ノンプロフィット・レビュー
Print ISSN : 1346-4116
19 巻 , 1+2 号
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特集 日本のNPO研究の20年
  • 後 房雄
    原稿種別: 特集
    2019 年 19 巻 1+2 号 p. 1
    発行日: 2019年
    公開日: 2021/01/01
    ジャーナル フリー
  • ─社会福祉とNPO─
    安立 清史
    原稿種別: 特集
    2019 年 19 巻 1+2 号 p. 3-12
    発行日: 2019年
    公開日: 2021/01/01
    ジャーナル フリー

    社会福祉とNPOとの20年間を,次の4つの観点からふり返り,問題と課題を考察する.第1は世界的な新自由主義(ネオリベラリズム)的な政策動向とNPOとの「共振」現象である.これによってNPO法や介護保険制度などが可能になったが,それは順接だけでなく逆接の側面もあった.第2は福祉NPOの活動の評価である.介護保険で活動するNPOをサラモンの4機能説を参照枠組みとしながら考える.第3は「非営利組織の経営」をめぐる問題である.介護保険制度のもとでの非営利組織の「経営」をどう考えるか.ドラッカーのいう非営利組織の経営は,日本では可能なのかどうか.第4は「政府・行政とNPOとの協働」である.日本における「協働」は,サラモンの言う「第三者による政府」と異なった展開になるのではないか.こうした観点から福祉とNPOとの理論的な課題を検討する.

  • 桜井 政成
    原稿種別: 特集
    2019 年 19 巻 1+2 号 p. 13-22
    発行日: 2019年
    公開日: 2021/01/01
    ジャーナル フリー

    本研究では,日本の社会学におけるNPO・ボランティア研究の動向を探る目的で,日本の社会学系の学術雑誌における,掲載論文の傾向とその議論内容の分析を行った.量的なトレンドとしては,1990年代後半から分析の対象となった論文雑誌に掲載されるようになってきていた.そして定期的に掲載数が増える時期があり,それは重要な法律の施行や大災害の発生など,NPOやボランティアが社会的に注目される時期と呼応していた.研究方法の観点からみると,多くの論文は実証的な研究になっており,また質的な分析を行っているものが多かった.さらに本稿では,KH Coderを用いて論文タイトルに現れる頻出語と,それらのつながり方の分析をした.この分析により,社会学のNPO・ボランティア研究において中心的に議論されている論点が抽出された.福祉NPOによる福祉コミュニティ形成,社会運動,ボランティアの手段的・表出的な意義,および集団内外の権力的な構造が主要なトピックとして抽出され,その考察を行なった.

  • 吉田 忠彦
    原稿種別: 特集
    2019 年 19 巻 1+2 号 p. 23-32
    発行日: 2019年
    公開日: 2021/01/01
    ジャーナル フリー

    日本におけるNPOについての経営学的研究は,欧米の研究を紹介することから始まった.今日では日本の状況に応じた研究への進化しつつある.しかし,これまで参照してきた欧米のNPO研究の対象が,文字通りの民間の非営利組織全体であったのに対して,日本では市民の自由で自発的な組織を「NPO」として従来の伝統的な非営利組織とは別のカテゴリーとした.このことが研究対象をめぐる混乱を生み出している.それは法人をめぐる制度の運用においても,いまだに大きな影響を及ぼしている.他方で経営学自体の専門分化の流れの影響もあり,NPOについての経営学的研究も多様化している.組織それ自体の概念的多様化,行動の多様化などが研究にも影響している.ここでは,この20年ほどの間の経営学的研究を,人的資源,会計と財務,経営戦略,社会的企業という分野ごとに主要研究をピックアップして紹介する.

  • ―日本における1998年以降の文献レビュー―
    小田切 康彦
    原稿種別: 特集
    2019 年 19 巻 1+2 号 p. 33-45
    発行日: 2019年
    公開日: 2021/01/01
    ジャーナル フリー

    本稿の目的は,政治学分野における「NPO研究」をレビューし,その動向と課題を明らかにすることにある.分析は,日本における1998年以降に刊行された16の政治学系学会誌に掲載されているNPO関連論文,および日本のNPO研究の専門誌であるノンプロフィット・レビューに掲載されている政治学関連論文の計115の論文を基に行った.分析の結果,政治学とNPO論とのインターフェースにあたる各理論間を接合する研究が不足していること,ボランティア,自発的結社,社会的企業,組合といったテーマの研究が不十分であること,質的研究に依存しており量的研究が少ないことなどが明らかになった.今後,「政治学におけるNPO研究」というアイデンティティを見いだす作業が,政治学・NPO論双方において求められる.

