ノンプロフィット・レビュー
Print ISSN : 1346-4116
13 巻 , 1 号
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研究論文
  • 馬場 英朗, 石田 祐, 五百竹 宏明
    2013 年 13 巻 1 号 p. 1-10
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/07/11
    ジャーナル フリー
    利害関係者が重視する財務情報について,欧米では様々な実証研究が行われているが,日本では寄付者がどのような財務情報を選好しているか,実態が明らかでないままに寄付の税制優遇拡大やNPO法人会計基準の導入が議論されている.本研究では,寄付者等が重視する情報項目をアンケート調査で明らかにするとともに,模擬的な財務データを示して寄付者等が指向する財務情報の傾向を分析した.その結果,寄付者等は主観的には寄付金収入が重要であると考えても,実際には事業収入が大きい財務データを選択する傾向が有意に見られた.その一方で,人件費が少なく,事業費が大きな財務データを明確に選好するにもかかわらず,寄付者等の主観的重要性との間には有意な関係が見られなかった.今回の研究では,サンプル数が少ないといった課題も残るが,寄付者が持つ潜在的な判断基準を明らかにすることは,非営利組織の経営方針を定め,適切な情報公開を行う上で有用である.
  • ―事例研究を通じて―
    森 裕亮, 新川 達郎
    2013 年 13 巻 1 号 p. 11-22
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/07/11
    ジャーナル フリー
    本稿は,自治会の全部または一部でNPO法人生成を選択し,地域コミュニティを再組織化する取組みに着目し,そのメカニズムと効果を明らかにする.自治会は地域コミュニティの中心的組織だったが,戦後の社会経済変化の中で衰退の傾向にある.しかし,昨今の地方財政逼迫の折,地域コミュニティの地域課題解決機能が政治的社会的に期待されるようになった.そうした状況で,幾つかの地域が自治会を基盤としたNPO法人設立を始め,地域課題解決に向けて自治会とNPO法人との関係を作ろうとしている.本稿は,事例研究を行うが,選んだ事例は二つである.一つは,自治会全世帯参加で,NPO法人システムが自治会システムに依存するタイプ,もう一つは,有志参加で,NPO法人システムが自治会システムに必ずしも依存せず独立的なタイプである.本稿の発見は,第1に,NPO法人生成は,地域コミュニティの組織(自治会)リーダーによって認知された「パフォーマンス・ギャップ」と既存資源によって促進されていること,第2に,2事例ともに自治会とNPO法人の連動・分担は達成されていたが,前者事例ではメンバー間の葛藤が生じていること,一方,後者事例では自治会とNPO法人との分離の潜在性があることを指摘する.
  • ―四国遍路文化世界遺産化運動を事例として―
    小藪 明生
    2013 年 13 巻 1 号 p. 23-35
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/07/11
    ジャーナル フリー
    市民的連帯,中でも異質な集団間の広域にわたる水平的関係に基づいた幅広い協力はどのように生まれるのかについては,議論があまり多くないのが現状である.本研究は社会関係資本論に基づき市民的連帯を促進する諸条件について探ることを目的とする.中でも文化資源を基にした集団間の連携構築の事例に着目し,具体的には四国遍路文化の振興とその世界遺産化登録運動を対象とする.そしてこの運動を通じて生まれつつある新たな人間関係,幅広い集団間の連携,及びその経緯や文化資源の果たす役割について,郵送調査の結果とインタビュー調査の内容から探索的に議論を進めた.その結果,文化資源や規範を人々が共有していることが異なる立場の間の相互理解を促進することが確認された.
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