動物心理学年報
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18 巻, 1 号
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  • 濃度選好曲線の分析
    加川 元通, 梅岡 義貴
    1968 年 18 巻 1 号 p. 1-10
    発行日: 1968/10/25
    公開日: 2009/10/14
    ジャーナル フリー
    ネズミのアルコール嗜好に関する従来の研究では, 用いる溶液の濃度はかなり恣意的に決められてきた。しかし, その選択が不適当であれば, 扱われている要因の効果について誤まった結論を導くにとになる。KARN & STELLER (4) は件の嗜好に対する匂いの効果を調べるに当り, 濃度の範囲を充分広くとることにより成功を収めている。しかし課題によっては, そのような方法に従うと余りに長い実験期間を必要とし, その間に種々の履歴効果が紛れこむ危険も生じてくる。
    このように, アルコール嗜好に対する或る要因の効果を調べるに際しては, まず初めに, 用いる溶液濃度の範囲と刻みを決める必要がある。それを決める時の主要な参考資料としては, RICHTER & CAMPBELL (6) の研究と今のべたKARNらの研究とが挙げられる。しかし, 前者には2瓶飲料法に必ず付随し而も軽視できない位置効果の統制がない。また, 後者では群別の資料しか提供されていない!アルコール嗜好には個体差が大きく (1), ある場合にはそれが他の要因よりも重要なので (5), 個体別の資料はむしろ不可欠なものといえる。
    この研究は, シロネズミにおけるアルコール嗜好を調べるために計画された。その主たる課題は, 溶液濃度の上昇に伴なう嗜好値の変容を個体特性との関連で解析する事にある。
    装置としては金属製の単独飼育箱にRICHTER型給水瓶を2本配し (2瓶法の場合), 一方には水を他方には含酒精溶液を入れ, 毎日23時間の各飲量を記録する。この計測を各濃度につき続けて4日間行ない, そこに位置統制を含めた。濃度の変化は上昇のみ。
    テスト・セツションは3つに分かれる。初めは上述の2瓶法に従い, 被験個体10匹の半数は濃度0%から15%まで行ない (1%からは1%刻み), 残りの半数 (濃度10%で殆ど飲まなくなったもの) は10%から0%に折返して同じ系列を繰返した (但し, 2%刻み) 。この後37日間おいて再び2瓶法で0%から14%まで (但し2%刻み) を全個体について行ない, 濃度に伴なう選択摂取率の変容 (濃度選好曲線) につきその再現性を確めた。この後更に17日間をおいて, 単瓶法テストを補足的に行なった。
    主な結果 : 1) 2瓶法に基づく濃度選好曲線には個体特性の顕著な相違がみられた (Fig. 1-1), これを相関行列について分析した所 (Table 1-1), 濃度1~5%の範囲と濃度8~10%の範囲とが明瞭に分離した。2) 充分な期間をおいた場合の上記曲線の再現性は高い (Fig.1-3) 。なお, この再現曲線には全般的な水準上昇が認められた。3) アルコール嗜好の指標として, 全摂取溶液中の正味酒精濃度を取る試みがなされた (Fig.3) 。にの数値は, 溶液濃度の上昇に伴なうnegative preferenceへの移行を知る上で有用なものと考えられる。4) 単瓶法の結果は個体差が小さく (Fig.2-1), アルコール代謝の耐性を見定める上で役だつと思われる (Fig.2-2) 。
  • 小嶋 祥三
    1968 年 18 巻 1 号 p. 11-24
    発行日: 1968/10/25
    公開日: 2009/10/14
    ジャーナル フリー
    脳内刺激 (intracranial stimulation, ICS) が正の強化者となり, それによって学習が成立するにとは, OLDS&MILNER (12) によって発見されたが, 食餌や水などの末梢刺激とは異なる現象がみられた。すなわちICS強化では, 消去が急速であり (8), 部分強化 (16), 分散試行 (15), 反応遅延 (6) の事態においては, 実行が貧弱である。また飽和が存在しない (11) 。
    これらの現象を説明するために, DEUTSCHら (4, 5) はdrive-decay説を提出した。すなわちDEUTSCHらは脳内に強化の伝導路と動因の伝導路を仮定し, 強化となるICSはこの両伝導路を興奮させると考えた。それ故, ICSを受ける時に行なった反応は強化伝導路のインプルスによって強化され, 一方動因伝導路のインプルスはその反応を再び行なうように動機づける, とした。このようにしてICS強化による学習の成立, 飽和の不在が説明される。一方ICSによって生じた動因は, 刺激停止後急速に消失すると考えられ, にれによって急速な消去, 部分強化, 分散試行, 反応遅延事態における貧弱な実行が説明された。
    しかし手続きを少し変更するにとによって, 末梢刺激事態に劣らない消去抵抗 (7), 部分強化下での反応の維持がみられ (13), また分散試行 (14), 反応遅延 (18) 下においても十分な実行が得られた。にのような諸事実はdrive-decay説を根底からくつがえすものである。
    そにで本実験では, 刺激終了後ICSによって生じた動因が, DEUTSCHらの主張するように急速に消失するのか否かを決定するために, 反応遅延及び分散・集中試行による獲得の実験が行なわれた。そして動因の消失してゆく過程を更に明瞭にするために, 肢への電撃が導入された。
    本実験では, ICS強化事態と末梢強化事態でみられた種々の相違を, ICSによって生じた動因が刺激停止後急速に消失するということで説明するDEUTSCHらのdrive-decay説を検討する目的で, 集中試行と300秒の分散試行によるシャトル反応の獲得, 及び0, 30, 60,120,300秒の反応遅延の実験が行なわれた。そして後者では1日毎に上昇してゆく電撃が導入された。そしてまた反応遅延の与え方が反応強度にどのような効果を持つかが検討された。その結果, 集中・分散獲得に差はみられず, また各反応遅延において, かなり強い電撃が耐えられた。従ってDEUTSCHのdrive-decay説は否定された。ところで各反応遅延の潜時の間には逆U字型のカーブがみられたが, これは動因の消失以外の要因によるものと考えられる。なおホームケージで試行間を過した被験体は弱い電撃しか耐えられなかった。しかしこれらについては今後多くの研究が必要である。
  • 渡辺 允子
    1968 年 18 巻 1 号 p. 25-33
    発行日: 1968/10/25
    公開日: 2009/10/14
    ジャーナル フリー
    ニホンザル新生児では, 生後16日~20日目に奥行弁別ができた。
    この行動に働く手がかりとして, 運動視差は重要であったが, texture density cue の効果はみられなかったと思われる。
  • 1968 年 18 巻 1 号 p. 35-41
    発行日: 1968/10/25
    公開日: 2009/10/14
    ジャーナル フリー
  • 1968 年 18 巻 1 号 p. 42-50
    発行日: 1968/10/25
    公開日: 2009/10/14
    ジャーナル フリー
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