研究論文
  • ―NPO政策を推進するのは誰か―
    坂本 治也
    原稿種別: 論文
    2019 年 19 巻 1+2 号 p. 47-60
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/03/02
    [早期公開] 公開日: 2019/10/17
    ジャーナル フリー

    市民社会の発展を促す法制度は,誰によって,どのような理由・動機で,推進されるのか.この点を明らかにする研究は,これまでのところ十分な蓄積がなされていない.とりわけ,法制度の制定・変更に決定的な影響力を有する議員の分析が欠如している.本稿では,現代日本のケースを題材に「NPO政策の推進に関与する国会議員はどのような特徴を有するのか.なぜNPO政策を推進するのか」を,合理的選択論の理論枠組みと国会議員データを用いた定量的分析によって明らかにした.

    分析の結果,明らかとなるのは,以下の事実である.NPO政策は「票になりにくい政策」であるが,同時にニッチな政策であるがゆえに,「昇進」のための業績誇示の成果を得やすい政策の1つである.それゆえ,選挙に強く「再選」動機が弱い議員ほど,また当選回数が多く「昇進」動機が強い議員ほど,NPO政策の推進に関与しやすい傾向がある.また,中道左派・リベラルな政党や派閥への所属や比例区選出議員かどうかもNPO政策の推進態度と関連している.

  • ―活動分野の細分化からのアプローチ―
    岩田 憲治
    原稿種別: 論文
    2019 年 19 巻 1+2 号 p. 61-75
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/03/02
    [早期公開] 公開日: 2019/11/07
    ジャーナル フリー

    活動分野別のNPO研究は,法定の20分野によるのが多い.しかし,活動実態を見るには,活動分野を更に分けるのが有効である.そこで本研究は,NPO法人の活動分野を細分して,収入構造の多様性を明らかにするとともに,小規模NPO法人の活動を概観した.その結果下記の3事象が分かった.なお資料は,東京都をはじめ7都府県の14,336法人の事業報告書等である.第1に,収入源が一般の印象と異なる場合がある.例えば,保健医療福祉分野の主な収入源は,障害者福祉制度の給付金であり,介護保険法の給付金は障害者福祉制度の41.5%に過ぎない.第2に,事業収入がないか,あるとしても少額な小規模法人が多い.しかし,少額な収入であっても,ミッションの実現に向けて活動を続けている.そのため,NPO活動全体の議論には,大規模法人に偏ることなく,小規模NPO法人を含めるのが妥当である.第3に,事業収入比率の多寡により全法人を区分すると,高率(80%以上)法人と低率(10%未満)法人の2極に分かれる.

  • ―参与観察を通しての考察―
    森 瑞季
    原稿種別: 論文
    2019 年 19 巻 1+2 号 p. 77-90
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/03/02
    [早期公開] 公開日: 2019/09/30
    ジャーナル フリー

    近年,労働統合型社会的企業の研究の気運は高まってきているが,そこで働くスタッフの社会的関係ならびに承認の構造は先行研究をみてもいまだ明らかではない.本研究は,その社会的関係を参与観察から得た情報をもとに分析し,明らかにしようとしたものである.参与観察の結果,スタッフは「共働の論理」と労働者の生活を保障するための「ワーク・ライフ・バランス重視の論理」という二つの論理,また「私的な関係性」と「社会的な関係性」という二つの関係性のもとに,相互に承認しそれにもとづいて社会的関係を構築していることが判明した.とはいえ,これらの論理や関係性は両立しがたい性質を持っている.それでも職場組織が崩壊しないのは,共働のなかで他者への配慮がなされ,そしてそれにもとづく承認という共通した認識が寛容さに基いて暗黙裡に形成されていたからであった.そしてこれらによってできあがった社会的関係はまさに連帯と呼ぶにふさわしいものであった.本研究は,このように承認論の観点から労働統合型社会的企業に関する研究の発展に寄与するものである.

  • ―東日本大震災被災3県を事例として―
    菅野 拓
    原稿種別: 論文
    2019 年 19 巻 1+2 号 p. 91-99
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/03/02
    [早期公開] 公開日: 2019/09/30
    ジャーナル フリー

    2013年から新しい公益法人制度が開始され,一般法人と公益法人が規定された.本論は,岩手県,宮城県,福島県における一般法人・公益法人全数へのアンケート調査の結果を用い,規模,非営利性,旧制度や官公庁との関係,東日本大震災への対応を例とした社会的課題への反応などからみて,一般法人や公益法人がどのような構成をとっているのかを明らかにすることから,今後の研究や施策上の示唆を得ることを目的としている.現在の一般法人や公益法人の構成は,外郭団体経験のある団体が4割程度含まれる大きな資産をベースとした公益法人と,比較的小規模な一般法人の混成したものである.また,社会的課題に反応して新規に設立された団体の多くの割合を非営利型一般法人が占める.非営利型一般法人は,今後の社会的課題に対応する人々の集合やその財産にとっての有力な器として評価すべきであると同時に,公益化へのインセンティブ設計の問題を提起する.

