本稿は,「地縁性」が鍵を握る地縁型住民組織と対比するため,NPOを(認証/非認証を問わず)「専門性」を有する非営利/非地縁型の市民活動団体と位置づけた上で,理論的にも実践的にも重要な検討課題になる一方,議論が抽象的段階に留まっている両組織の媒介について,両主体によるマーケティングの「ネットワーク化」の視角から議論する.
具体的には,地域運営資源(ヒト・モノ・カネ・情報)に着目し,まず1)個人における「地域運営主体に関する水平構造の曖昧性」という概念の重要性を確認する.次に2)両組織の媒介役を果たす組織としては自治体が相応しいことを明らかにし,その条件を整理する.しかし,共に現状では十全な機能の発揮を期待できない状況下にあって,3)最も身近な「意思(ニーズ)表明手段」としての貯金を梃子に地域の運営資源を総動員して公共的な財を供給する,“地域コミュニティ協働事業推進貯金”を提案する.
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