ノンプロフィット・レビュー
Print ISSN : 1346-4116
13 巻, 2 号
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研究論文
  • ―ボランティア行動の社会化プロセス―
    三谷 はるよ
    2013 年 13 巻 2 号 p. 37-46
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/02/21
    ジャーナル フリー
    本稿は,社会化の視点からボランティア行動の先行要因を検討するものである.日本人のボランティア行動に関するこれまでの研究は,現在の個人属性と参加の関係に注目してきたが,ボランティア行動に対する過去の社会環境の影響については検討してこなかった.そこで本稿は,全国調査データを用いて,子どもの頃のロールモデルの存在や学校教育といった社会化要因がボランティア行動に与える影響,及びそれらを媒介する要因を検討した.主要な分析結果は以下である.第1に,子どもの頃に他者を援助する近所の人と接触していた人は,現在において共感性や一般的信頼が高い傾向にあり,そのためボランティア活動に参加しやすい.第2に,子どもの頃に母親が宗教参加していた人は,現在において宗教参加する傾向にあり,そのためボランティア活動に参加しやすい.以上から,特に子どもの頃に接触した「援助的な近所の人」と「宗教的な母親」によって,日本人のボランティア行動が学習されている可能性が示唆された.
  • ―クリエイティブ・コモンズ・ジャパンを事例に―
    立花 晃
    2013 年 13 巻 2 号 p. 47-58
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/02/21
    ジャーナル フリー
    様々な情報や技術,創作物を社会の共有財つまり社会の“知的資本”として,広く一般に利用可能なものにし,個人や組織が自由にアクセスできるようにする事の有益性が世界的にも注目されている.しかし,そのような知的資本の共有に際しては,既存の法的枠組みや制度がその共有・流通を妨げる場合がある.社会の共通の利益のために知的資本の流通を制度的に整え,管理しようとする主体としては,NPOのような非営利セクターが,より先導的にその役割の一翼を担う事が期待される.本研究では,独自のライセンスシステムによって国際的に知識資本の管理・流通を整備しているNPOであるクリエイティブ・コモンズの取り組みを取り上げると共に,我が国のNPO法人である,“クリエイティブ・コモンズ・ジャパン”について,統計資料とインタビュー調査を通して,彼らの実践を分析,考察した.そして,本事例を通じて,NPOの組織的課題や,知識資本の管理・流通を担うインフラとしてのシステムを提供する一つの社会装置としての役割について明らかにした.
研究ノート
  • ―企業組合でる・そーれにおけるアクションリサーチから―
    須藤 順
    2013 年 13 巻 2 号 p. 59-68
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/02/21
    ジャーナル フリー
    本稿では,青森県五所川原市で活動する企業組合でる・そーれのケースを通して,社会的企業におけるネットワークの形成と展開についてネットワーク・レントの視点から考察を行う.調査方法は,アクションリサーチ,参与観察,文献調査等を複合的に組み合わせ,組織概要,これまでの経緯,そして,事業概要をできるだけ時系列に沿って整理し,その形成と発展のプロセスを詳述した.その結果,1)ネットワーク・レントが事業の継続に寄与している,2)社会的埋め込みのレントが他のレント創出の基盤となっている,3)社会的企業は,レントを享受するだけではなく,それを創りだし,ネットワーク参加者がレントを享受できるように配分することでネットワークへの関与度を高めるようにマネジメントしている,4)中間支援機関によるサポートが有用である,5)小さな成功体験の積み重ねによりネットワークが形成される,といった点が明らかになった.
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