動物心理学年報
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22 巻, 2 号
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  • 原 正隆
    1973 年 22 巻 2 号 p. 51-60
    発行日: 1973/03/25
    公開日: 2010/01/29
    ジャーナル フリー
    早熟性のトリのひなが孵化後まもなく呈示されたさまざまな刺激を恒常的に追従, 接近するようになる, という刻印づけ (Imprinting) の現象についての報告は数多くあるが, わが国では, 佐藤 (15), 藤田 (2) の文献の総括があるだけで, 実験報告はほとんどない (4, 8) 。
    刻印づけの測定方法は, 大別すれば, 孵化したてのひなに初めて刺激を呈示 (初呈示, first exposureと呼ぶ) し, その時の刺激への追従, 接近を測定する場合と, 初呈示の後にテスト期間を設け, この時に追従, 接近を測定する場合とがある。ところが, 反応の恒常性や, 孵化したてのひなの運動能力の未発達なことを考えると, 後者の方が好ましいと考えられる。その場合, 初呈示の効果は, 初呈示のない統制群と比較することによって検討できる。ところが, このような統制群を設けた研究は数少ない。そこで, 本研究では, 臨界期内に初呈示を受けない統制群を設け, 臨界期後に追従をテストする方法によって, 刻印づけの生起を確認する。
    また, 刻印づけの強さの規定因として, 初呈示の時の追従の量があげられ, HESS (5) は, 刻印づけの強さは追従に要した努力 (消費したエネルギー) の対数に比例するという “努力の法則” を主張し, これを支持する実験を報告した (5, 6, 7) 。HESSの他にも, THOMPSON他 (16) も努力の法則を支持している。これに反して, 刻印づけには, 初呈示での追従は必要ないという主張がある (10) 。例えば, MOLTZ他 (12) は, 追従を許されず, 動く刺激を眺めるだけの群は, 後に追従を許された時に, 以前に追従を許された群と同じように追従すると報告した。この他にも同様な報告がいくつかある (1) 。このように, 後の追従にとって, 初呈示の時の追従が必要かどうかについては一致が見られていない。そこで, 本研究では, 初呈示での運動制限の効果をも検討する。
    刻印づけの確認と “努力の法則” の正否を検討するため, 白色レグホンのひなを運動制限下, あるいは, 運動制限をせず初呈示をし, 後のテストで追従反応を測定した。この結果, 初呈示をしない統制群との差はなく, 刻印づけは確認できなかったが, これは, 種差によるものと思われる。また, 初呈示の時, 運動制限をすると, 後の追従反応は, 運動制限をしない群より少なく, “努力の法則” を支持した。
  • 大井 修三
    1973 年 22 巻 2 号 p. 61-70
    発行日: 1973/03/25
    公開日: 2010/01/29
    ジャーナル フリー
    学習・記憶に核酸や蛋白質が関与しているという仮説 (12, 14, 17, 20) を検討するのに, 核酸や蛋白質の合成を阻害する物質を使用する報告が最近多くなされている (1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9, 10, 11, 16, 17, 18, 19) 。アクチノマイシンD (actinomycin D, Act-D) はそういった物質の1つであって, DNA依存性RNA (DNA-dependent-RNA, d-RNA) の合成をほぼ完全に抑制すると考えられている (13, 15) 。AGRANOFF, et al. (1) は, キンギョに回避訓練をおこなわせ, その直後にAct-Dを投与してその効果を調べ, 学習を阻害するという結果を得た。しかし, 彼らの実験では, 活動性への影響・継続学習におよぼす継続投与の効果・訓練期間中のd-RNAの合成の可能性・投与量の効果等が調べられていない。そこで本論文では, 実験IにおいてAct-Dの活動性におよぼす効果, 実験IIにおいて継続学習直後に投与する継続投与の効果, 実験IIIでは, 訓練期間中のd-RNAの合成の可能性を考慮して訓練直前にAct-Dを投与してその効果を調べ, 同時に投与量の効果も検討する。
    キンギョを被験体としてAct-Dの回避学習におよぼす阻害効果を調べ, 学習・記憶の核酸説を検討する。
    実験I : 活動量におよぼすAct-D (2μg, 1μg, 0.5μg) の効果を, 1日おき4回の継続投与をしながら調べた。活動量として水槽内の通過区画数を測定した結果, Act-D は活動量に影響をおよぼさないことがわかった。
    実験II : 1日おき4回の訓練の直後にAct-D (2μg) を投与して回避学習におよぼす効果を調べた。装置はシャトルボックス様の回避条件づけ槽, 条件刺激は100V20Wの電球からの光, 無条件刺激は4Vの交流である。この結果, 群と試行の交互作用に有意差がみられ, Act-Dは学習の習得速度を阻害することがあきらかとなった。
    実験III : 訓練開始30分前にAct-D (2μg, 1μg, 0.5μg) を投与して, 回避学習におよぼす訓練前投与と投与量の阻害効果を調べた。実験手続き等は実験IIに同じ。その結果, 群間に差がある傾向がみられた。また, 薬物の投与量とブロックの交互作用に有意差がみられた。以上のことは, 訓練前のAct-D投与が回避学習をより阻害し, その投与量が習得率に影響することを示しているものと思われる。したがって, 本実験は回避学習の習得にはd-RNAが必要であるということを示しており, 学習・記憶の核酸説を支持しているといえよう。
  • 佐野 勝徳, 岩原 信九郎, 佐野 敦子
    1973 年 22 巻 2 号 p. 71-81
    発行日: 1973/03/25
    公開日: 2010/01/29
    ジャーナル フリー
    本実験は海馬脳波に関する諸説, 特にVANDERWOLF (11, 12) の仮説と比較検討するために, シロネズミを使って, 自由行動時とMILLER-MOWRER boxでの電撃回避学習時の海馬背側部脳波を分析することを目的とする。
    自由行動時において, 海馬θ波を伴なう行動は移動を伴なわない頭部の動き, 体動, searching, およびrearing, locomotionであり, 一方, 脱同期はgrooming, sniffing, licking, food intake時に出現した。動きがみられない時は主として不規則波であったが, θ波が出現する場合もあった。
    電撃回避実験では, 試行につれて, 7~9, 9~11Hzの規則的な海馬θ波が出現するようになった。また, 回避反応が十分安定した時点ではCS呈示直後から動物の動きの有無に関係なく7~9Hzの規則的な海馬θ波が出現するようになり, 回避反応に伴ない9~11Hzの速いθ波に移行した。
    このことは, 海馬θ波が単に随意運動と一義的に関係しているのではなく, 覚醒水準ないし一般的注意とも関係していることを示唆するものである。
  • 1973 年 22 巻 2 号 p. 83-86
    発行日: 1973/03/25
    公開日: 2010/01/29
    ジャーナル フリー
  • 1973 年 22 巻 2 号 p. 87-99
    発行日: 1973/03/25
    公開日: 2010/01/29
    ジャーナル フリー
  • 1973 年 22 巻 2 号 p. 101
    発行日: 1973年
    公開日: 2009/10/14
    ジャーナル フリー
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