実験開始時20日, 21日, 23日, 25日齢の離乳期前後にある4群のラット (1群各12匹) に8方向放射状迷路による報酬探索課題を1日 4試行, 5日間訓練し, 空間刺激と作業記憶の利用に及ぼす発達と訓練の効果を調べた。課題は走路に4本ずつ挿入された緑および白のアクリル板を装置内刺激とし, 同一装置内刺激のある4本の走路にある報酬をえることであった。実験は装置外刺激が豊富にある室内で行われた。6日目に装置内刺激を取り除いた空間課題テストと, 装置外刺激の使用を制限した手掛課題テストを与え, 訓練中にラットが用いた課題解決方策を検討した。その結果, (1) 20日齢のラットは8方向迷路での餌探索活動が十分に行えない, (2) 20・21日群と23・25日群の間には多くの測度で発達的な差があり, この差は同日数の学習によっても解消されない, (3) 20~29日齢のラットは空間刺激の利用及び作業記憶は十分に発達しておらず, また, (4) 場所方策と手掛方策の双方を用いうる課題では, 場所方策をほとんど用いず, 手掛方策と自己受容刺激による反応方策を主に用いていたことが示唆された。
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