動物心理学年報
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23 巻, 1 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
  • SHIGERU WATANABE, TAKASHI OGAWA
    1973 年 23 巻 1 号 p. 1-13
    発行日: 1973/12/25
    公開日: 2009/10/14
    ジャーナル フリー
    Pigeons monocularly trained on the mirror image discrimination showed the mirror image reversal effect, but those trained on the single stimulus training showed the bimodal generalization gradients with peaks at SD and its mirror image. Tests with radius stimuli indicated that pigeons do not discriminate “left” from “right” during the single stimulus training, whereas they discriminate “left” from “right” on the basis of their using eye in the case of the mirror image discrimination.
  • Alc-Alc二瓶法による分析
    加川 元通
    1973 年 23 巻 1 号 p. 15-25
    発行日: 1973/12/25
    公開日: 2009/10/14
    ジャーナル フリー
    この研究の目的は, Alc-Alc二瓶法事態におけるシロネズミの選択摂取行動を調べることにある。被験体はMP系の雄のシロネズミで, 実験Iでは生後約100日のものを8匹, 実験IIでは生後約75日のものを11匹用いた。彼らはホームケージで濃度の異なるAlc溶液を2種与えられ, それぞれの摂取量が1日単位で測定された。この手続きが1セッション (8日間) 中に4回隔日に繰返され, その間に位置および瓶の効果が統制された。挿入日には水が与えられた。用いられたAlc濃度は, 3, 5, 7, 9 (容量%) の4種で, この凡ての組合せにつき1セッションずつ連続してテストが行なわれた。その順は, 実験Iでは3-5, 5-7, 7-9, 3-7, 5-9, 3-9の順とし, また実験IIでは, この逆の3-9, 5-9, 3-7, 7-9, 5-7, 3-5の順とし, この後更に最初の3セッションを繰返した。
    主な結果。1) この研究で用いられた3~9%の濃度について, 高濃度選好型, 低濃度選好型, 中間型などの個体特性が認められた (Fig.1, Fig.5, Table 1) 。これらの個体特性の違いは組合せ溶液の濃度差がある程度大きい時に明瞭となった (Fig.2, Fig.4) 。
    2) そこで認められた低濃度選好型にはAlc拒否型も含まれているらしい (Fig.3, Fig.6) 。
    3) 高濃度選好型の個体も初めはAlcを拒否するが, Alc摂取経験により高濃度Alcを積極的に選択するようになった (Fig.4, Fig.6) 。
    4) 各組合せにおける選好度の大小関係には推移律が成立する傾向が認められた (Table 1) 。
  • 田中 俊彦, 小野 嘉明
    1973 年 23 巻 1 号 p. 27-38
    発行日: 1973/12/25
    公開日: 2009/10/14
    ジャーナル フリー
    アリジゴクの巣に小石や木片のような障害物をいれるとそれをどう除去するかというアリジゴクの障害物の除去行動に関する報告はきわめてわずかである (1, 2, 3) 。このうち馬場は “コウスバカゲロウの幼虫では巣にいれた障害物 (石) を直接動かさず, 障害物の横に巣をずらせたり, 遠くに離れて営巣する” と述べている (1, 2) 。またDOFLEINの同種を用いての観察では, 石などの障害物は自分の背にのせて巣より運び出すとしている (3) 。その後, アリジゴクの障害物の除去行動についての精細な行動型の分析はなされていないので, まず本研究ではこの行動事実を確認したい。そこでウスバカゲロウとコウスバカゲロウの幼虫を用いて, 障害物の除去行動型を実験によって, 質的にも量的にも明確にしたい。
