者に対面した時は、【療養者の健康状態から心身の特徴を捉える】など7カテゴリが抽出された。

    結論:訪問看護認定看護師は3つの時期で療養者の暮らしぶりや心身の特徴を捉えながらニーズを模索していた。そして、人間関係を築くためだけでなく、訪問看護サービスの開始、契約に結びつなげるための言動と意図があったと考えられた。

  • 鍋島 純世, 又吉 忍
    原稿種別: 研究
    2020 年9 巻1 号 p. 45-52
    発行日: 2020年
    公開日: 2026/08/05
    ジャーナル フリー

    目的:訪問看護師の補聴器推奨の現状と難聴高齢者との会話における困難と工夫について明らかにすること。

    方法:訪問看護師に対し無記名自記式質問紙の郵送にて調査した。

    結果:欠損値を除外した訪問看護師208人のうち189人(分析対象者)が難聴高齢者の訪問経験があった。69名(36.5%)が補聴器を推奨し、そのうち耳鼻咽喉科受診を59人(85.5%)が推奨し、補聴器販売店の情報を38人(55.1%)が提供していた。会話における困難は、「契約時の理解」「服薬管理の説明における理解」「医療機器管理の説明における理解」において、訪問看護師経験5年以上の訪問看護師の方が5年未満よりも有意に困難に感じている人の割合が多かった。会話における工夫は、全ての項目において9割以上の訪問看護師が工夫していた。

    結論:困難感が増強しない難聴者との会話の工夫などの普及に取り組む必要性が示唆された。

資料
  • 森下 和恵, 長谷 康子, 多留 ちえみ
    原稿種別: 資料
    2020 年9 巻1 号 p. 53-64
    発行日: 2020年
    公開日: 2026/08/05
    ジャーナル フリー

    目的:訪問看護師の職務継続への支援に資するために、訪問看護師が看護実践の中で感じている“やりがい”を明らかにした。

    方法:訪問看護師経験5年以上の対象者に、看護実践の中で感じる“やりがい”について尋ねる半構造化面接を行い、質的記述的分析を行った。

    結果:20名の訪問看護師から、9つのカテゴリが抽出された。訪問看護師は、利用者や家族からの感謝の言葉から誰かの役に立てると感じること、個別性を重視した看護が展開できること、人として深く関われることをやりがいと捉えていた。さらに認定看護師では、看護実践の展開の思考プロセスを理解し、意図的に看護を実践し、その実践がスタッフの成長や社会貢献の幅が広がり、看護師間で相互に支援しながら成長できていることが“やりがい”と感じ、成長に応じて変化していた。

    結論:今回の結果は、訪問看護師自身が感じている“やりがい”から自己の実践レベルを確認でき、彼らの自己研鑽のための資料として活用できる。

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