日本在宅看護学会誌
Online ISSN : 2760-5019
Print ISSN : 2187-168X
9 巻, 2 号
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巻頭言
集会長講演
原著
  • 杣木 佐知子, 中村 裕美子
    原稿種別: 原著
    2021 年9 巻2 号 p. 10-19
    発行日: 2021年
    公開日: 2026/08/05
    ジャーナル フリー

    目的:訪問看護ステーションの1年間の新任教育と職業的アイデンティティの関連と職業的アイデンティティに影響を及ぼす要因を明らかにする。

    方法:研究対象者:近畿圏内の訪問看護ステーションに初めて就職する臨床経験を有し就職後 1 年が経過している看護師 246 人に無記名自記式質問紙調査を実施した。データ収集:無記名自記式質問紙による郵送調査。回収 86 人。分析対象 79 人(有効回答率 32.1 %)。分析方法: 職業的アイデンティティ1年後得点を従属変数として重回帰分析を実施した。

    結果:教育ニーズと職業的アイデンティティは相関していた( r=-0.487)。職業的アイデンティティは年齢が若く、入職までの期間が短く、訪問看護ステーション内講習回数が多いことが関連した。

    結論:訪問看護師の新任教育は職業と自己との一体感を高め、その要因には、年齢や離職期間の状況と学習参加があることから、教育体制の充実と訪問看護ステーション内講習機会を増やすことが求められている。

  • 杉本 健太郎, 柏木 聖代
    原稿種別: 原著
    2021 年9 巻2 号 p. 20-30
    発行日: 2021年
    公開日: 2026/08/05
    ジャーナル フリー

    目的:本研究は、医療職配置のないサービス付き高齢者向け住宅(以下、サ高住)職員が捉える、入居者・家族が満足する看取りに寄与する要因を探索することを目的とした。

    方法:サ高住の介護職員6名に対して、半構造的面接を行った。

    結果:設備・体制面では、【“自宅での看取り”を管理者とともに追究する】、【看取りの不安軽減のためのサポートがある】、ケア・関わり面では、【入居から最期まで自宅として自由に生活してもらう】や、【入居者・家族の終末期の過ごし方の希望およびその変化を適時把握する】、【地域の医師・訪問看護師・ケアマネ等と施設の看取り方針、入居者・家族の希望を踏まえた連携をとる】等が抽出された。

    結論:サ高住において入居者・家族が満足する看取りを行うためには、自宅で最期まで過ごしたと思える環境づくりや援助が必要である。また、終末期の過ごし方に関する希望が日々の生活の中で十分に把握されることや、介護職員の医療職との連携に対する不安が軽減され円滑に協働できることも重要であることが示唆された。

研究
  • 中村 智子
    原稿種別: 研究
    2021 年9 巻2 号 p. 31-40
    発行日: 2021年
    公開日: 2026/08/05
    ジャーナル フリー

    目的:熟練訪問看護師が高齢者の看護を通して、どのようなことを経験し何にやりがいを感じているのかを明らかにすることである。

    方法:熟練訪問看護師10名に半構成的面接を実施し、その語りの内容から熟練訪問看護師のやりがいについて質的記述的方法により分析した。

    結果:熟練訪問看護師は、生活の場で対象者の思いを尊重した〔その人を主体とするケア〕により療養生活を支援していた。訪問看護が共にある存在として、熟練訪問看護師は対象者と〔共にあり相互に影響しあえる関係性〕を築き、やりがいを感じていた。さらに、様々な対象者の多様な健康支援に関わる経験を重ね、〔訪問看護師としての力量を形成〕し、対象者へのより良い訪問看護に活かせることをやりがいとしていた。

    結論:熟練訪問看護師が高齢者の看護を通して感じるやりがいは、訪問看護の特性を踏まえた上で、その本質を捉えた看護を展開する中で得られており、訪問看護の専門性を示すものであった。

  • 蒔田 寛子, 山根 友絵
    原稿種別: 研究
    2021 年9 巻2 号 p. 41-48
    発行日: 2021年
    公開日: 2026/08/05
    ジャーナル フリー

    目的:在宅ケアの多職種連携における訪問看護師の役割認識について、訪問看護師と他職種からの認識とその差を明らかにする。

    方法:研究対象は在宅ケアに従事している訪問看護師、訪問療法士、在宅訪問管理栄養士、訪問介護職とした。訪問看護師の役割の調査項目精錬のため、2段階のデルファイ法により、多職種連携の際の役割を調査した。次に、訪問看護師の役割の項目について、訪問看護師の認識と他職種からの認識を比較するために小項目ごとにχ2検定にて検討した。

    結果:訪問看護師の役割として141項目が抽出された。看護師と他職種で役割の認識に有意差があったのは、認知症高齢者に対する項目全般、要介護高齢者、終末期患者の症状変化への対処方法を他職種に説明する項目、清潔援助の項目等であった。

    結論:効率的に少ない人数での連携支援には、自職種の役割として担っている内容を、他職種に認識されるよう努めることが必要と考えられた。

  • 柴田 滋子, 駒井 和子
    原稿種別: 研究
    2021 年9 巻2 号 p. 49-57
    発行日: 2021年
    公開日: 2026/08/05
    ジャーナル フリー

