幼体の性の違いによる母子関係の差異を明らかにするために, 本研究では母子間距離と母ザルの幼体を抱く行動を取り挙げた。被験体として, 野外で誕生し, そこで生育した母ザル8頭とその雄と雌の幼体各4頭, 合計16頭のカニクイザルが用いられた。結果には大きな個体差がみられ, それ自体が今後の大きな問題であることが指摘された。しかし, ここで取り挙げられたいずれの行動においても, 一貫した性差による差異が認められ, カニクイザルの母子関係を明らかにしていく上でひとつの手がかりが得られた。
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