    アリジゴクは巣のなかの障害物 (立方体のけしゴム) に対して巣をくずして, 後ずさりをしながら体の腹部後端部または腹部背面でそれを移動除去し, 再びもとの位置 (RBI・RB II) または近く (他の位置) (RB III) に営巣する。この行動型をアリジゴクの営巣性の一基準として, ウスバカゲロウとコウスバカゲロウの幼虫の2種について観察実験をし, 2種の営巣性について比較考察した。
    1.ウスバカゲロウの幼虫の体の大きさをA型 (第1齢), B型 (第2齢), C型 (第3齢) と分けて障害物に対しての行動型を分析した結果, A→B→C型と齢を増すにつれて除去し得る障害物の重さまたは容積が拡大する。
    2.ウスバカゲロウの幼虫において, 障害物を移動除去できる範囲内では, ある大きさ以上の巣をもつ個体がRBI~IIIを示す傾向がある。
    3.ウスバカゲロウの幼虫において, RBIの行動を示す個体の障害物の除去距離ともとの巣の半径の関係は, 前者が後者より大きく, その比はほぼ一定である。
    4.ウスバカゲロウの幼虫では障害物の大きさが一定のとき巣を構成する砂の条件が障害物の除去行動に大きな影響を与える。すなわちこの種では不等大粒子の砂においては等大粒子の砂においてよりもRBI~IIIの除去行動が頻繁にみられる。
    5.コウスバカゲロウの幼虫では不等大粒子の砂においても, 等大粒子の砂においてもRBI~IIIの除去行動の出現が低い。
  • 原 正隆
    1973 年 23 巻 1 号 p. 39-42
    発行日: 1973/12/25
    公開日: 2009/10/14
    ジャーナル フリー
    前報告 (2) では, ニワトリのひなの刻印づけの生起の確認を試みたが, それを確認できなかった。これは, 家畜化された系統を用いたことによるものと思われる。今回は, 前報告と同様の手続を用いて, アヒルのひなを用いて刻印づけの生起の確認をする。同時に, 刻印づけにおよぼす運動制限の影響も調べる。
    アヒルのひなを用いて刻印づけの生起とそれにおよぼす運動制限の影響を検討した結果, 運動自由実験群のみに刻印づけが起き, 運動制限は刻印づけを起きにくくする。しかし, この結果は, 必ずしも努力の法則を支持するとは言えない。また, 刻印づけの起きやすさには, 著しい個体差があることが考えられる。
  • 植松 辰美, 斉藤 恵子
    1973 年 23 巻 1 号 p. 43-47
    発行日: 1973/12/25
    公開日: 2009/10/14
    ジャーナル フリー
    淡水魚類における摂食行動の社会的促進については, これまでにWELTY (6) によるキンギョCarassius auratus, 小野 (1) のメダカOryzias latipes, 植松 (2) のバラタナゴRhodeus・タナゴAcheilognathus・ヨシノボリRhinogobiusおよび植松 (3, 4, 5) のグッピーPoecilia reticulataを用いた研究がある。それらのどの場合にも明らかな社会的促進が認められている。小野 (1) の実験では, 野生メダカを材料とし, 餌としてイトミミズLimnodorilus sp.を投与してから2時間内の摂食量に社会的促進 (小野は社会的容易化とよんだ) が認められた。なお, 他のどの研究も摂食許容時間は2時間である。
    ここでは, 淡水に馴致したシオミズメダカOryzias latipesを用いて, 餌のミジンコDaphnia pulexを投与してから10分後までの摂食量について社会的促進を確かめるために行なった予備的実験を報告する。
    メダカOryzias latipesを用いて, 摂食動因の高いと考えられる実験開始から10分間の摂食行動について社会的促進の存否をたしかめた。刺激個体数0, 1および3に対する反応個体の摂食量をメダカ個体当り60匹のミジンコDaphnia pulex (1.64±0.06mm) を与えてしらべた。
    得た結果は, 次の通りである。1.メダカにおける餌投与後10分間の摂食行動に, 明らかな社会的促進が認められた。2.刺激個体数0 (単独個体) に対する摂食行動の社会的促進率 (FR) は, 刺激個体数1で15, 3で32を示し, 仲間個体数の増加がFRを高めている。
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