ノンプロフィット・レビュー
Print ISSN : 1346-4116
3 巻 , 1 号
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研究論文
  • ―格差の存在とその影響―
    金谷 信子
    原稿種別: 論文
    専門分野: 経済学
    2003 年 3 巻 1 号 p. 1-23
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/01/10
    ジャーナル フリー
    訪問介護市場の公平性について考察するため,全国の訪問介護事業所を対象に実施した独自のアンケート調査結果を用いて,社会福祉協議会や社会福祉法人など旧来の社会福祉制度内にあった非営利組織と,NPO法人や協同組合などの制度外の非営利組織,そして営利組織の訪問介護事業の経営状況を分析した.また,介護保険事業外で行われる行政委託・補助事業や,独自の非営利事業の実施状況についても分析した.その結果,訪問介護市場においては,旧来の制度内にあった非営利組織が収益や事業規模拡大など様々な点で優位な位置にあることが窺われる結果が見られた.またこれらの制度内の非営利組織は関連事業の行政委託・補助の受け手としても優位で,行政との関係が他の法人より密接であることがわかった.一方,NPOとしての自発的な非営利活動では,新興の制度外の非営利組織で活動が活発である反面,旧来の非営利組織では低調という結果が得られた.
  • ―関係・理論・政策―
    宮永 健太郎
    原稿種別: 論文
    専門分野: 経済学
    2003 年 3 巻 1 号 p. 25-35
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/01/10
    ジャーナル フリー
    本稿の目的は,NPO研究における政府とNPOの関係性の議論と環境ガバナンス論が持つ政策的含意の批判的検討を通じて,環境政策と環境NPOの関わりを記述的かつ規範的に論じることである.本稿の主な結論は,(1)寄付の促進施策と政府支出の削減とのパッケージ政策は成功を生むとは限らない.むしろ環境NPOの収入として入る政府資金もまた政策論的観点からとりあげた上で,環境NPOへの政府支出を環境政策としての財政支出システムの中に位置づけることが重要である(2)「環境NPOの活性化」や「環境政策の意思決定のプロセスへの環境NPOの参加の促進」が,政府の財政支出と結びついていなかったり,また同時並行して環境政策として市場に政策的介入を怠ったものであるならば,環境政策の成功には繋がらない(3)政府資金に,政府と環境NPOの実質的な協力関係のルールが組み込まれる必要がある,といったものである.
  • 井田 淳, 梅本 勝博
    原稿種別: 論文
    専門分野: 経済学
    2003 年 3 巻 1 号 p. 37-45
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/01/10
    ジャーナル フリー
    本稿の目的は,NPOにおける知識の重要性を指摘し,野中の組織的知識創造理論を基にNPOのナレッジ・マネジメントの枠組みを構築することである.NPOの知識創造とは,多数の個人の思いをはっきり言語化してミッションに表現し,それを正当化基準として,新たな知識を創造・実行する中で,社会にその有効性を認知させ,そのミッションを実現していくプロセスである.本研究から,生活者,専門家,利害関係者の持つ知識の活用,開放的な場の設計,ミッションの明確化,知識の蓄積および不足している知識の組織外からの獲得,リーダーに必要なソーシャル・キャピタル,交渉能力,説得能力などが示唆された.また,8項目からなるNPOのナレッジ・マネジメントの実践的方法論も提示した.
  • ―企業の社会性からみた類型化―
    横山 恵子
    原稿種別: 論文
    専門分野: 経済学
    2003 年 3 巻 1 号 p. 47-57
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/01/10
    ジャーナル フリー
    本稿は,企業とNPOのパートナーシップについて分析するものである.企業とNPOのパートナーシップが盛んになってきており,多様な形態の協力関係がみられるようになった.企業がNPOと有意義なパートナーシップを築いていくためには,協力しあう活動の社会的意義を考慮するだけでなく,企業の非営利性と営利性の間に生じているコンフリクトに留意する必要がある.本稿は,このコンフリクトについて考察を深める基盤として機能するように,企業とNPOのパートナーシップの把握を試み類型化した.企業の社会性の観点からパートナーシップを類型化して,パートナーシップの課題や可能性を検討している.
  • 宮田 穣
    原稿種別: 論文
    専門分野: 経済学
    2003 年 3 巻 1 号 p. 59-68
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/01/10
    ジャーナル フリー
    社会貢献活動における先進企業に対して,NPOとのパートナーシップに関するアンケート調査及びヒアリング調査を実施した.その結果によると,企業とNPOのパートナーシップは,企業の社会的活動の中で今後拡大が見込まれる.しかし同時に,現時点でのNPOの組織体としての脆弱さが指摘されるとともに,企業側についてもその推進役の整備が必ずしも進んでいないことがわかった.今後NPOとのパートナーシップを企業側として積極的に展開していくためには,推進役となる担当者すなわち“つなぎ手”の存在がまず重要になってくる.“つなぎ手”が十分機能している先進企業として,三井住友海上火災保険とイオンを取り上げ,“つなぎ手”の役割分析を行った.確認できたことは,“つなぎ手”は「ネットワーカー」や「チェンジ・エージェント」としての重要な役割を担っており,今後に向けその機能を企業活動の中へ明確に位置づけ,組織的に組み入れていくことの必要性である.
  • ―横浜市パートナーシップ推進モデル事業を事例として―
    中川 祥子, 金子 郁容
    原稿種別: 論文
    専門分野: 経済学
    2003 年 3 巻 1 号 p. 69-83
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/01/10
    ジャーナル フリー
    本稿の目的は,横浜市パートナーシップ推進モデル事業の成果を評価し,成果があがった要因を把握することで,効果的なパートナーシップの推進方策を示唆することである.
    まず,事業の成果を,行政の事業担当者と市民へのインタビューの結果,ケーススタディを参考にしながら,事業目的との整合性と,事業参加市民へのアンケートの結果を比較することで,多面的に評価した.また,成果の差の要因を,予算配分の有無などの事実関係を考慮しながら,行政の事業担当者と市民へのインタビューの結果を基に,考察した.
    その結果,市民が予算を与えられ,施設でのサービス提供を担ったり,市民提案が政策反映されたりするなど,決定権と責任がより明示的に共有されていた事業ほど,成果があがっていた傾向が示された.一方で,NPO/市民活動が多くの決定権と責任を担うには,それに足る十分な信頼性をいかに構築できるかが,今後の課題として浮かび上がってきた.
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