    目的:本研究は、訪問看護師が抱える困難感と職務満足感との関連を明らかにすることとした。

    方法:A県の訪問看護師705名を対象に、職務環境や職務満足感、職務上の困難感に関する質問紙調査を実施した。

    結果:有効回答は333名(47.2%)で、うち男性を除く328名(46.5%)を分析対象とした。訪問看護師の職務満足感は「人間関係」が最も高く、「職務内容」、「職場環境」、「給料」の順であった。また、重回帰分析の結果、職務満足感の「人間関係」には、上司からのサポートやスタッフに相談できることが、「職務内容」には訪問看護師としての成長の難しさ等、「職場環境」には仕事内容の不公平感等が、「給料」には訪問以外の業務の負担感等との関連が明らかになった。

    結論:職務満足感の関連要因の中でも、訪問看護師としての成長やキャリアアップに難しさを感じる、上司からのサポートやスタッフに相談できる、訪問以外の業務の負担感や仕事内容の不公平感は複数項目で挙げられており、重視すべき内容と考えられる。

資料
  • 清水 順子
    原稿種別: 資料
    2021 年9 巻2 号 p. 58-66
    発行日: 2021年
    公開日: 2026/08/05
    ジャーナル フリー

    目的:在宅看護論実習において学生の訪問看護実習に訪問看護師と伴に同行している教員が捉える同行訪問の意味を明らかにする。

    方法:在宅看護論実習で同行訪問を行っている教員9名に対し、半構成的面接を行い質的記述的に分析した。

    結果:学生の訪問看護実習に訪問看護師と伴に同行訪問している教員は、訪問場面で【学生の看護場面を見て把握】すること及び、【教員の立ち位置は出過ぎず必要時サポート】する大切さを捉えていた。また、実習指導においては、【療養者・家族を理解して学生指導に活用】し、【学生と場面を共有し気づきや視野を広げる関わり】の重要性を捉えていた。さらに、同行訪問することには、実習指導の他に、【訪問看護師との相互成長】や【同行訪問で得られる教員自身の進化】につながる意味があると捉えていた。

    結論:学生の訪問看護実習に訪問看護師と伴に同行している教員が捉える同行訪問の意味として、6カテゴリが抽出された。

  • 為永 義憲, 蒔田 寛子, 山根 友絵
    原稿種別: 資料
    2021 年9 巻2 号 p. 67-76
    発行日: 2021年
    公開日: 2026/08/05
    ジャーナル フリー

    目的:在宅看護学実習にルーブリック評価表を導入した効果と実習指導方法やルーブリック評価表の改善の示唆を得る。

    方法:2018年度在宅看護学実習を履修したA大学3年次学生のルーブリック評価表を対象に、項目別の学生自己評価と教員評価で差の検定を行った。またルーブリック評価表に関する自記式質問紙調査を行い、単純集計を行った。

    結果:対象は40名であった(有効回答率54.8%)。学生と教員の評価には対象理解・看護過程の展開、多職種連携と専門職の役割、地域包括ケアシステム、事前学修の取組の項目で差がみられた。また82.5%の学生が、評価表を週2~3回以上、日々の目標やカンファレンスのテーマ選定に活用していた。

    結論:ルーブリック評価表を活用することにより、学生は実習で学ぶ視点を定められた。教員は学生の傾向や実習の改善方法を検討しやすいことと、教員間の実習評価に関するコンセンサスを得ることができた。課題として、評価基準の表現と指導方法の検討が必要と示唆を得た。

  • 増田 悠佑
    原稿種別: 資料
    2021 年9 巻2 号 p. 77-87
    発行日: 2021年
    公開日: 2026/08/05
    ジャーナル フリー

    目的:重度要介護利用者を支援している訪問看護師と訪問介護員(以下、ホームヘルパー)の支援の過程において、両者が協働していると認識した状況を明らかにする。

    方法 :重度要介護高齢者を支援する訪問看護師3名、ホームヘルパー6名の合計9名に半構成化面接を実施して質的記述的に分析した。

    結果 :訪問看護師は『ホームヘルパーと直接やり取りし情報共有』のため、『ホームヘルパーと直接の連絡』を取ること、家族の不安に対し『ホームヘルパーにより家族の信頼と安心』があり、協働と認識していた。ホームヘルパーは医療のことに不安を感じ『訪問看護師による要介護高齢者・家族・ホームヘルパーの安心』を得て、『ホームヘルパーの医療における役割の明確』『訪問看護師に直接、情報を報告』『訪問看護師から処置の依頼』を協働と認識していた。

    結論 :訪問看護師とホームヘルパーは直接やり取りをすること、援助に対し家族の信頼を得ていること、自身の役割を明確にし連携することに協働していると認識する。

総説
  • 福田 愛子
    原稿種別: 総説
    2021 年9 巻2 号 p. 88-96
    発行日: 2021年
    公開日: 2026/08/05
    ジャーナル フリー

    目的:国内外の在宅で過ごす一人暮らしがん療養者の生活の様相について文献検討し、望まれる看護について示唆を得る。

    方法:医学中央雑誌、PubMed、CINAHL、Academic Search Premierにて、検索語を「がんAND独居」、「"living alone" AND "cancer"」とし、11文献について検討した。

    結果:データから7つのカテゴリ、【自立・自律して一人暮らしの生活を継続することが自分なりの生き方】、【一人暮らしであるからこそ得られている利益】、【身体的変化により自立する能力が衰弱】、【がんに罹患することで生じる葛藤と孤独感】などが形成された。療養者は、自分の力のみで生活を送るという自己のアイデンティティを変化させることへの葛藤や、一人でがんに立ち向かわなければないことへの不安を抱きつつ、自分なりに対処していた。

    結論:一人暮らしがん療養者には、療養者の意思や、今までの生活背景を考慮した上で、療養者がエンパワメントに至り、望む自立・自律した生活を獲得できるよう看護する必要がある。

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