動物心理学年報
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36 巻, 2 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
  • 宮本 邦雄
    1987 年 36 巻 2 号 p. 65-75
    発行日: 1987/03/25
    公開日: 2010/01/29
    ジャーナル フリー
    仔ラットをハンドリングすることによりその母親の母性行動 (授乳反応, 仔なめ反応) の増加が見出された。母親のハンドリングによってはこうした母性行動の活性化は生じないことから, 仔をハンドリングしたことにより仔の側に母性行動を刺激するなんらかの変化が生じたものと思われる。さらに, この離乳前ハンドリングの成体時の情動反応性に及ぼす影響を検討するため, ランウェイ・テストを行なったところ, 雌雄ともハンドリングを受けた個体は通過区画数が多く排便数が少ないことがみとめられ, その成体時の情動反応性の低下が示された。以上の事実は, 離乳前刺激作用の効果に関する母性行動説を支持するものである。
  • 片桐 雅義
    1987 年 36 巻 2 号 p. 77-87
    発行日: 1987/03/25
    公開日: 2010/01/29
    ジャーナル フリー
    WOODARD and BITTERMAN (11, 12) が, 「キンギョのシャトルボックスにおける “回避反応” は実は古典的条件づけによって形成・維持されている反応である。」という主張をして以来, その反応の形成・維持過程を明らかにしようとする研究が行われてきた (1, 7, 9, 13, 14, 15) 。
    同一の反応が, 古典的条件づけによってもオペラント条件づけによっても形成・維持されるようにみえる他の例として, イヌの脚の屈曲反応やハトのキーペッキング反応がある。これらに共通する問題は, その反応の形成・維持に刺激-強化随伴性と反応-強化随伴性のいずれが関与しているか, あるいは両者が共に関わっているとすればそのいずれが優位であるかということである。
    本研究の目的は, キンギョのシャトルボックスにおける移動反応が, どちらの随伴性によって形成・維持されているかをヨークトコントロールを設け, 異なる事態への移行を行うことによって検討することである。
    シャトルボックスにおけるキンギョの移動反応が, 古典的条件づけ (刺激-強化随伴性) とオペラント条件づけ (反応-強化随伴性) のいずれによって形成・維持されているかを明らかにするために, ヨークトコントロール群を設けて回避事態から古典的条件づけ事態への移行 (実験I) 及び罰事態への移行 (実験II) を行った。
    実験Iの結果は, 反応-強化随伴性が有効ではあるが, 刺激-強化随伴性のみでも反応が形成・維持されることを示した。実験IIの結果は, 罰事態においても移動反応が維持されうること, すなわち刺激-強化随伴性が反応を維持することを示した。しかし, 同時に回避学習事態から罰事態へ移行したとき反応が減少することもあること, すなわち回避学習において反応-強化随伴性が重要な役割を果していることも示された。
    これらの結果から, シャトルボックスにおけるキンギョの移動反応は2つの随伴性の両者による統制を受けている反応であると考えられた。ハトの自動形成, イヌの脚の屈曲反応との比較を行いながら, 2つの随伴性によって規定されている成分を分離する可能性について論じた。
  • GUTHRIE & HORTON (1946) の実験の再検討
    今田 純雄, 塚原 弘子, 今田 寛
    1987 年 36 巻 2 号 p. 89-100
    発行日: 1987/03/25
    公開日: 2010/01/29
    ジャーナル フリー
    ネコのポール押し反応に関して二つの実験が行なわれた。実験1では, 人間がネコの近辺に存在することが, ネコの自発的なポール押し行動の生起にどのような影響を与えるかが検討された。4匹中1匹のネコは実験者が存在する時にポールへの擦りつけ行動を頻発させたが, 実験者が存在しない時にはそのような行動を示さなかった。他の3匹のネコのうち1匹は, ポールに前肢でじゃれることによってポールを押し, また擦りつけ反応をポールより前面の金網に対して生起させた。残る2匹のネコは, 人の存在・不在に関係なく実験箱の後方にうずくまったままであった。実験2では, 実験1においてポール押し反応を多発させた2匹のネコは, 実験者がすわる位置を変化させた場合に, 実験者と近接するようにその位置を変化させるということが観察された。残る2匹のネコは, 実験1と同様に実験者の行動からほとんど影響を受けなかった。本研究は, GUTHRIE & HORTON (4) によって道具的行動と解釈されたネコのポール押し行動が, 人間の存在によって誘発された生得的で種に固有の行動であり, 人間とネコとの親愛関係がその出現に対する重要な決定因の一つであることを示した。
  • TORU R. SAITO
    1987 年 36 巻 2 号 p. 101-105
    発行日: 1987/03/25
    公開日: 2010/01/29
    ジャーナル フリー
    Female mice construct nests of two general types depending upon the reproductive status of the animal. During pregnancy female mice build large, enclosed nests with multiple tunnels. This has been called the brood nest as opposed to the sleeping nest of the nonpregnant mice (2, 3). Also pseudopregnant mice displayed maternal nest building behavior (1). Their nests were smaller but qualitatively identical to those constructed by pregnant animals. Progesterone apparently is responsible for the maternal nest building in female mice, since the administration of progesterone can induce construction of brood nest in nonpregnant females (2, 4, 5).
    The present study was planned to clarify whether high levels of progesterone are necessary for appearance of the maternal nest building behavior by measuring simultaneously plasma progesterone levels and the amount of nest built in pseudopregnant and pregnant mice.
  • 1987 年 36 巻 2 号 p. 108-137
    発行日: 1987/03/25
    公開日: 2010/01/29
    ジャーナル フリー
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