  • Yasuhumi Mori, Toshihisa Asano, Yasunobu Maeda
    原稿種別: Article
    2019 年 19 巻 1+2 号 p. 101-109
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/03/02
    [早期公開] 公開日: 2019/10/17
    ジャーナル フリー

    Although volunteers are becoming increasingly important for promoting social activities, many nonprofit and civil society organizations face a volunteer shortage, which limits their options of the activities. To identify an effective method for recruiting volunteers, we conducted a national survey in Japan using a web-based questionnaire, and analyzed the relationships between volunteering and leisure time, financial resources, and information sources that led to volunteering. There was no practical relationship found between the time spent volunteering and leisure time or financial resources, including the perceived net benefit of volunteering. Many individuals obtained information related to participating in volunteer activities from community sources or through personal contacts. Most information was obtained by coincidence rather than by active searching. These results indicated that individuals were more likely to initiate participation in volunteer activities by spontaneously responding to opportunities that arose rather than by making choices comparing the costs and benefits.

  • ―NPOが農地管理に果たす役割と可能性―
    松岡 崇暢
    原稿種別: 論文
    2019 年 19 巻 1+2 号 p. 111-123
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/03/02
    [早期公開] 公開日: 2019/10/18
    ジャーナル フリー

    本研究の問題意識は耕作放棄地を解消するために,地域の中で様々な活動に取り組むNPOが農地管理の担い手としてどのような役割を持つのか明らかにすることである.NPOの活動を通じた農地管理の実態や可能性を考究し,NPOが取り組むどのような活動が農地管理に効果的なのか,その影響や今後の展望を解明した.研究対象のNPOに対して定性的調査を実施し,農地管理の活動内容を踏まえ4つに類型化した.都市農村交流を推進し都市住民を巻き込んだ農地管理と複数の農地管理活動を展開し,農作物の販路を確保できた取り組みでは年間予算は大きくなっていた.NPOにおける労力の省力化が図れる,市民農園や景観作物の作付けによる農地管理は,広い農地面積を管理することができていた.NPOが農地管理を行うことによる地域への影響は,社会的に意義のある農福連携や継続的な農地管理の取り組みにより地域の信頼と理解を得られていた.生産性が低く経済性に乏しい粗放的な農地管理ではあるが,NPOが取り組むことで耕作放棄地の解消に一定の成果があることを明らかにした.

  • ―アクター間の影響力の均衡という観点から―
    小川 大和
    原稿種別: 論文
    2019 年 19 巻 1+2 号 p. 125-138
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/03/02
    [早期公開] 公開日: 2019/09/30
    ジャーナル フリー

    協働における対等性は,和洋問わず,その基本理念・規範として謳われていることが多い.他方,実態としてそれは必ずしも確保されていないとの主張は多い.それでは,行政と市民セクターを対等に近づけるにはどうすればよいか.本論文では,協働における対等性に影響を与える要因に関する理論的モデルを提示した上で,無作為抽出した359の地方自治体の市民活動担当部署にアンケート調査を実施し,この問いに対して統計的に検証する.統計分析の結果,2007年との比較で両者の影響力の差は縮小傾向にあるものの,未だ両者を対等と言うことは難しいこと,そして,両者を対等に近づけるためには,行政は,①協働に関する条例を制定し,かつ,その中で対等性に言及すること,②市民セクターと頻繁に接触し,また,その信頼性を認識して,信頼関係を構築すること,③市民セクターとの協働の経験を蓄積すること,④両者の間で役割分担等を明確にしたパートナーシップ協定を締結しておくこと,⑤市民セクターがその得意分野を発揮することにより,両者の関係を対等に近づけていくことは可能であることが示唆された.

  • ―現状調査による問題点の示唆―
    稲田 千紘
    原稿種別: 論文
    2019 年 19 巻 1+2 号 p. 139-149
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/03/02
    [早期公開] 公開日: 2019/09/30
    ジャーナル フリー

    本稿は,NPOと行政の協働の場面における妥当な政治活動のルールを議論する第一段階として,市民活動促進条例における政治活動規制について,第一に全国の条例に含まれる規制条項の制定状況と内容を把握し,第二に,規制条項の議会での審議過程を整理することによって,その現状と問題点を示した.その結果,条例全体の45%になんらかの政治活動規制条項があり,その多くは特定非営利活動促進法の政治活動規制(2条2項2号)に準拠した規制枠組みを設けていることがわかった.課題として,憲法21条1項に抵触するおそれのある政治活動規制条項が,議会でほとんど議論されることなく策定され,条例制定の全国的な広がりを経て,条項が非常に多様な形となり,NPOセクターの法人格の中で最も詳細で厳しい政治活動規制よりも厳しい規制条項が存在していることを示す.

博士学位論文要旨
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