この研究の目的は, Alc-Alc二瓶法事態におけるシロネズミの選択摂取行動を調べることにある。被験体はMP系の雄のシロネズミで, 実験Iでは生後約100日のものを8匹, 実験IIでは生後約75日のものを11匹用いた。彼らはホームケージで濃度の異なるAlc溶液を2種与えられ, それぞれの摂取量が1日単位で測定された。この手続きが1セッション (8日間) 中に4回隔日に繰返され, その間に位置および瓶の効果が統制された。挿入日には水が与えられた。用いられたAlc濃度は, 3, 5, 7, 9 (容量%) の4種で, この凡ての組合せにつき1セッションずつ連続してテストが行なわれた。その順は, 実験Iでは3-5, 5-7, 7-9, 3-7, 5-9, 3-9の順とし, また実験IIでは, この逆の3-9, 5-9, 3-7, 7-9, 5-7, 3-5の順とし, この後更に最初の3セッションを繰返した。
主な結果。1) この研究で用いられた3~9%の濃度について, 高濃度選好型, 低濃度選好型, 中間型などの個体特性が認められた (Fig.1, Fig.5, Table 1) 。これらの個体特性の違いは組合せ溶液の濃度差がある程度大きい時に明瞭となった (Fig.2, Fig.4) 。
2) そこで認められた低濃度選好型にはAlc拒否型も含まれているらしい (Fig.3, Fig.6) 。
3) 高濃度選好型の個体も初めはAlcを拒否するが, Alc摂取経験により高濃度Alcを積極的に選択するようになった (Fig.4, Fig.6) 。
4) 各組合せにおける選好度の大小関係には推移律が成立する傾向が認められた (Table 1) 。
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