ノンプロフィット・レビュー
Print ISSN : 1346-4116
9 巻 , 1+2 号
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研究論文
  • ―ソーシャル・アカウンティングによる見えない価値の顕在化―
    馬場 英朗, 青木 孝弘, 木村 真樹
    2009 年 9 巻 1+2 号 p. 1-13
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/06/09
    ジャーナル フリー
    収支計算をベースとする従来の財務会計では,資金拠出者に対するアカウンタビリティを果たすに過ぎず,社会活動に取り組む非営利組織がミッションを果たしたことを適切に表すことができない.そのため,幅広い利害関係者に対する社会的アカウンタビリティを意識すべきであるが,多くのボランティアが参加して無償・低償サービスを提供する団体では,収支計算書に表れない社会価値を取り込まなければ正しい資源の投入量や成果の産出量を測定できない.そこで我々は,市場価格や代替費用の概念を用いてこれらの社会費用・便益を計算し,非営利組織が持つ見えない社会価値を顕在化させるソーシャル・アカウンティングの手法を検討した.さらに事例研究として,広く市民から出資金を集めて地域活動への融資に取り組むNPOバンク(コミュニティ・ユース・バンクmomo)の社会価値計算書を作成したところ,ボランティアによる役務提供や自己負担経費を含めれば,実際の支出額に対して5倍の資源が活動に投入されていることが判明した.今後,多様な活動分野に対するソーシャル・アカウンティングの活用方法や,合理的な市場価格の算定方法についてさらに検討を進めたい.
  • ―協働経験者への面接調査による質的研究―
    小田切 康彦
    2009 年 9 巻 1+2 号 p. 15-26
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/06/09
    ジャーナル フリー
    本研究は,官民協働を通じて行政職員がNPOを理解するプロセス及びその特性を明らかにした.NPOとの協働を経験した行政職員9名への面接調査を行い,その語りの内容について修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチを用いて分析した.その結果,八つのカテゴリーが識別され,それらはさらに「NPO・協働概念の解釈」「協働の実践」「協働の評価」の三つのグループに統合された.協働経験を持つ以前は,職員は,NPOとの協働に対して漠然として曖昧な解釈を行っていた.協働を実践する中で,職員は,「ボランタリーの失敗」に見られるNPOの特性を実感することになり,戸惑いが生じた.しかし,徐々にその事実を受け入れ,彼らに対する自分自身の認識やポリシーを変革させた.協働が終了した時点では,職員はNPOとの協働を経験することの重要性を認識し,NPOへの理解を示した.こうした職員の意識変容の動態を引き起こすのは,協働において創造され活用される数々の知識である.行政とNPOとの協働は,両者の相互理解を可能にする知識創造の場として機能している.
  • ―環境教育推進法とフロン回収・破壊法の事例から―
    藤村 コノヱ
    2009 年 9 巻 1+2 号 p. 27-37
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/06/09
    ジャーナル フリー
    地球温暖化など時間的空間的広がりと複雑さを増す昨今の環境問題の解決には,国政でも従来の官僚主導の政策形成と実施には限界があることから,生活に根ざした専門性や柔軟な対応性など多様な特性を持つNPOの参加のもと,実効性ある政策及び法律の形成と実施が重要である.本稿では市民立法を問題の気づきから施行後までの一貫した政策提言活動と幅広く定義し,二つの事例からその現状と課題,実現の方策を検討した.その結果立法過程へのNPOの実質的な参加は限定的で社会的影響を及ぼすには至っていないことが分かった.しかし世界的には政策形成過程へのNPOの参加は不可欠とされ,制度化されつつある.わが国でもNPOの参加の有効性が認識され制度化が進めば,政策の実効性向上とNPOの発展,持続可能な市民社会構築につながる.NPO法改正議論でもNPOの政治・社会的役割を支援し強化する参加の制度化についての具体的議論が望まれる.
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