この実験は主に部分強化訓練時の強化率のちがいが, 潜在消去後の反応消去に与える影響を知ることを目的としている。直線走路の走行訓練が1日4試行10日間, 23時間の飢餓状態のシロネズミに与えられた。E4, C4群は連続強化で, E3, C3群は3/4強化, E2, C2群は2/4強化, E1, C1群は1/4群強化の下で訓練された。部分強化を受ける群はあらかじめ報酬 (米粒) を与えられる試行が日毎に無作為に決められていた。各試行で被験体は30秒間目標箱ですごしてから飼育箱に戻された。訓練の終った翌日すべての実験群 (E4, E3, E2, E1) は報酬のない目標箱へ90秒間入れられ, 統制群 (C4, C3, C2, C1) は中性箱へ90秒間入れられてから, 反応消去を10試行受けた。
その結果次のことが明かになった。
(1) E4がE4より急速な消去を示し, 通常の潜在消去の効果が確認された。
(2) 部分強化群には全強化群に見られるような潜在消去の効果は見出されなかった。全体的に高い消去抵抗が維持されているようであった。
(3) 訓練中の強化率は低い程 (少くとも3/4強化群と2/4強化群との比較においては) 潜在消去手続は大きな安定した促進効果を生じた。
(4) 低い強化率で訓練を受けた群 (E1, C1) は, 潜在消去手続によって急速な消去も促進も示さなかった。
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