餌剥奪がくり返される事態に対する個体の適応過程を明らかにする目的で, 餌剥奪後の回復期での行動を中心に観察を行った。実験では, 絶食期と自由摂食期を1日おきに交互にくり返した。被験体にはC57BL/6J, KR, CSの3系統の近交系マウスを用い, それぞれにつき, 1日の摂餌・摂水量, 摂水活動と回転輪走行活動の日周リズム, 体重を測定した。絶食期の摂水量は日を追って減少したが, 自由摂食期の摂餌・摂水量は漸増傾向を示した。活動の日周リズムについては, 摂水・回転輸走行活動ともに, 絶食期において, 明期後半に活動が出現するという変化を示した。この変化は, 自由摂食期での摂餌・摂水量が増加するにつれて消失する傾向がみられたが, これについては若干の系統差もうかがえる。これらの結果は, 摂餌・摂水活動の活動周期の変化が絶食を含む事態全体に対する対処過程として機能している可能性を示唆していると思われる。
抄録全体を表示